安倍
(写真=Getty Images)

アベノミクスには大きく誤解され、それが固定観念になってしまっていることがあるようだ。よく聞く固定観念は、第一の矢(大胆な金融政策)と第二の矢(機動的な財政政策)は効果を発揮しているが、第三の矢(民間投資を喚起する成長戦略)がうまくいっていないという見方だ。

企業貯蓄率は企業活動の強さを表す指標であり、マイナスであるべき企業貯蓄率がプラスになってしまっていること(デレバレッジ)は、企業と家計の資金の連鎖からドロップアウトしてしまう過剰貯蓄が総需要を破壊する力となり、内需低迷やデフレの長期化の原因になってしまっていることを意味する。

プラスの領域でも、企業活動が回復し、デレバレッジが緩み、企業貯蓄率が上昇から低下に転じると、総需要を破壊する力が弱くなり、循環的に内需回復・デフレ緩和の動きが始まる。アベノミクスとは、「三本の矢」の政策により企業を刺激し、企業のデレバレッジを止め、企業活動の回復の力を使って構造的な内需低迷とデフレからの完全脱却を目指すものである。

言い換えれば、企業貯蓄率を低下させ、マイナスに戻すことが目的であると考えられる。企業貯蓄率は2010年7-9月期の+8.5%のピークから順調に低下し、アベノミクスによりその低下は加速してきた。

2015年1-3月期には企業貯蓄率は+1.6%まで低下し、企業のデレバレッジが完全に止まるとともに、総需要を破壊する力が完全に消滅し、構造的な内需低迷とデフレが終焉するポイントである0%までもう一息のところまでたどり着いた。