米雇用統計,利上げ
(写真=Thinkstock/Getty Images)

7月2日に発表された米労働省発表の6月雇用統計によると、農業部門の雇用者数は22万3000人増となり、前月と比べ伸びが縮小。雇用増加数は予想の23万人に届かなかった。

失業率は5.3%となり、前月から0.2ポイント低下。リーマンショック前の2008年5月の5.4%に近い水準となった。失業者数が4.3%、就業者数が0.04%各々減少し、労働参加率が62.6%と0.3ポイント下落している。

労働力人口減少という懸念材料は見られるものの一時的な調整であり、雇用環境改善のトレンドに変わりはないだろう。冬場の落ち込みを抜け出した個人消費や住宅投資に支えられ、当面は労働市場も拡大していくだろう。

ただ利上げ以降に消費や投資が減速し、雇用も縮小する恐れがある。つまり、失業者が就職できずに職探しをあきらめて労働市場から退出したため、失業率が改善したことになる。

このように一見好ましくない傾向に見えるが、これは一時的な調整にすぎないと見るべきだ。労働市場の流れを見ると、2~3カ月単位で動いていることがわかる。まず景気回復傾向を見て労働市場に参入する人が増え、その人たちが就業できて失業率は改善する。

しかし就業できない人が徐々に増えて、失業率が一時的に悪化。その人たちがいったん就業を諦めて労働市場から出て行くので、失業率はまた改善する。例えば、4月は労働力人口が0.1%増え、就業者数も0.1%伸びて失業率は0.1ポイント低下した。

その良い流れが続いて、5月も就業者が0.2%増えたが、一方で失業者も1.5%増え、失業率は0.1ポイント悪化。そのため6月は就職をあきらめた人が増え、失業者が4.3%減少し、労働市場から出て行って労働力人口は0.3%マイナスとなり、失業率は0.2ポイント改善。

つまり、4月に労働市場へ人が流れ込み、5月に停滞して、6月に出て行ったということだ。その流れの中で、失業率は上下しながらも、全体として徐々に低下しきているのである。若干の違いはあるが、概ねこうしたサイクルを繰り返しながら、労働市場は改善してきているのだ。


非農業部門雇用者数とU-6失業率も改良を示す

上述のように、就業者数全体では減ったものの、非農業部門に限れば雇用者数は伸び続けている。6月も22.3万人増と、前月に続き景気回復目安の20万人増を持続。特に同部門全体の7割を占めるサービス部門が2カ月連続で20万人増のペースを維持。冬場の悪天候などによる落ち込みから抜け出して、雇用が堅調に伸びている様子がうかがえる。

また、通常の失業率(U-3=労働力人口に占める、失業者の割合)だけでなく、広義の失業率(U-6=U3に対して、フルタイム求職にも関わらずやむを得ずパートタイム労働の人を加算した割合)も良い流れにある。

これは本人の意に反して職探しをあきらめた人や、正規雇用を望みつつもパートタイムで働かざるを得ない人を含めた失業率だが、6月は10.5%となり、前月から0.3ポイント低下。やはり金融危機前の2008年7月の10.5%と同水準にまで回復している。

職探しをあきらめた人を含まない通常の失業率でも改善しているが、そうした人を含む広義の失業率ですら低下しているのであり、労働市場全体として良い流れにあることがわかるだろう。

このように、一見懸念が感じられるが、実態を見るとおおむね問題ないことが分かる。