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(写 真=PIXTA)


今週の特徴:中国四千割れの歴史

今週は、週初のギリシャ国民投票結果を受けたユーロ圏離脱懸念よりも、中国株価の大幅下落を受けたリスク回避の方がインパクトが大きく、米中長期債利回り、他国株価およびコモディティ価格の下落を伴いつつ、ドル/円を中心とした円全面高、豪ドルなどコモディティ通貨の下落が大きかった。

9日にはようやく中国当局の株価下支え対策が奏功し始め、中国株価と共に米利回り、ドル/円、豪ドルなどが反発に向かった。この間、ギリシャ問題の当事者であるユーロは対ドルで非常に安定して推移した。


来週の見通し:ブリュッセルで世界3大がっかりイベント?

来週は、まずは週末12日のギリシャ支援を巡るEU首脳会合が注目となり、ギリシャの新改革案を受け入れ追加支援に向けた動きとなる場合には、(ユーロ圏の長期的な信認低下にはつながるが)短期的にはリスク回避の動きが更に広がり、特にドル/円が恩恵を受けそうだ。

他方、EUとギリシャの歩み寄りがみられないと、ギリシャのユーロ圏離脱リスクが更に高まり、リスク回避的傾向が再び強まりそうだ。中国株価の反落もリスク要因で、ドル/円の下押し要因となる。

■ドル/円

◇今週レンジ:120.41~122.93円(想定より1円以上下振れ)

(前週時点の予想:121.5~124.5円)

ドル/円は、週明けには週末のギリシャ国民投票で債権者側の改革案に対して明確な反対多数となったことから、リスク回避傾向の強まりを受けて前週末の122円台後半から一時122円割れとなった。

その後、7日のユーロ圏首脳会合での対応協議に向けて、強硬派とみなされていた財務相の辞任などギリシャ側の譲歩姿勢が垣間見られたほか、首脳会合で週末12日に緊急EU首脳会合の開催を決定し、それに向けてギリシャが新提案を提出することとなったため、合意期待からドル/円は122円台を維持した。

もっとも、8日には中国当局の各種株価下支え対策にも拘らず中国株価の急落が続くと、金融市場全般のリスク回避傾向が急速に強まり、ドル/円は120.41円へ急落した。その後9日に中国株価が反発すると、リスク回避傾向が後退し、米利回りの持ち直しと共に121円台を回復している。

◇来週予想レンジ:120.0~123.0円

ドル/円は、中国株が安定化しギリシャにつき週末12日のEU首脳会合(於ブリュッセル)で追加支援に向けた進展がみられるという前提の下では、米経済指標に焦点が移り、米中長期債利回りの持ち直しと共に122円台半ば方向へじり高となりそうだ。来週の米経済指標では、14日の小売売上高、15日の鉱工業生産、17日のコアCPIなどが注目される。

但し、コアPCEデフレータや平均時給の伸びが鈍化している中で、コアCPIの下振れリスクがあること、また16日のYellen議長議会証言で年内利上げ開始に含みを持たせつつも、インフレ低迷を背景に利上げ開始を急がない姿勢が示されると、米ドル上値抑制リスクとなる。

ドル/円は6月5日に125.86円の高値をつけて以降、上値が切り下がっており、余程の好材料が出てこないと、123円を目前に上値の重さがより強く意識されることとなりそうだ。

他方、週末のEU首脳会合でギリシャの新提案を受け入れない姿勢が示される場合、ギリシャのユーロ圏離脱のリスクが更に高まることとなり、再び120円を試す展開となりそうだ。

■ユーロ

◇今週レンジ:1.0916~1.1125ドル、133.31-136.07円(想定より上値が限定的に)

(前週時点の予想:1.080~1.140ドル、133.0~139.0円)

ユーロ/ドルも、ギリシャ国民投票結果を受けて前週末の1.11ドル丁度近辺から週明けに1.10ドル割れへ下落したが、当事者の割には小幅な下落に留まった。7日には、原油価格の下落やドイツ10年債利回りの大幅低下を眺めて続落し、1.0916ドルの安値をつけたが、その後は中国株価の大幅下落を背景とした市場全般のリスク回避傾向にも拘らず強含みで推移し、9日にかけて一時1.11ドル台を回復した。総じて1.10ドル台を中心に方向感のない展開が続いた。

ユーロ/円も、ギリシャ国民投票結果を受けて前週末の136円台から週明けに134円割れへ下落してスタートした。

6日にはギリシャ財務相辞任で合意の可能性が高まるとの期待もあってか一時136円台を回復する局面も見られたが、その後は全体的に重く推移し、8日の世界的なリスク回避傾向の高まりの際には133.31円へ下落、5月26日の安値(133.16円)に迫った。但し週末にかけては、中国株価の反発や10日早朝のギリシャによる新改革案提出を好感し、135円台を回復して推移している。

◇来週予想レンジ:1.080~1.120ドルユーロ/円予想レンジ:132.0~137.0円

ユーロ/ドルは、これまでギリシャ問題に対する反応が非常に限定的で、週末12日のEU首脳会合でギリシャの新提案が受け入れられずギリシャのユーロ圏離脱の可能性が更に高まる場合でも、最大で5月27日の安値である1.0819ドル程度への下落に留まりそうだ。

他方、何らかの進展が見られる場合には、米独の中長期債利回りの同時上昇でユーロ/ドルは方向感が出にくく、上昇も1.12ドル止まりとなりそうだ。なおECB定例政策理事会が16日に予定されているが、ギリシャ問題が焦点となる中で金融政策は焦点から外れており、市場を動かす材料にはなりそうにない。

ユーロ/円も、足許は小反発しているが、中国株安やギリシャのユーロ圏離脱リスクの高まりの場合にはドル/円の下落と共に5月26日の安値(133.10円)を割り込むとに130円方向へ下落が加速しそうだ。他方、好材料が出ても、ドル/円の上値の重さも手伝って、137円程度への上昇に止まりそうだ。

■豪ドル

◇今週レンジ:対米ドル0.7372~0.7533ドル、対円89.16~92.42円(想定より下振れ)

(前週時点の予想:対米ドル0.740~0.780ドル、対円92.0~95.0円)

豪ドル/米ドルは、ギリシャ国民投票結果を受けた週明けの下落は0.75ドル丁度近辺から0.74ドル台半ばへと限定的だったが、中国株の下落幅が大きくなるにつれて次第に中国実体経済への悪影響懸念が広がり、原油、銅、鉄鉱石などのコモディティ価格全般に下落圧力がかかり始めたことから、8日に一時0.7372ドルと09年4月以来の安値をつけた。

但しその後は、中国株価の反発や9日発表の豪6月分失業率の予想比低下を受けて利下げ期待が後退し、0.74ドル台後半へ反発している。

豪ドル/円は、米ドル/円の影響も受けて下落が大きくなり、週明けに92円台前半から91円割れへ下落、その後9日にかけて89.16円へ大幅に下落した。但しその後は中国株価反発や豪失業率の予想比低下を受けて91円台へ反発している。

◇来週予想レンジ:対米ドル0.730~0.760ドル、対円88.0~93.0円

豪ドルは、中国株価に加えて15日発表の中国主要経済指標が注目される。中でも2QGDPが重要で、前期の前年比+7.0%から減速予想となっている市場予想(+6.8%)を更に下回ると、鉄鉱石など豪州の主要輸出品の需要および価格の低下懸念を通じて豪ドルに再び売り圧力がかかりそうだ。

今週末のギリシャを巡るEU首脳会合後のユーロ圏離脱懸念の高まりもリスク要因で、7月8日につけた年初来安値である0.7372ドル割れを試す展開となりそうだ。その下には節目となる0.70ドルまで目立ったサポートはなさそうだ。豪州の材料は比較的少なく14日のNAB企業景況感くらいしかない。

豪ドル/円も6月末以降急落しており、ギリシャや中国発の悪材料の場合には年初来安値である88.24割れが視野に入る。

(今週のレンジ実績は月曜から金曜昼頃まで、数値はBloombergより)

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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