生産
(写真=Thinkstock/Getty Images)

6月の生産は、5月の落ち込みのわりに、リバウンドは小さく、足もとは弱い動きとなっているが、米国需要に支えられた輸出の持ち直しと企業が在庫投資に徐々に前向きになることを考えると、年後半は堅調になってくると考える。

6月の鉱工業生産指数は前月比+0.8%と、コンセンサス(+0.3%)を若干上回った。4月の同+1.2%、5月の-2.1%と振れが大きくなっていた。ゴールデンウィークの並びが長期休暇がとりやすい形であった要因などにより、5月は落ち込んでいたと考えられていた。

しかし、6月の実質輸出は前月比+0.9%と、5月の同-5.0%の大きな落ち込みの後としてはリバウンドは弱かった。生産も同じく、5月の落ち込みのわりに、リバウンドは小さく、4-6月期は前期比-1.5%(1-3月期同+1.5%)と弱かった。まだ海外の需要動向が不安定で、海外での部品・製品を含めた在庫投資に企業は慎重であるのだろう。

7月の月例経済報告では生産の判断が、「このところ一部に弱さがみられるものの、持ち直している」から、「このところ横ばいになっている」へ下方修正された。これまでも日本の生産者は在庫投資に慎重であったため、在庫の問題は大きくなく、生産が底割れしていくことはないだろう。

7・8月の経済産業省予測指数は前月比+0.5%・+2.7%と堅調である。米国の消費活動は立ち直ってきており、中国の成長モメンタムも底を打ちつつあることを考えれば、7月以降の輸出と生産活動は4-6月期よりはしっかりとしてくると考える。

2015年後半の生産動向は、米国景気の回復により輸出がどれだけ力強く回復するかにかかってくる。そして内需も総賃金の拡大を背景に堅調であり、生産動向も増加基調が徐々に強くなってくる考える。持続的な経済成長、そして物価・コストも持続的に上昇することを企業が予測し始めれば、在庫管理システムの更なる効率化を考慮しても、在庫削減から投資に変化してくるはずだ。

ましてや、完全雇用や過度な円安によるコスト上昇が企業の将来の活動を抑制してしまうリスクとなるほどであれば、在庫を削減するのは企業にとって合理的ではないはずだ。コストや価格が上昇する前の生産活動の拡大による現在の在庫投資(製商品、流通在庫、仕掛品、素原材料のどれでも)は、将来のコスト削減や利益増加につながると考えられるからだ。

現在、在庫投資がまだかなり抑制的であることは、円安がコスト上昇などの経済の弊害にはなっていないことを意味する。実質GDPの民間在庫の変化はまだマイナスになっており、プラスに変化していくと考えられる。

企業の期待成長率と期待インフレ率が上昇してきているため、在庫に対する方針が、調整から投資に徐々に変化してくるとみられることは、生産活動を支えていくことになるだろう。鉱工業生産在庫指数が4-6月期に前期比+0.9%と6四半期連続で緩やかに上昇しているのは、需要減で在庫が積みあがっているわけではなく、そのような変化が着実に進行しているのだろう。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

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