中国株式市場
(写真=PIXTA)


先週の中国株式市場

■香港株 横ばい MSCI採用見送りも中国財政出動や人民元の国際化改革が好感

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■先週の概況

先週の中国株式市場は上昇しました。ハンセン指数は0.07%上昇し、2万7,280ポイントで終了しています。また、上海総合指数は週間で2.8%上昇し、5,166ポイントと7年5カ月ぶりに5,100ポイント台に乗せ年初来高値を付けました。

先週のハンセン指数は強弱材料が混じるなか、前週からほぼ横ばいでした。MSCIの採用見送りで失望売りが出たものの、中国の財政出動や中国人民銀行の「人民元国際化報告」が好感され、週末にかけて買い戻され、一時割り込んだ2万7,000ポイントを回復しました。

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中国株式市場バリュエーション

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業種別リターン

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香港ハンセン指数採用銘柄 週間騰落率ランキング

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■上昇

中国人寿保険(チャイナライフインシュアランス、保険、2628)や中国平安保険(ピンアン・インシュアランス、2318)は2015年1-5月の保険料収入がそれぞれ19%増、18%増と発表したこと好感され、買いが集まりました。

また、香港交易及結算所(香港証券取、各種金融サービス、0388)も小幅ながら上昇しています。中国人民銀行(中央銀行)が2015年の「人民元国際化報告」のなかで香港と深センの証券相互取引の進展方針を示し、相互取引拡大に伴う売買増加期待が株価を支えているようです。

さらに、交通銀行(バンク・オブ・コミュニケーション、商業銀行、3328)や中国銀行(バンク・オブ・チャイナ、商業銀行、3988)が民間資本の投入や金融事業の多角化などの面で銀行改革の先駆けになる可能性が高いとの思惑が買い手掛かりになり、大きく買われました。

■下落

米国の早期利上げリスクが意識されるなか、恒基兆業地産(ヘンダーソン・ランド・デベロップメント、不動産管理・開発、0012)や信和置業(シノ・ランド、不動産管理・開発、0083)など香港地場系不動産株は軟調に推移し、週間で3%超下落しました。

また、中国の鉄道車両メーカー中国中車(1766)は、中国当局が11日に新規の鉄道建設プロジェクトを承認したことを背景に外資系証券のアナリストが目標株価を86%引き上げましたが、週間で13%超下落しました。

さらに、国際原油価格が反発したことに加え、韓国で感染が広がる中東呼吸器症候群(MERS)も重荷となり、国泰航空(キャセイ・パシフィック・エアウェイ、旅客航空輸送業、0293)が週間で5%余りの下落となりました。


先週発表された主な経済指標

■6月8日 中国貿易収支 5月 +594.9億ドル市場予想 +448億ドル、前回 +341.3 億ドル
■ 輸出 5月 -2.5% 市場予想 -4.4%、前回-6.4%
■ 輸入 5月 -17.6% 市場予想 -10%、前回-16.2%

5月の中国の輸出は前年比2.5%の減少と、4.4%減の市場予想を上回って減少率が前月から縮小しました。半面、5月の輸入は10%減を見込んでいた市場予想に届かず、前年比17.6%減と減少率が前月から拡大しました。こうしたなか5月の貿易収支は594.9億ドルの黒字となりました。

輸出については、「中国輸出金額の推移地域別」のグラフを見ると、5月の各地域向けの輸出は前月から軒並み改善しました。特にアジア向けの輸出の伸び(前月の177→187)が目立ちました。

一方、輸入については、前月に続き下げ幅がさらに拡大した理由としては、依然として弱い内需、人民元高と鉄鉱石などの原材料の価格の低迷が挙げられます。

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■6月9日生産者物価(PPI、前年比)5月 -4.6% 市場予想 -4.5%、前回 -4.6%

5月のPPI は-4.6%と前月から横ばいとなりました。5月は原油価格が上昇したものの、鉄鉱石や石炭などの原材料の価格がやや伸び悩んでおり、生産者物価のデフレの状況は暫く続きそうです。

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■6月9日 消費者物価指数(CPI、前年比)5月 +1.2% 市場予想 +1.3%、前回 +1.5%

5月のCPIは前年比+1.2%の増加と市場予想を下回りました。内訳をみると、食料を除くCPIが小幅ながら改善したものの、食料関連のCPIがやや低下しました。

とりわけ、野菜(9.2%減)や果物(2.7%減)、卵(1.2%減)などの値下がりが目立ちました。一方で、税金の値上げで煙草の価格は前年比3.6%となり、CPI全体を0.06%押し上げました。

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■6月11日 固定資産投資(前年比) 5月 +11.4%市場予想 +11.9%、前回 +12%

5月の鉱工業生産は前年比6.1%増と、前回の5.9%増より小幅な改善がみられたほか、市場予想の6.0%増を上回りました。5月の鉱工業生産のリバウンドは上旬の利下げが功を奏したと考えられます。

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■6月11日 鉱工業生産(前年比) 5月 +6.1% 市場予想 +6.0%、前回 +5.9%

5月の鉱工業生産は前年比6.1%増と、前回の5.9%増より小幅な改善がみられたほか、市場予想の6.0%増を上回りました。5月の鉱工業生産のリバウンドは上旬の利下げが功を奏したと考えられます。

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今後発表される主な経済指標

特に重要な指標発表はありません。


マーケットビュー

■ハンセン指数、軟調推移か 民主派のデモやIPOラッシュが相場の重石に

先週のハンセン指数は強弱入り混じる材料でほぼ横ばいとなりました。交通銀行や中国銀行などの「混合所有制」という改革案で買い先行となったものの、MSCI社が「今回は人民元建てA株を新興国市場指数に採用することを見送る」と発表したことを受けて失望売りが膨らみ、一時2万7,000ポイントを割り込む場面がありました。

ただし、中国の国家発展改革委員会が10日に、「商丘-合肥-杭州鉄道」と「合浦-湛江鉄道」の建設事業(投資総額が1098億9000万元、約2.2兆円)を認可したと発表したほか、中国の財政部が地方政府債務スワップの第2弾(最大で1兆元、約20兆円)を実施するなど、政府の財政出動姿勢の積極化が相場全体の支えとなりました。

加えて、11日引け後に中国人民銀行(中央銀行)が2015年の「人民元国際化報告」を発表し、特に国際通貨化に向けての人民元のクロスボーダー使用の促進やクロスボーダー融資チャンネルの拡大(例えば、香港-深センのストックコネクト)などの改革方針を示したことも好感され、2万7,000ポイントを回復しました。

しかし、今週のハンセン指数は軟調なスタートとなりそうです。ギリシャ財務問題を巡る不透明感が燻る中、先週金曜日の欧米株安の流れに加え、香港では17日に行政長官選挙に関する制度改革案が審議される予定で、14日から民主派や学生が改革案の否決を訴えてデモ行進していることなどが相場の重荷となりそうです。

また、今週16-17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でタカ派的な結果への警戒感もあって、積極的な買いが控えられ様子見ムードが強まりそうです。

さらに、今週17日から19日まで25社の新規上場(IPO)が予定されており、需給悪化も懸念されそうです。ただ、中国政府の財政出動や人民元国際化改革、香港-深センの相互取引などが引き続き支援材料となりそうで、売り一巡後に反発となるかが注目されます。

林宇川(TonyLin)
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部

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