物価
(写真=Thinkstock/Getty Images)

日銀は「2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで」、マネタリーベースを「年間約80兆円」増加させるコミットメントを続けている。そして、目標の達成時期の予想を「2016年度前半頃」としている。

マーケットは、日銀の予想通りに2%の安定した物価上昇率が実現するのか懐疑的なようだ。物価のトレンドがどのように決まるのか、しっかり確認しておく必要があるだろう。

コアCPI(消費税除く)前年比は、国内の物価上昇圧力を示す総賃金前年比、海外からの物価上昇圧力を示す米国CPI前年比、そしてドル・円の動きでうまく説明できることが分かっている。

ドル・円は3年前比がもっとも有効であり、単年の動きではなく、トレンドが形成されるとようやく企業も価格を改定し、物価に影響を与え始めることが分かる。コアCPI=-0.62+0.28 総賃金 +0.27 米国CPI +0.020 ドル円3年前比 + 1.13  アップダミー(誤差が1SD以上は1、1992・1993・2008・2009年)-0.78  ダウンダミー(誤差がー1SD以下は1、1988・1989・1990、2000・2001年・2015年)、R2= 0.96

総賃金の拡大が3%程度、米国のCPIの上昇が2%程度、そしてドル・円が130円程度という強めの前提をおくと、2016年のコアCPIの推計値は+1.4%程度となる(弊社の予想は+1.2%)。

強めの前提をおいて+1.4%程度の推計値であるので、日銀の予想通りに「2016年度前半頃」に2%の安定した物価上昇率を達成するのはかなり困難であるようだ。2016年に2%程度の推計値を得るためには、総賃金の拡大が4%程度、米国のCPIの上昇が2.5%程度、そしてドル・円が135円程度の前提をおかなければならない。

実現の条件は以下のようになるだろうが、ハードルはかなり高いように思われる。2015年後半に米国景気がかなり強い回復をし、FEDの利上げが加速する。グローバルな景気拡大に影響され、原油価格が大きくリバウンドする。そして、日銀の追加金融緩和もあり、大きな円安となる。さらに、財政による強い景気対策が打たれ、内需が拡大し、失業率が3%を大きく下回り、賃金上昇が大きく加速する。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

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