Business People in a Meeting and Global Finance Concepts
(写真=PIXTA)

◆昨日は、ギリシャ問題への懸念やドイツZEW期待指数の予想比下振れを受けてユーロが小幅下落した。

◆ドル/円は黒田総裁の国会での発言で10日の円安牽制発言が修正されたと見る向きがあり123.80円へ一時上昇したが、実際は前言撤回しておらず、米中長期債利回り低下もあって元の水準に逆戻りし、結局123円台半ばを挟んだ狭いレンジ推移が続いた。

◆本日は米FOMCが注目で、FF金利予測やコアPCEデフレータ予測の下振れからくるドル安リスクに注意したい。ハト派的な内容の場合、ドル/円は123円割れもありそうだ。

◆英国では労働市場統計が注目で、特に週平均賃金が大きく持ち直すと、ポンドが続伸しそうだ。


昨日までの世界:黒田総裁は前言撤回せず

ドル/円は、123円台半ばを中心としたレンジ内横這い小動きが続いた。東京時間午前中、黒田総裁の参議院財政金融委員会における発言を受けて123.30円程度から一時123.80円へ上昇する局面があった。

6月10日の発言(実質実効ベースでかなり円安、更なる円安は考えにくい、更なる円安がこれまでのように経済にプラスとは限らない)に関連して、「名目相場の水準や先行きの評価を述べたものではない」「名目ベースで円安を望んでいないとか円安にならないと言った訳ではない」などと述べたことが、円安牽制と解釈された10日の発言を修正したものと受け取る向きがあったためとみられる。

もっとも、黒田総裁は10日の発言内容を全く修正しておらず、市場が誤解したと黒田総裁が考えた部分について否定しただけだ。

これまでの異次元緩和が実質実効ベースでの円安をもたらし、また実質実効ベースで円安にならないと経済には効果がないことを踏まえれば、これ以上の円安化の可能性が低く、円安をもたらすような追加緩和を計画しておらず、更なる円安の景気刺激効果への懐疑といった10日の発言の趣旨は変わっていないと解釈される。

このため、今後も引き続き、124円台ではドルの上値の重さが意識されやすい状況が続き、ドル/円は下落バイアスが強まっている。実際、ドル/円はすぐに小反落し、欧米時間にかけては米中長期債利回りの低下もあって総裁発言前の水準へ反落した。

なお、米住宅着工件数は103.6万件と市場予想を若干下回ったが前月計数が上方修正されているほか、通常振れが小さい建設許可件数は127.5万件へ急増しており、住宅市場の上昇基調は十二分に維持されていることが示された。米長期債利回りは一時上昇したが、ドル/円は殆ど反応せず、むしろその後の米利回り低下と共に上値が重くなったかたちとなっている。

ユーロ/ドルは、欧州時間入りに特段の材料なく1.12ドル台後半から一時1.1330ドルへ上昇する局面がみられたが、その後すぐに元の水準へ反落した。

そしてギリシャ問題に関して、Varoufakisギリシャ財務相が18日のユーログループ会合では新たな改革リストを提出しない方針を表明したほか、Tsiprasギリシャ首相も債権者との対峙姿勢を維持したことなどから交渉決裂リスクが意識されギリシャの株式、債券が売られたほか、ユーロ圏景況感の代表的な指数であるドイツ6月ZEW期待指数が31.5と前月および市場予想を大きく下回ったこともあって、ドイツ10年債利回りの低下と共に1.12ドル丁度手前へ続落した。

但しスペイン、イタリアなどへの波及は限定的だったことやドイツ10年債利回りの持ち直しもあって、1.12ドル台半ばへ反発して引けている。

ユーロ/円は、黒田総裁発言を受けて139円丁度近辺から139円台半ばへ上昇、そして欧州時間入りに140円丁度へ続伸した。但しその後はユーロ/ドルと共に一時138円台前半へ反落した後、138円台後半へ小反発して引けている。

豪ドル/米ドルは、RBA議事要旨で豪ドル安の必要性が指摘されたものの目新しさはなく、先行きの利下げスタンスが強まらなかったことが確認されると0.7781ドルへ小幅上昇し日中の高値を付けた。

もっとも、その後は鉄鉱石価格の続落やギリシャ懸念を受けたユーロ/ドルの軟調につれ、0.77ドル台前半へ反落した。但し引けにかけては0.77ドル台半ばを回復している。

豪ドル/円も豪ドル/米ドル相場と概ね同様の動きとなり、一時96.01円へ強含みとなった後、95円台半ばへ反落した。


きょうの高慢な偏見:FOMCの次はBoE?

ドル/円は、18日午前3時発表の米6月FOMC会合結果が注目で、中でもFOMCではまだ利上げ開始は予想されていない中で、参加者のFF金利予測(ドットチャート)が焦点となる。

年末時点のFF金利が0.625%(中央値)と年内2回の利上げを示唆した前回3月分から上下どちらに修正されるかだが、どちらかというと下方修正リスクの方が大きいとみられドル下押し要因だ。

これまでの米経済指標をみると概ね冬場の減速から回復をみせているが、冬場の減速は一時的というFOMCの想定通りの結果といえ、これがGDP成長率予想の引上げや利上げ時期前倒しに繋がる可能性は低そうだ。

声明文も、冬場の経済指標悪化を反映して下方修正された前回4月の声明文からは景気認識が上方修正される可能性が高いが、それ自体ではドル押し上げ要因にはならないだろう。

むしろ、コアPCEデフレータ(直近4月分は+1.2%)やミシガン大消費者サーベイにおけるインフレ期待の鈍化を受けて、コアPCEデフレータ予測(15年が+1.35%、16年が+1.7%)が下方修正されるリスクの方が大きい。ハト派的な内容だと、123円割れが視野に入る。

ユーロ/ドルは、特段の材料がない中で、明日のユーロ圏財務相会合でギリシャ支援問題の進展がない場合の、ギリシャのデフォルトリスクの高まりやスペインやイタリアへの波及懸念がユーロ安に繋がるかが注目される。

他方、米FOMCについてはFF金利予測やインフレ予測の引下げリスクからくるドル安がユーロ押し上げ要因となる。このため、どちらの材料の影響が強くなるかで、ユーロ/ドルはもみ合いとなりそうだ。

豪ドル/米ドルも、米FOMCを受けた米ドルの動向が注目で、上述の通り、どちらかというと豪ドル高米ドル安リスクに注意したい。

ポンドは、昨日発表の英CPIは前年比+0.1%と市場予想通りだったが、本日発表の4月の英週平均賃金が更なる上昇を示すと(前月は前年比3ヶ月平均で+2.2%、市場予想+2.5%)、労働市場の改善が賃金・インフレ上昇と消費押上げを通じてBoEの利上げ期待が高まり易く、ポンド高材料だ。

なお、英4月失業率は5.5%で前月から横這いの予想だが、低下基調が続く可能性がある。他方、BoE議事要旨では、今後利上げ開始に向けて利上げ支持票が1、2票出てくる可能性が高まっており、その場合のポンド高リスクも念頭に置く必要がある。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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