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(写真=PIXTA)

◆昨日は、ギリシャの対IMF債務返済ができない中で、ギリシャが新提案を行ったにも拘らずユーロ圏は受け入れず、ユーロが軟化した。

◆この間、ドル/円は、米国株や米中長期債利回りは小幅高となったものの、一時122円割れとなるなど上値の重い展開となっている。

◆本日は、日銀短観、中国PMI速報値、英製造業PMI、米ADP民間雇用者数、米ISM製造業景況指数など比較的重要度が高い指標の発表が多い。日本時間午後6時半にはユーロ圏財務相会合がギリシャ問題について再度電話会議を行う予定となったが、ギリシャデフォルトへの反応が限定的となれば、指標結果を睨んだ動きとなりそうだ。

◆ドル/円は、日銀短観よりも明日の米雇用統計に向けたADP民間雇用統計が重要で、月間20万人超の雇用創出ペースが確認されれば、123円方向への強含みとなるかもしれない。


昨日までの世界:最後のあがきは不発

ドル/円は、ギリシャのデフォルトを控え様子見姿勢が強まったとみられ、概ね122円台前半での狭いレンジ内の推移だったが、欧州時間入りにかけては一時121.94円と122円を割り込むなど、米中長期債利回りの横這いから小幅上昇にも拘らず、上値の重い展開となった。

なお、昨日発表の米経済指標は芳しくなかったが、ドルの反応は限定的だった。S&Pケースシラー住宅価格は前年比+4.9%と前月および市場予想を下回り、シカゴPMIは49.4と前月は上回ったが市場予想に届かなかった。

ユーロ/ドルは、前日から一転して下落基調となった。欧州時間にかけて1.12ドル台半ばから1.11ドル台半ばへ下落した後、NY時間入りにかけては一時1.12ドル台半ばへ持ち直す局面がみられた。月末の対IMF債務返済および現行支援協議の期限到来直前になって、EUのみでの2年間の支援延長や債務再編を求めた模様で、一時的なユーロ買戻し材料となったかもしれない。

もっとも、前提条件となる財政緊縮に関しては態度が軟化していない模様で、同日中にユーロ圏は緊急で電話会合を開催し受け入れないことを決めたことから、ユーロは再び1.11ドル台半ばへ反落した。途中、ロンドン時間午後4時に月末のポートフォリオ調整に絡んだドル買いがみられたことも、ユーロ/ドルの下押し材料となったようだ。

ユーロ/円も、ユーロ/ドルと同様の動きとなり、137円台半ばから一時」」136円割れとなった後、一時的に137円台を回復する局面もみられたが、引けにかけて再度136円台前半へ反落している。

豪ドル/米ドルは、下落を続けるNZドル/米ドルとは対照的に、特段の材料がない中で0.76ドル代後半から0.77ドル乗せへ小幅ながら強含みとなった。

豪ドル/円は、94円丁度を挟んだ小動きとなった。


きょうの高慢な偏見:ギリシャから米国に焦点が移るか

ドル/円は、ギリシャのデフォルト問題に絡んだ米株価や米中長期債利回りの変動が大きくなければ、明日の米雇用統計の前哨戦となるADP民間雇用統計やISM製造業景況指数を睨んだ展開となりそうだ。

現時点の市場予想では、2日発表の非農業部門雇用者数が+23.0万人(前月は+28.0万人)、民間雇用者数が+22.5万人(前月は+26.2万人)となっているのに対し、ADP民間雇用は+21.8万人(前月は+20.1万人)となっている。

市場予想を上回れば明日の雇用統計でも月間+20万人超となる可能性が高まることから、ドル下支え材料となり123円方向となるほか、平均時給の注目度を相対的に高めることになるだろう。因みに現時点での市場予想は前月と同じ前年比+2.3%となっている。

なお、日銀短観も発表され、株安・円高が進みつつある中で市場予想を下回る場合には、市場の追加緩和期待が高まりドル/円の下支え材料となる可能性があるが、現在までの株安・円高は限定的であることから、市場の金融政策期待を大きく変えるような結果とはならなさそうだ。

ユーロ/ドルは、ギリシャのデフォルト(懸念の高まり)で売られ続ける訳でもなく、反発するとしても買い続けられる訳でもなく、方向感が失われている状況だ。結局、ユーロを本格的に動かすのはECBの金融政策とみられ、ユーロ圏景気の大幅悪化、インフレ率の再低下、株安などが前提条件として必要となりそうだ。

米国の利上げ開始もユーロ/ドル下落再開の引き金となる可能性があるが、ECBの金融政策ほどにはサプライズの要素がなく、またユーロ/ドルはどちらかというと独米間の2年金利差よりも10年金利差への連動性が高く、米国の金融政策期待の変化を反映しやすい2年金利の影響は受けにくくなっているとみられる。

豪ドル/米ドルも、ギリシャ問題や中国株価の乱高下の影響を殆ど受けておらず、方向感がない。本日発表の中国6月製造業PMIも50.2から50.4への小幅改善が予想されているが、この程度の変化であれば豪ドルへの影響は軽微とみられる。

但し、安値圏で推移している中で、米ドル買い材料が出た際に直近安値(0.7533ドル)を下抜けするかが注目となりそうだ。鉄鉱石価格も再び軟調になってきている。

なお、豪州では住宅建設許可件数も発表予定で、前月比でプラス転が予想されているが、豪州では好調な住宅市場に対しては金融規制措置(マクロプルーデンス政策)での対応が現在のところ中心となっており、金融政策(利上げ)での対応が焦点となっておらず、どのような結果でも豪ドル相場への影響は限定的とみられる。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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