個人消費,増税
(写真=PIXTA)

6月25日に発表された5月家計消費支出は、消費増税の影響が薄れ、実質ベースでも昨春増税前以来のプラス転換となった。雇用と賃金の増大による生活環境改善に加え、株高による資産効果、インバウンド消費など、様々な好材料が重なり合って消費が上向いているようだ。

この流れが定着すれば、外需頼みから脱却し、内需主導による本格的な景気回復に移行していくだろう。


昨春増税以来1年2カ月ぶりの消費増

総務省発表の5月家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出(単身世帯を除く)は、物価変動を除いた実質で前年比4.8%増となり、昨年増税前以来1年2カ月ぶりにプラス転換を果たした。

増税の影響が大きかった項目について、昨年同月から当月はどれだけ戻っているかを見てみよう。設備修繕・維持(リフォーム)などの「住居」は25.8%減から23.6%増であり、前年落ち込んだ分を取り戻している。冷蔵庫やエアコンなどの白物家電を含む「家具・家事用品」は15.5%減から19.3%増と、同様の現象が見られる。

自動車等関係費を含む「交通・通信」は7.9%減から14.8%増と大きく改善。パソコンやカメラなどの教養娯楽耐久財を含めた「教養娯楽」は3.8%減から1.9%減とマイナスから脱し切れていないが、それでも減少幅は縮小している。このように今回の消費回復は、まず前年の落ち込みの反動増であることが伺える。


生活環境の向上なども好影響

ただ改善の原因は、そうした特殊事情だけではない。増税で財政的に引き締めた代わりに、追加を含めて金融緩和を拡大し続けてきたことが、様々な形で消費の復調に寄与している。

金融緩和で円安になるため、外需増と合わせて輸出が伸び、企業業績も拡大し、雇用や賃金の増大に結び付いてきた。昨春以降、完全失業率は3%台で低位推移し、賃金も名目では概ね伸び続け、実質でもこの4月で0.1%減と、後少しでプラス転換にまできた。こうした生活環境の好転が消費マインドを上向かせている。

また金融緩和は株高につながり、それが投資家にとって資産効果となり、消費増に結び付く。さらに上述の円安で訪日外国人観光客が増え、インバウンド消費にもつながっている。

このような諸要因が時間をかけて浸透してきたことで、消費の反転という目に見える形にようやくなってきたといえよう。