FX戦略デイリー
(写真=PIXTA)

◆先週金曜は、週末のユーロ圏財務相会合でのギリシャ支援合意への期待からか、米中長期債利回りの上昇と共に対主要通貨でドルが全般的に上昇する展開だった。

◆ドル/円は、東京時間は軟調に推移し一時123.23円へ軟化したが、欧米時間には米利回り上昇と共に反発、123.99円の高値を付けた。

◆ユーロ/ドルは、ドル高の影響を受けて下落し、一時1.1130ドルの安値を付けた。

◆週末、ギリシャ政府が財政改革を巡り国民投票を(支援協議期限後である)7月5日に実施する方針を表明し、週末のユーロ圏財務相会合では国民投票への反対と6月末の対ギリシャ支援終了方針が示され、ギリシャでは市民の預金引出が活発化、そしてECBがギリシャの銀行への流動性支援の拡大を見送ったことを受け、ギリシャは本日から銀行休業・資本規制導入の実施を決定した。

◆本日は、想定外の展開で対IMF債務デフォルトリスクが一気に高まったため、リスク回避的な動きから既に早朝にドル/円は124円丁度手前から122.11円へ、ユーロは1.11ドル台後半から1.0955ドルへ各々急落、豪ドル/米ドルは0.76ドル台半ばから一時0.7587ドルへ小幅安で始まっている。

◆ドル/円は米利回り低下が継続したり株安が世界的に広がるようだと、続落し121円も視野に入る。

◆ユーロ/ドルは、ギリシャ資本規制導入とデフォルトリスクの高まりで素直に売り圧力を受けており、ドイツ10年債利回りの低下やスペイン、イタリアなど高債務国の国債への波及が大きくなれば、続落しそうだ。

◆週末、中国人民銀が0.25%の追加利下げと預金準備率の引下げを発表したが、急落している中国株価の下支えが主眼とみられ、金融市場全般のセンチメント押上げには不十分とみられる。


昨日までの世界:偽りの楽観

ドル/円は、東京時間は軟調に推移し一時123.23円へ軟化したが、欧米時間には週末のユーロ圏財務相会合でのギリシャ支援合意への期待からか、米中長期債利回りの上昇と共に対主要通貨でドルが全般的に上昇する展開となり、ドル/円も123.99円の高値を付けた。

この間、米ミシガン大消費者信頼感指数は96.1と前月の90.7、速報および市場予想の94.6を上回り、発表後の急上昇はなかったがドル下支え要因となった。

ユーロ/ドルも、米中長期債利回りの上昇とドル高の影響を受けたとみられ下落し、1.12ドル丁度近辺から1.11ドル台半ばへ下落した。その後1.12ドル手前まで反発する局面もあったが、東京時間午前0時に向けて急反落し、一時1.1130ドルの安値を付けた。

ユーロ/円は、東京時間にドル/円の軟化と共に138円台半ばから一時137.80円の安値をつけた。もっとも、その後ドル/円の上昇と共に反発し、138.68円の高値を付けたが、その後のユーロ/ドル急反落と共に再度138円丁度近辺へ反落した。引けにかけては138円台半ばへ小反発しているが、どちらかというと軟調な展開となった。

豪ドル/米ドルはドル/円とほぼ逆方向の動きとなり、米中長期債利回りの低下を受けた米ドル高と共に0.77ドル台前半から0.7630ドルへ下落した。

豪ドル/円は、対米ドルでの円安よりも豪ドル安の方が大きかったことから、95円台半ばから一時94.56円へ下落した。


きょうの高慢な偏見:終わりの始まり?

ドル/円は、週末にギリシャ政府が財政改革を巡り国民投票を(支援協議期限後である)7月5日に実施する方針を表明し、週末のユーロ圏財務相会合では国民投票への反対と6月末の対ギリシャ支援終了方針が示され、ギリシャでは市民の預金引出が活発化、そしてECBがギリシャの銀行への流動性支援の拡大を見送ったことを受け、ギリシャは本日から銀行休業・資本規制導入の実施を決定するなど、想定外の展開で対IMF債務デフォルトリスクが一気に高まったことから、リスク回避的な動きから、既に本日早朝からドル/円は124円丁度手前から122.11円へ下落して始まっている。

米利回り低下が継続したり、株安が世界的に広がるようだと、続落し121円割れも視野に入る。

なお、これにより週明けのギリシャ経済・金融面での混乱を経て、7月5日の国民投票でEUが求める財政再建策を賛成、Tsipras首相退陣・総選挙、財政再建受け入れという、市場からみると必要なプロセスへ向かう可能性も高まったのかもしれない。

他国や他市場への混乱の波及度合いに関する不透明感が残る中、目先はリスク回避的な動きが続きそうだが、徐々にギリシャ危機後を睨んだ動きもみられてくるかもしれない。

ユーロ/ドルは、ギリシャのデフォルトリスクの高まりで素直に売り圧力を受けており、ドイツ10年債利回りの低下やスペイン、イタリアなど高債務国の国債への波及が大きくなれば続落しそうだ。

なお、ユーロ圏では明日のユーロ圏6月HICP発表を前に先行指標となるドイツ分が発表されるが、市場の関心は相対的に低そうだ。因みに、今回ドイツ分は前年比+0.4%と前月の+0.7%から鈍化しこれまでのV字型回復が早くも一服する見込みとなっており、どちらかといえば将来の追加緩和の必要性を意識させユーロ安要因だ。

豪ドルは、豪ドル買いポジションが少ない中でドル/円やユーロほどの反応はみられていないが、ギリシャ情勢の世界景気への悪影響が嫌気されたためか小幅ながら売り圧力を受けており、国際商品価格が下落するようだと4月2日の直近安値(0.7533ドル)割れが視野に入ってくる。

なお、週末、中国人民銀が0.25%の追加利下げと預金準備率の引下げを発表したが、急落している中国株価の下支えが主眼とみられ、金融市場全般のセンチメント押上げや豪州からの輸出に関連する鉄鉱石や石炭需要への影響は限定的とみられる。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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