imasia_3471361_S
(写真=PIXTA)

◆先週金曜は主要通貨は概ね小動きだった。ドル/円は123円台半ばで小動きだったが、インフレ指標の低下を受けてどちらかというと軟調な展開だった。

◆ユーロは、Merkel独首相のユーロ高懸念発言を受けて小幅安の局面があったものの、ギリシャ支援協議の進展への期待から反発した。

◆本日は、米NY連銀製造業景況指数と鉱工業生産が注目で、予想以上の回復となればドル下支え要因となるが、ドル/円は黒田総裁発言が上値抑制要因となることから、124円台乗せは難しそうだ。

◆ユーロはギリシャ関連のヘッドラインとECB高官がユーロ高牽制をするかが注目だが、材料は強弱交錯しそうで方向感は出なさそうだ。豪ドルはKent・RBA総裁補発言が注目だが、豪利回りや鉄鉱石価格が反発基調の中で、余程明確に利下げを示唆しない限り豪ドルは強含みが続きそうだ。


昨日までの世界:市場はマインド改善よりもインフレ低下を重視?

ドル/円は、123円台半ばを中心とした狭いレンジで横ばい推移だったが、どちらかというと軟調だった。CPIと緩やかな連動性があり先行指標的な意味合いがある米5月コアPPIが前年比+0.6%と前月および市場予想(各々+0.8%、+0.7%)を下回ったものの、ドルの反応は殆どなかった。

またその後発表された6月ミシガン大消費者信頼感の速報値は94.6と前月および市場予想を大きく上回ったがドルは上昇せず、むしろ10日の黒田総裁の円安牽制発言や、米国の消費者のインフレ期待が1年後、5-10年後のいずれも+2.7%と前月の+2.8%から鈍化したことが嫌気されてか、米中長期債利回りは低下しドルも一時123円台後半から123.14円へ軟化した。但し引けにかけては123円台半ばへ小反発している。

ユーロ/ドルは、欧州時間にMerkel独首相が、強すぎるユーロが輸出競争力を削ぎ、スペインやポルトガルなどユーロ圏諸国の構造改革を困難にする、と発言したとの報道が伝わると1.12ドル台前半から1.1151ドルへ下落した。

独大衆紙Bildが、ドイツ政府がギリシャのデフォルトの可能性を排除していないと報道したことも、目新しくはないが材料視されたようだ。もっとも、ギリシャ政府高官が債権団との溝を埋めるために対案を提出する用意があり、13日に協議を再開する意向と発言したことが伝わると1.12ドル台後半へ反発した。

ユーロ/円もユーロ/ドルと同様に下へ往って来いの動きとなり、139円丁度近辺から一時137.99円へ下落した後、139円台を再び回復した。

豪ドル/円も、95円台後半から一時95円丁度へ下落した後に反発したが、ドル/円と同様にどちらかというと円が強含みとなったことから95円台半ばまでしか反発しなかった。

豪ドル/米ドルは、特段の個別材料がない中で、欧州時間入りにかけてユーロ/ドルと同様に0.77ドル台半ばから一時0.7678ドルへ軟化した後、0.77ドル台半ばを回復した。


きょうの高慢な偏見:米製造業は復活しても…

ドル/円は、ドル高の影響を受けている米国の製造業関連の経済指標発表(21:30発表のNY連銀製造業景況指数、22:15発表の鉱工業生産と設備稼働率)が注目される。6月NY連銀サーベイは市場予想通り6.0へ改善すると2か月連続の改善となるほか、11月をピークに5か月連続で減少している

鉱工業生産が5月に市場予想通り改善すれば(市場予想は前月比+0.2%)、いずれもドル下支え要因となる。但し、いずれも余程大きく市場予想を上回らないと昨年つけたピークには到底達しない状況で、かつ124円台は黒田総裁の円安牽制が思い起こされることから、ドル/円は123円台で頭重く推移しそうだ。

ユーロ/ドルは、先週後半にドイツ10年債利回りが落ち着きを示したことから、相対的にギリシャ問題に注目が集まり易くなったほか、先週金曜のMerkel独首相のユーロ高懸念発言を受けて本日のECB高官発言(16:00にNowotnyオーストリア中銀総裁、Praet理事およびWeidmann独連銀総裁、22:00のDraghi総裁発言)でユーロ高に関してどのような発言が聞かれるかが注目される。

但し強弱両方向の発言が交錯しそうで、ユーロはまだ方向感が出にくいとみられる。ギリシャ問題では18日のユーロ圏財務相会合で何らかの合意に達するかが注目されている中で、ギリシャが歩み寄り姿勢を示すようだとユーロ下支え材料となる。

ECB高官発言では、Nowotnyオーストリア中銀総裁やWeidmann独連銀総裁はタカ派的でユーロ高を懸念しないとみられる一方、Praet理事は相対的にハト派的であることから、Merkel首相と同様にユーロ高をけん制する可能性が高く注目される。

豪ドル関連では、Kent・RBA総裁補(経済担当)の発言(16:30)が注目され、今後の利下げを強く示唆する発言とならない場合には、豪2年債利回りや鉄鉱石価格の反発基調が続く中で豪ドルは強含みが続きそうだ。

dayly6-15

山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

【関連リンク】
疾風に勁草を知る
米国の利上げはいつか?~雇用統計結果レポート~
米国の消費関連指標に注目
着実に復調しつつある米国経済
ハンセン指数、調整一巡後反発か MSCI新興国市場指数の採用決定に注目