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(写真=Thinkstock/GettyImages)

◆昨日は、Yellen議長議会証言でハト派度が後退したとの見方や、米経済指標が軒並み市場予想を上回ったことを受けてドル高が進行、ドル/円は一時123.97円へ上昇した。

◆また、原油価格反落に加えてカナダ中銀が十分に市場に織り込まれていなかった利下げを実施したことからカナダドルが1%以上下落、NZドルや豪ドルも対米ドルで大幅つれ安となった。

◆本日は、ギリシャ議会での改革案法制化採決結果、ECB政策理事会、ユーログループ会合、米新規失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀サーベイ、Yellen議長議会証言(2回目)などが予定されている。

いずれも大きな材料とはなりにくく、昨日のドル高の持続性が焦点となるが、Yellen議長発言後の米中長期債利回りの反落傾向をみるに、ドルは続伸より反落リスクの方が大きそうだ。

◆ギリシャ議会では無事可決されれば特段材料とはならず、ECB政策理事会でも追加緩和などは当面予想されていない。


昨日までの世界:ハト派的ではなかったYellen議長、カナダ中銀利下げで米ドル高拡大

ドル/円は、123円台半ばへ強含みで推移した後、Yellen・FRB議長の議会証言での発言で、予想通りに景気回復が進展すれば年内に利上げ開始に踏み切る姿勢を再確認し、最近のPCEデフレータの低迷は一時的な影響による可能性が高いと述べ、かつ利上げ開始が遅れた場合にその後の利上げを急がねばならなくなるリスクを指摘するなど、全体としてハト派度が後退したとの見方に繋がったほか、ほぼ同時に発表された米経済指標も、コアPPIが前年比+0.8%、NY連銀製造業景況指数が3.86、鉱工業生産が前月比+0.3%といずれも前月から改善し市場予想を上回ったこともあり、米中長期債利回りの上昇と共にドルが全般的に上昇、ドル/円は一時123.97円へ上昇した。

NY時間引けにかけては米中長期債利回りが反落し元の水準に戻ったことからドル/円も小反落したが123円台後半は維持しており、ドルの底堅さを印象付ける動きとなっている。

なお、日銀は中間評価で15年度の成長率予測およびコアCPI予測を予測期間全般にわたり小幅下方修正したが、景気・物価認識・見通しは変更しておらず、当面追加緩和が予想されない状況は変わっていないことから、為替市場への影響は殆どみられなかった。

ユーロ/ドルも、Yellen議長発言や米経済指標の予想比上振れを受けたドル高により、1.10ドル台前半から一時1.0930ドルへ下落した。ギリシャでは議会前で反緊縮派の暴徒化がみられたが、議会が第3次支援協議開始に必要な各種改革案の法制化に向けて審議を開始したが、東京時間16日朝の時点でまだ審議・採決は終わっていないようだ。

ユーロ/円は、欧州時間にはドル/円の強含みと共に一時136円台前半へ強含む局面も見られたが、その後は対ドルで円よりもユーロの下落の方が大きかったことから135円台半ばへ反落した。

豪ドル/米ドルは、中国主要経済指標が軒並み市場予想を上回り、2QGDPは前年比+7.0%と前期から減速せず政府目標を維持したことから0.74ドル台半ばから一時0.7489ドルへ上昇した。

もっともNY時間入り後のYellen議長発言や米経済指標の予想比上振れを受けた米ドル高に加えて、カナダ中銀が市場に十分に織り込まれていなかった25bpsの利下げを実施したことから、カナダドルの大幅下落につれるかたちで続落、一時0.7354ドルと年初来安値を更新した。

豪ドル/円も豪ドル/米ドルと同様の動きとなり、中国経済指標の予想比上振れを受けて一時92.43円へ続伸した後、NY時間に91.11円へ大幅反落した。

ポンドは、重要経済指標発表を控えて1.56ドル台半ばで強含みで推移した後、週平均賃金が前年比+3.2%と前月から加速したものの市場予想を若干下回ったほか、失業率も5.6%と予想外に小幅上昇したことから、一時1.56ドル丁度程度へ反落した。

そしてNY時間のYellen議長発言や米経済指標の上振れを受けて1.56ドル割れへ続落したが下落は限定的で、むしろその後再び1.56ドル台前半を回復しており、結局前日比では横這い圏内で引けるなどポンドの底堅さが示された。


きょうの高慢な偏見:ドル高は続くのか?

ドル/円は、新規材料が少ない中で昨日のドル高の持続性が焦点となるが、Yellen議長発言後の米中長期債利回りの反落みるに、ドルは続伸より反落リスクの方が大きそうだ。

Yellen議長の2回目の議会証言で昨日の発言に関して特段の修正がなく、米新規失業保険申請件数も市場予想から大きく乖離しなければ、124円の重さが再確認されそうだ。

リスクとしてはギリシャ議会での第3次支援協議開始に必要な各種改革案の法制化に向けた審議結果で、賛成多数で可決が予想されているものの、その後の政局不安に繋がるような場合にはリスク回避的な動きから米利回り低下と共にドル安リスクがある。

ユーロ/ドルは、米ドル高の影響が強く出るかたちでやや軟調が続いているが、ギリシャ議会での審議結果でもユーロ高となるかユーロ安となるかは判然とせず、依然として今年5月以降の1.08-1.14ドルのレンジ内にあり、方向感がない展開が続きそうだ。

ECB政策理事会では追加緩和は予想されておらず、ギリシャ向け緊急流動性しエンン(ELA)拡大の有無を決定する見通しだが、ギリシャ議会での審議結果次第で、無事可決されれば拡大の可能性があり、この場合には市場が好感する可能性があるが、ユーロ高に繋がるかは不明だ。

豪ドル/米ドルは、下落基調が強まっている中で、中国株価が続落したり、原油価格の続落を受けてカナダドルなどコモディティ通貨が続落するようだと、つれ安となりそうだ。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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