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(写真=PIXTA)

◆先週金曜は、主要通貨は全般的に小動きとなった。ドル/円は新規材料に乏しかった日銀決定会合および黒田総裁発言では動かず、NY時間入り後に米中長期債利回りの低下を受けて123円丁度前後から一時122.56円へ軟化したが、前日安値には届かなかった。

◆ユーロは、ギリシャ関連で週末の資本規制導入やデフォルト宣言などのリスクを懸念して一時1.13ドル割れへ軟化する局面がみられたが、引けにかけては反発し1.13ドル台半ばで引けた。

◆本日は、ギリシャ支援問題を協議するユーロ圏緊急財務相会合(19:30)と緊急首脳会合(2:00)、および米中古住宅販売件数の発表が予定されている。ユーロはギリシャ問題で進展がみられない場合には売り圧力に晒されるとみられる。

◆ドル/円は、米経済指標よりもギリシャ問題の影響をより強く受けそうで、進展がみられない場合にはリスクオフ的な動きから米中長期債利回りの低下や米株安と共に122円丁度方向を目指すことになりそうだ。


昨日までの世界:中銀総裁に二言はなかった

ドル/円は、新規材料に乏しかった日銀決定会合および黒田総裁発言では動かず、NY時間入り後に米中長期債利回りの低下を受けて123円丁度前後から一時122.56円へ軟化したが、前日安値(122.48円)には届かなかった。

米中長期債利回り低下の背景には、ギリシャ支援問題が6月末の期限が迫っているにも拘らず進展がみられないことへの懸念や米株安があるようだ。

なお、黒田総裁記者会見では、16日の国会答弁と同様に、6月10日の事実上の円安牽制について修正や撤回はせず追認したかたちとなったが、市場の反応は殆どみられなかった。

但し今後も124円以上では本邦当局からの円安牽制への警戒が高まり易く、ドルの好材料が出てもドル/円を積極的に買い持ちにする投資家は少なくなるだろう。

ユーロ/ドルは、欧州時間入りにかけてはギリシャ関連で週末の資本規制導入やデフォルト宣言などのリスクを懸念して1.13ドル台後半から一時1.1292ドルへ軟化する局面がみられたが、NY時間は米中長期債利回りの低下を受けたドル安もあって反発し、1.13ドル台半ばで引けた。

ユーロ/円は、欧州時間入りにかけてはギリシャ問題への懸念からユーロ/ドルと共に139円台後半から一時138.93円へ下落した。その後139円台を回復したものの、ドル/円が下落した一方でユーロ/ドルは上昇するなど、対ドルでのユーロと円の動きが概ね同程度だったことから、139円台前半でほぼ横ばいで引けた。

豪ドル/米ドルは特段の豪ドル関連材料がない中で、ユーロ/ドルと同様に0.78ドル丁度近辺から0.7737ドルへ軟化したが、NY時間引けにかけては0.77ドル台後半へ持ち直して引けた。

豪ドル/円は、欧州時間には豪ドル/米ドルと共に下落、そしてNY時間には米ドル/円の下落もあって、95円台後半から一時95.09円へじり安となったが、引けにかけては95円台半ば方向へ小反発した。


きょうの高慢な偏見:チプラスのキプロス化?

ドル/円は、日米材料が少なく、米中古住宅販売件数しかない中、米経済指標よりもギリシャ問題の影響をより強く受けそうだ。

6月末の期限を控えて、本日のユーロ圏財務相会合および首脳会合で進展がみられない場合には、リスクオフ的な動きから米中長期債利回りの低下や米株安と共に122円丁度方向を目指すことになりそうだ。

ユーロ/ドルは、ギリシャ問題で進展が見られず、スペイン、イタリア国債利回り上昇などに波及する場合には、ユーロ売り圧力となりそうだ。

最終的には6月末に向けて何らかの合意に至る可能性は残り、21日日曜にはチプラス首相が新たな提案を行った上で独仏首脳らと電話会談し、22日の首脳会合までに合意できれば債務削減を含めた第3次支援の検討もあり得ると伝えられた模様だが、同時に資本規制の導入リスクも高まっており、ヘッドラインに左右され易くなってくるとみられる。

ギリシャでは銀行預金の引出しが加速しており、ECBは銀行向け緊急流動性支援(ELA)の拡大を通じて延命措置を取っているが、先週金曜のELA増額は17.5億ユーロ程度とギリシャ中銀が月末の合意達成までに必要とみていたとみられる35億ユーロよりも少額しか拡大していないようだ。

22日の緊急会合で合意に至らなければ翌日23日に預金流出(取り付け)が加速する可能性があることを考えれば、それを見越して22日の営業開始前にも、2013年3月にキプロスが行ったように預金引き出しを300ユーロに制限するなどの資本規制・預金引き出し規制が行われる可能性もある。

豪ドルは、個別材料がない中で動意薄の展開となりそうだ。

但し敢えて言えば、ギリシャ問題を背景とした投資家のリスクテイク姿勢の変化の影響を受ける可能性があり、ギリシャ問題がユーロ圏景気に悪影響を及ぼし世界景気の下振れリスクとなる場合には、世界の石炭や鉄鉱石需要の鈍化から豪州景気も悪影響を受けることから豪ドル下押し材料となるかもしれない。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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