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(写真=PIXTA)

中国株式市場やギリシャ問題を巡る一時的混乱を経て、金融市場は再び米利上げ開始とドル高を衷心としたテーマに戻りつつあり、米ドルは特にNZドルなどコモディティ通貨に対して上昇基調が強まっている。

そうした中にあっても対米ドルで下落せず、むしろ英景気の好調を背景に米ドルに追随して堅調なのがポンドだ。特に賃金上昇の加速を受けて英中銀高官のタカ派的な発言が相次いでおり、年内の利上げ開始を視野に、対ユーロを中心に上昇が続きそうだ。目先、BoE議事要旨で利上げ票がいつ、何票出てくるかが注目となる。


対ユーロを中心に上昇基調が続く

ポンド/ドル相場は、昨年7月までは米国よりも先に、昨年中の利上げ開始もあり得るとの見方が台頭する中で上昇基調が続き、昨年7月に1.7192ドルの高値をつけた。

もっとも、その後英中銀(BoE)が突如、当時前年比マイナスで推移していた賃金を重視して金融政策を運営する姿勢を示したことから、ドル高基調と相俟って反落、今年5月の総選挙で二大政党のいずれも単独過半数を獲得できない「宙ぶらりん議会」へのリスクやEU離脱(BREXIT)を主張する英独立党の台頭への懸念から今年4月13日に1.4566ドルの安値をつけ、昨年ピーク比で実に15%の下落となった(図表1)。

もっとも、4月安値の後、5月7日に総選挙を控えていたにも拘らずポンドは反発をはじめ、かつ総選挙では事前の世論調査に反して保守党の単独過半数獲得となったことから政局不安定リスクが後退して続伸、振れを伴いつつも6月18日に1.5930ドルの高値をつけた(ボトム比+9.4%)。

この間、対ユーロでは昨年後半もポンド高基調が継続しており、今年入り後はECB量的緩和を受けたユーロ安もあって上昇が加速、6月29日には0.6988ポンドと2007年以来のポンド高水準となっている(図表2)。

円でも、昨年10月末の日銀の追加緩和もあってポンド高円安基調が継続、6月24日に195.88円と2008年9月のリーマンショック発生後の急落前の水準に近づいた(図表3)。


タカーニー総裁?:BoE高官のタカ派化

特に今年6月入り後は、週平均賃金(AWE)の加速とした労働市場の改善継続を背景に、英中銀(BoE)高官からタカ派的な発言が相次いでいる(表1)。

基本的には9名の金融政策委員のうち最もタカ派的な委員らの発言が主で、昨年8月から12月の金融政策委員会(MPC)で利上げ票を投じていたWeale、McCafferty両委員とみられる2委員が、6月会合で据え置きと利上げの間は微妙なバランスだと議論していたことが議事要旨で明らかになっている。

特にWeale委員は、早ければ8月会合での利上げに向けて準備すべきと発言したと報じられた(6月23日、英FT紙)。もう一人、タカ派として知られるMiles委員も利上げ時期が近い、米国の利上げを待つ必要はない、と述べ、年内利上げ開始の必要性を示した(7月14日)。

もっとも、タカ派委員らだけでなく、Carney総裁も利上げ開始時期が近づいていると述べたほか(7月14日)、Cunliffe、Shafik両副総裁も労働市場の引き締まりを指摘するなど、タカ派的な姿勢を示す委員が日に日に増えている印象だ。逆に明確に利上げ慎重姿勢を示しているのは、チーフエコノミストであるHaldane理事くらいだ。

MPCの意思決定はコンセンサス重視の日米ユーロ圏とは異なり個人主義的とされ、単純に数が物を言う傾向が強い。かつては総裁が少数派に回ったこともあり、今次局面でもチーフエコノミストが利上げに慎重なままでも賛成多数で利上げを開始する可能性は低くない。

今後、早ければ7月22日公表の7月MPC議事要旨で最もタカ派な委員らが1-3名利上げ票を投じ始め、従来の全会一致で据え置きから利上げモードに転じる可能性があり、毎月第3水曜に公表される議事要旨への注目度が高まってくるだろう。

最近のBoE金融政策委員会(MPC)委員の発言