Shanghai skyline in sunny day, China
(写真=PIXTA)

フィデリティ・ワールドワイド・インベストメントのシニア・インベストメント・ディレクター、マシュー・ザサーランド氏が6月12日、「アジア株式市場の見通し」をテーマにアジア市場の傾向と注意点について語った。

アジア市場の中でも最も注目されているのが中国だ。

「中国は非常に興味深い状況です。現状の見方に関しても、株が上がっているので株式市場が健全であるというものと、経済指標に関してはマイナスの指標も出ているので、これから落ちていくのではないかという正反対の方向性があります。

ポイントとしては、GDPの伸びが減速していること、経済成長の量から質への転換ができているのか疑問であること、債務削減ができるのか、短期的な経済・景気はどうなっているのかという点です。株式市場についても触れたいと思います」


GDP成長率の低下と経済のリバランス

「ニュースでは、日々中国の経済成長が鈍化、あるいは減速しており、世界経済の足かせとなっている趣旨の見出しを見かけますが、全く逆だと思っています。というのもアメリカは、依然として自分たちこそが経済の成長の牽引力であり、中国は足かせであるといったイメージを持たせようとしているからです。中国は、アメリカの2倍のスピードで伸びていて、必ずしも経済成長が減速しているわけではありません。

あくまでも成長率が減速しているわけで、マイナス成長であるわけではありません。6%、7%の年率の成長というのは、健全な成長率でありますし、これを高い水準だと見る国は山ほどあります」

たしかに流れてくるニュースを鵜呑みにせず、あくまでも数字を元に判断する必要はあるだろう。

「ただ、経済のリバランスは必要です。中国は、投資と消費の割合のバランスを取らなくてはなりません。先進国では、70%が消費、30%が投資という割合です。中国の場合には50:50です。ですから、中国は投資に依存した成長から消費へと転換しなくてはならないというわけです。

今後の中国の改革は、消費を刺激し、投資を抑えるということで進めていけば成功するでしょう。実際、総投資額は減少しているということは、GDPに占める投資額が減っているということで、その裏には消費を引き上げよう、という思惑があるのです」

では、投資の制約はどのように行っていくのだろうか。

「簡単に言えば、信用を抑えようとする動きです。中国の融資総量、信用供与の増加率を見ていきますと、ローン、社債、クレジット、オフバランスとどれも非常に抑えてきています。全体の融資総量、クレジット、信用供与が下がってきている中でとくに大きく下がってきているのが一番危険な部分、つまりシャドーバンキングと呼ばれるオフバランスシートのファイナンスです。

これが大きく下がっているので、構造や仕組みにとって危険になる要因をうまく下げていくことができます。ただ、当然ですが信用供与を下げるということになりますと、その他の増資(投資)に対して水を指すという格好になります。

その分を消費に回してほしい、という政府の意志ですが、残念ながら現段階では消費の拡大に繋がっていないので、成長の見込みは非常に弱くなるという経済状況です」