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(写真=PIXTA)


貿易収支の改善傾向は続く

財務省が7月23日に公表した貿易統計によると、15年6月の貿易収支は▲690億円と3ヵ月連続の赤字となり、市場予想(QUICK集計:370億円、当社予想は▲631億円)を下回る結果となった。

ただし、輸出が前年比9.5%(5月:同2.4%)と前月から伸びを大きく高める一方、輸入が前年比▲2.9%(5月:同▲8.7%)と6ヵ月連続で減少したため、貿易収支は前年に比べ7,650億円の改善となった。

輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比0.0%(5月:同▲3.8%)、輸出価格が前年比9.5%(5月:同6.4%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲1.4%(5月:同▲5.3%)、輸入価格が前年比▲1.6%(5月:同▲3.6%)であった。

貿易収支の推移

原数値の貿易収支は小幅な赤字にとどまったが、6月は貿易収支が改善しやすいという季節性も影響している。6月の貿易収支を季節調整値で見ると▲2,517億円の赤字となり、赤字幅は5月の▲1,552億円から拡大した。

輸出入ともに前月比で増加したが、輸入の増加幅(前月比5.8%)が輸出の増加幅(同4.4%)を上回った。季節調整済の貿易収支は東日本大震災が発生した11年3月から4年以上にわたって赤字が続いている。


4-6月期の輸出数量は全ての地域向けで低下

6月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲3.0%(5月:同▲6.7%)、EU向けが前年比6.5%(5月:同1.4%)、アジア向けが前年比3.1%(5月:同▲2.2%)となった。

4-6月期の輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)で見ると、米国向けが前期比▲4.8%(1-3月期:同2.5%)、EU向けが前期比▲0.9%(1-3月期:同4.9%)、アジア向けが前期比▲5.1%(1-3月期:同1.8%)、全体では前期比▲3.7%(1-3月期:同0.3%)となった。

EU向けは1-3月期が高い伸びとなった反動もあり、米国向けは年初の寒波、港湾ストの影響が遅れて現れている可能性があるが、アジア向けは中国、その他新興国の景気減速を受けて実勢として弱い動きになっていると判断される。

地域別輸出数量指数(季節調整値)の推移

4-6月期の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は前期比▲2.6%(1-3月期:同1.6%)と2四半期ぶりに低下した。輸入は回復傾向が続いていたが、このところ個人消費を中心に国内需要が停滞していることを反映し、やや弱めの動きとなっている。


貿易赤字は横ばい圏の推移が続く見込み

6月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=64.0ドル(当研究所による試算値)となり、5月の59.3ドルから上昇した。

ドバイ原油は、1月の40ドル台半ばから5月、6月には60ドル台まで上昇したが、7月に入り50ドル台まで下落している。通関ベースの原油価格は7月に若干低下した後、8月には60ドル割れまで下落することが見込まれる。

一方、調達価格が原油価格連動型の長期契約となっている液化天然ガス(LNG)の輸入価格は下落を続けてきたが、原油価格がいったん上昇したことが遅れて反映されることにより、先行きは上昇に向かうだろう。

原油価格の下落と液化天然ガスの上昇が相殺することにより鉱物性燃料の輸入価格は当面横ばい圏で推移する可能性が高い。世界経済が全体として減速傾向となっており、輸出の大幅な回復が見込めないことを合わせて考えると、貿易収支の赤字幅も現状程度の水準が続くことが予想される。

原油価格(ドバイと入着ベース)の推移


4-6月期の外需寄与度は2四半期連続でマイナスに

6月までの貿易統計と5月までの国際収支統計の結果を踏まえて、15年4-6月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比▲3%程度の減少、輸入が前期比▲1%弱の減少となることが見込まれる。

この結果、4-6月期の外需寄与度は前期比▲0.5%(年率▲2%程度)となり、1-3月期の前期比▲0.2%(年率▲0.7%)からマイナス幅が拡大するだろう。

当研究所では鉱工業生産、家計調査、建築着工統計等の結果を受けて、7/31のweeklyエコノミストレターで15年4-6月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。

現時点では、住宅投資、公的固定資本形成は比較的高めの伸びとなるものの、外需のマイナス幅が拡大することに加え、個人消費が4四半期ぶりの減少となることから、実質GDPは前期比年率▲1%程度のマイナス成長になると予想している。

斎藤太郎
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 経済調査室長

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