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(写真=PIXTA)

ドル円相場は、ギリシャ情勢の緊迫化と中国株価急落に伴うリスク回避の円買いで7月上旬に120円台まで下落したが、以降反転し、足元は124円台前半まで回復している。ギリシャ情勢と中国株下落の沈静化、ならびに思ったほどハト派的ではなかったイエレンFRB議長の議会証言が円安ドル高に作用したためだ。

既にギリシャ問題が峠を越え、市場のメインテーマが再び米利上げに戻ってきた中で、米経済の先行きは概ね堅調な推移が予想されるため、今後は米国の年内利上げへの市場の意識が徐々に高まる形となり、ドル円が上値を試す展開になるだろう。

ただし、125円を超える領域では日米当局によるけん制が警戒されやすく、ドル高の勢いが削がれるため、急激な円安ドル高は期待しがたい。3ヵ月後は現状比で小幅な円安ドル高に留まりそうだ。なお、中国株の動向には引き続き注意が必要。再び不安定化すれば、一時的な円高局面が発生するだろう。

ユーロ円相場は、6月下旬の140円間際から、足元では134円台後半まで下落している。欧米金融政策の方向性の違いは明確であり、今後もドルに対してユーロは下落すると見込まれるが、日欧金融政策はともに大規模緩和中で出口までの距離も残っているため、円とユーロでは方向感が出にくい。従って、ユーロ円は今後一進一退の推移となり、3ヵ月後の水準も現状程度と予想する。

長期金利は最近膠着ぎみの推移が続いており、足元は0.4%台前半にある。今後3ヵ月を展望すると、米利上げ観測に伴う米長期金利上昇が上昇圧力となることで、本邦長期金利も水準をやや切り上げると見るが、日銀の大量国債買入れによって、その上昇余地は限られるだろう。(執筆時点:2015/7/21)

マーケットカルテ8月

上野 剛志
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 シニアエコノミスト

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