ギリシャ懸念でも下がれないユーロ
(写真=PIXTA)

◆昨日は、ギリシャ懸念の高まりにも拘らずユーロが上昇したのが特徴的だった。

◆他方、ドル/円は米経済指標(NY連銀製造業景況指数、鉱工業生産)の予想比下振れを受けて軟化したが、123円台半ばを中心とした狭いレンジ内の動きに終始している。

◆本日は、RBA総裁補発言、豪RBA議事要旨、英CPI、ドイツZEW期待指数、米住宅着工件数などが予定されている。

◆中では英CPIが注目で、前月のマイナスから底入れ・持ち直しに向かえばBoEの利上げ開始早期化が意識され易く、ポンド高に繋がりそうだ。

◆また、ドイツZEWが最近のドイツ利回り上昇、ユーロ高や欧州株安を受けて予想以上に悪化すると、ユーロの上値抑制要因となる。

◆ドル/円は17日の米FOMC、19日の日銀決定会合を控えて追加材料が少なく、123円台での方向感のない推移が続きそうだ。住宅着工は小幅減少が予想されているが、前月の急増からの多少の反動減では改善しつつある米景気見通しを揺るがしそうにない。


昨日までの世界:米製造業の復活が遅れる

ドル/円は、123円台半ばを中心としたレンジが続いたが、先週金曜よりも更にレンジが狭まった。週末14日のギリシャ支援協議の物別れを受けたリスクオフ的な動きからか早朝に123.13円へ軟化する局面がみられた。

その後は最近よくみられる米経済指標発表前のドル買いからか、欧州時間にはドルじり高となり123.66円へ強含みとなった。但し米経済指標が軒並み市場予想を下回り、米国の製造業の回復が鈍いことが示されると、米中長期債利回りの低下と共に123円台前半へ反落した。

6月分NY連銀製造業景況指数が-1.98と予想外の悪化・マイナス化となったほか、5月鉱工業生産も前月比-0.2%と3か月連続のマイナスとなり、海外景気の低調やドル高が影響している可能性が示唆されている。他方、NAHB住宅市場指数は59と予想以上の改善を示し、住宅市場は堅調が続いていることが示されている。

ユーロ/ドルは、週末14日のギリシャ支援協議の物別れを受けて欧州時間にかけて1.1189ドルの安値を付けた。ギリシャのデフォルト、ユーロ圏離脱および資本規制導入などの可能性が徐々に高まっており、欧州時間入り後にギリシャ株価や債券が大幅に下落したが、ユーロは殆ど影響を受けずむしろ上昇し、米経済指標の予想比下振れもあって1.1294ドルへ上昇した。

ユーロ/円もユーロ/ドルと同様に強含みとなり、138円台前半から一時139.35円へ上昇したが、ほぼ前日と同じレンジとなった。

豪ドル/米ドルは、NY時間にかけて上昇、米経済指標の下振れもあって0.77ドル台前半から一時0.7777ドルへ上昇した。Kent総裁補は利下げの可能性についての質問に対して、可能性は低いが排除できない、としてあまり利下げに積極的でない姿勢を示したが、サプライズはなく市場の反応は限定的だった。

豪ドル/円も豪ドル/米ドル相場と同様に、95円台前半から一時95.99円へ上昇した。


きょうの高慢な偏見:ギリシャ懸念でも下がれないユーロ

ドル/円は、17日の米FOMC、19日の日銀決定会合を控えて追加材料が少なく、123円台での方向感のない推移が続きそうだ。

住宅着工は前月の113.5万件から109.0万件へ小幅減少が予想されているが、前月に予想以上に増加していたことから、今回多少減少しても増加基調の変調を意味せず、改善しつつある米景気見通しを揺るがすものとはなりそうにない。

ユーロ/ドル関連ではドイツ6月ZEW期待指数が注目される。ドイツZEW期待指数は前月の41.9から37.3へ3か月連続で悪化する予想となっており、ユーロ圏景況感のピークアウト観が強まると、利回り上昇抑制要因となる。

また、ギリシャ問題について18日の財務相会合を前に本日、ユーロ圏の財務省当局者らが協議をする予定となっているが、不可欠であるギリシャ側の歩み寄りが見られない場合には、これまで波及がみられていなかったスペインやイタリアの国債利回りに上昇圧力がかかり始めている中で、ユーロの追加的な上値抑制要因となるかが注目される。

なお本日は欧州司法裁判所がECBによる債券買取プログラム(OMT、2012年に発表したが実施実績なし)の適法性について判断を発表する予定となっているが(16:30)、完全な違法となる可能性は非常に低く、また既に国債購入の点で類似する量的緩和政策が既に開始されていることもあり、注目度は低い。

豪ドル関連では、昨日のKent総裁補(経済担当)発言や今朝のDebelle総裁補(6:55)に続き、RBA6月理事会の議事要旨が発表される(10:30)。Kent総裁補は利下げの可能性についての質問に対して、可能性は低いが排除できない、とし、これまで通りあまり利下げに積極的でない姿勢を示していたが、議事要旨でも鉄鉱石価格が持ち直しつつある中で利下げの喫緊性を示すような内容にはなりにくいとみられ、どちらかというと豪ドル下支え材料となりそうだ。

ポンド関連では英CPIが注目される。前月の前年比-0.1%から市場予想通り底入れ・持ち直しに向かえば(市場予想は+0.1%)、BoEの利上げ開始の障害の一つだった低インフレが解消に向かいつつあることが示されるため、利上げ開始早期化が意識され易く、ポンド高に繋がりそうだ。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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