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(写真=PIXTA)


結果の概要:失業率は低下したものの、労働参加率も低下

7月2日、米国労働省(BLS)は6月の雇用統計を公表した。6月の非農業部門雇用者数は前月対比で+22.3万人の増加1(前月改定値:+25.4万人)となり、前月から伸びが鈍化、市場予想の+23.3万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)も下回った。

失業率は5.3%(前月:5.5%、市場予想:5.4%)と、こちらは前月から低下、市場予想も下回った。一方、労働参加率2は62.6%(前月:62.9%)と前月から0.3%ポイント低下した。


結果の評価:FRBに9月の利上げを確信させるには程遠い内容

6月の雇用統計は、労働市場の「量」、「質」ともに改善を示した5月に比べ、強弱入り混じる内容となった。

6月の雇用増は、若干市場予想を下回ったものの、20万人超のペースを維持した。この結果、4-6月期の平均月間雇用増は、22.1万人と14年平均の26.0万人には及ばないものの、1-3月期の19.5万人は上回り、雇用者数のモメンタム改善を確認した。

一方、失業率は08年4月以来となる5.3%に低下し、6月に示されたFOMC参加者の15年見通し(5.2~5.3%)の上限に到達した。しかし、6月の失業率改善は、主に職探しを諦めて労働市場から退出する人が増加(労働力人口が減少)した結果を反映したものであり、数字が示すほど評価できる内容でなない。

実際、生産年齢人口に対する労働力人口の割合を示す労働参加率は、14年4月から続いていた62.7~62.9%のレンジを下抜けし、実に77年10月以来となる62.6%に低下した。

さらに、時間当たり賃金は、24.96ドル(前月:24.96ドル)と、前月比横這い(前月:+0.3%)となったほか、前年同月比でも+2.0%(前月:+2.3%)となるなど、いずれも前月から伸びが鈍化した。5月が力強い伸びとなり、賃金上昇率は漸く明確な上昇基調に入ったと期待されたが、その確認には暫く時間がかかりそうだ。

時間当たり賃金の伸び率

このようにみると、6月の雇用統計は雇用者数の伸びは良かったものの、労働参加率や賃金上昇率については、期待外れであったことが分かる。

6月のFOMC会合後に行われた記者会見でイエレン議長は、労働市場が全般的に改善基調にあるとした上で、労働参加率や賃金上昇率については、改善が十分ではなく更なる改善余地があることを示していた。6月の数値は、同議長が不十分だと評価した時点から、更に悪化したことになる。

FRBは政策金利引上げの条件として、「更なる労働市場の改善」を挙げているが、6月の雇用統計はその条件を満たしておらず、FRBが9月の利上げに確信を強めるには程遠い内容であった。9月のFOMCまでに発表される7、8月の雇用統計で「更なる労働市場の改善」が確認できるか注目が高まった。