定期借地事業,不動産,相続
(写真=PIXTA)

不動産オーナーにとって、賃貸事業の悩みは尽きない。相続対策で賃貸事業を行っても、その後、建物修繕の発生や空き室リスク、リノベーションの追加投資、借入金の返済、立ち退き、取り壊し等の問題が数十年のスパンに渡り生じてくる。

これら問題は建物に起因することが多く、しかも建物の経過年数が過ぎるほど問題も複雑化してくる。被相続人が健在なうちはいいが、相続後に知識が不十分な妻やサラリーマンの息子たちに問題を抱えた賃貸物件を承継させて大丈夫であろうか。そこで今回は、建物の悩みを抱えずに済む定期借地事業に焦点を当て解説していく。


定期借地とは

借地には大きく分けて普通借地と定期借地の2種類がある。類似の制度としては、建物を賃貸する普通借家と定期借家がある。定期借地も定期借家も契約期間が終了した時点で借地や借家の契約も終了し、更新はされない。

仮に契約期間終了後も賃貸借関係を継続したい場合は、賃貸人と賃借人の双方合意の上で再契約を行うことになる。従来、普通借地しかなかった時代は、一度土地を貸してしまうと二度と返ってこないと揶揄されていた。定期借地事業であれば期間満了時に土地が返却されることが保証されているため、地主にとって使いやすい制度といえるだろう。

定期借地は、『事業用定期借地権』、『建物譲渡特約付定期借地権』、『一般定期借地権』の3種類に分類される。

1つ目の事業用定期借地権とは、専ら事業の用に供される建物(居住用を除く)の所有を目的とし、借地期間は10年以上50年未満の中で定められる。建物は事業用に限定されるが、借地期間が短く、返還時期も確定していることが賃貸人にとってメリットになっている。

2つ目の建物譲渡特約付定期借地権とは、借地権設定後30年以上を経過した日に、借地権の目的である建物を相当の対価で賃貸人に譲渡することを特約する借地権である。しかしながら、築30年以上の古い建物を賃貸人が有償で譲り受けるというメリットがなく、この借地権はあまり利用されていないのが実態である。

3つ目の一般定期借地権とは、事業用定期借地権及び建物譲渡特約付定期借地権以外の定期借地のことをいい、最低契約期間を50年とする定期借地権である。最近見られるようになった定期借地権付マンションにはこの一般定期借地権が利用されている。個人が行う定期借地事業としては、事業用定期借地が最も多い。