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(写真=PIXTA)

◆昨日は、Tsiprasギリシャ首相がEU側の提案を条件付で受け入れる姿勢を示していたことや、米経済指標が市場予想を上回ったことから、米中長期債利回りの上昇と共にドルが全面高となった。

◆これに対しユーログループは国民投票まで新提案を検討しない旨表明、Tsipras首相も演説で強硬姿勢を示すなど、週内に進展する可能性は低下しているが、市場は非常に楽観的となっている。

◆ドル/円が123円台へじり高となった一方、ユーロ/ドルはドル高の影響を受けて下落した。

◆本日は、ギリシャ支援問題で何か展開がある可能性もあるが、米雇用統計が最大の注目材料だ。

ドルは昨日のADP民間雇用の予想比上振れを受けて好結果をある程度事前に織り込むかたちで既に対主要通貨で小幅上昇しているが、非農業部門雇用者数の伸びが市場予想程度であっても、平均時給が前月および市場予想を上回る伸びを示すようだと、年内2回の利上げの可能性が高まることからドルが続伸する余地がありそうだ。

◆良好な結果の場合に最も米ドルが上昇し易いペアとしてはNZドル/米ドルが挙げられるほか、豪ドル/米ドルも豪貿易赤字が予想よりも大きい場合には米ドル高豪ドル安が大きくなり易いだろう。

◆ドル/円は124円丁度を試す可能性もあるが、黒田総裁発言が意識される124円台で定着するには余程大きく市場予想を上回る必要がありそうだ。


昨日までの世界:市場は泰然自若

ドル/円は、Tsiprasギリシャ首相が債権者側の提案を妥協の土台として一部修正を条件に受け入れる意向を示した書簡を30日にEUに提示していたことを好感したほか、米ADP民間雇用者数の伸びが+23.7万人と前月および市場予想(各々+20.3万人、+21.8万人)を上回り、米ISM製造業景況指数も53.5と前月および市場予想を若干上回ったことから、本日発表の雇用統計への楽観が強まり、米中長期債利回りの上昇傾向につれて123円台を回復、一時123.24円の高値をつけた。

この間、ユーログループはギリシャが提案した最新の提案につき討議したと見られるが、Dijsselbloemユーログループ議長は国民投票までは新提案を検討しないとしたほか、Merkel独首相も国民投票の前にはいかなる修正案についても交渉を拒否する姿勢を示すなど、今週中は進展しない可能性も高まっているにも拘らず、市場は非常に楽観的なようだ。

ユーロ/ドルは、ギリシャ問題への楽観的な見方からか、米中長期債利回りの上昇を受けたドル高に下押しされるかたちで、1.11ドル台半ばから一時1.1043ドルへ軟化した。ドイツ10年債利回りも上昇しているが、上昇幅は米国債よりも若干小さく、金利差もドル高ユーロ安圧力となっていた。

ユーロ/円は、ユーロと円が対ドルでほぼ同程度の下落となったことから、136円台前半で方向感のない展開となった。

豪ドル/米ドルは、豪住宅建設許可件数が前月比+2.4%、前年比で+17.6%と市場予想を大きく上回ったことからアジア時間に一時0.7739ドルの高値をつけた。もっとも、欧米時間は全般的な米ドル高傾向の影響を受け、0.77ドル台前半から0.7639ドルへ軟化した。

この間、中国PMIについては製造業が50.2と市場予想を下回り前月から横這いに留まったが、非製造業分が53.8と前月から改善したことから、全体としてまちまちの結果だったこともあり豪ドルの反応は限定的だった。

豪ドル/円は、欧州時間にかけては米ドル/円上昇の影響が強く94.99円へ強含みとなったが、NY時間にかけては豪ドル/米ドルの下落の影響の方が大きく、94円台前半へ反落、結果として上下に振れたものの94円台での方向感のない動きだった。


きょうの高慢な偏見:ギリシャも雇用統計もドル買い?

ドル/円は、ギリシャ情勢で何か進展があり米中長期債が大きく動かない限り、米雇用統計が注目となる。

昨日のADP民間雇用の予想比上振れを受けて好結果をある程度事前に織り込むかたちで既にドル/円は123円台乗せへ小幅上昇しているが、非農業部門雇用者数の伸びが市場予想程度(+23.3万人)であっても、平均時給が前月および市場予想(いずれも前年比+2.3%)を上回る伸びを示すようだと、年内2回の利上げの可能性が高まることから続伸の余地がある。

124円丁度を試す可能性もあるが、黒田総裁発言が意識される124円台で定着するには余程大きく市場予想を上回る必要がありそうだ。

ユーロ/ドルも米雇用統計結果を受けたドル相場の動向の影響を受け易く、予想を上回る場合には1.10ドル割れ方向となりそうだ。

なお、ギリシャ支援を巡り、5日の国民投票を前にギリシャが最後に妥協する可能性もある。その場合でも、ユーロ買戻し材料となる面があると同時に、米利回りの上昇を通じてドル高ユーロ安となる面もあり、どちらの動きが大きくなるかは事前には判断しづらいのが実情だ。

豪ドル/米ドルも引き続き米ドル相場動向の影響を受け易く、米雇用統計結果が良好な場合にはまずは0.76ドル割れ、そして直近安値である0.7533ドル割れを試す展開となりそうだ。

特にアジア時間発表の豪5月貿易収支について、前回4月分が-38.9億豪ドルと急拡大し史上最大の赤字だったことから今回は赤字縮小が予想されているが、赤字が十分に縮小しない場合には、豪ドル安の側面も強まることから、豪ドル/米ドルは下落が大きくなる可能性がある。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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