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(写真=Thinkstock/Getty Images)

8月6、7日の日銀金融政策決定会合は政策の現状維持となった。「2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで」、マネタリーベースを「年間約80兆円」増加させる現行のコミットメントを続ける。日銀のコミットメントに反し、消費税率引き上げ後の需要停滞と原油価格の下落などにより、消費者物価指数の伸びが止まってしまっている。前年同月比では夏場には若干のマイナスまで落ち込む可能性が高くなっている。

しかし、ここ数回の決定会合で物価が若干下落することを既に織り込んでいることを公表したが、追加金融緩和をしなかったことで、早期の追加金融緩和の可能性は低下している。景気の気(センチメント)の部分が、政策などに支えれて堅調なことが、デフレ完全脱却への動きの原動力となっている。

一方、輸出・生産・成長率などの実体経済や物価の動きは、この気の動きに比べてかなり弱い。実体経済や物価の動きが弱いにもかかわらず、日銀が追加金融緩和に動かず、目標達成までの果断な政策コミットメントが疑われてしまうと、マーケットの失望などにより景気の気(センチメント)の部分が悪化し、デフレ完全脱却への動きの原動力が失われてしまうリスクとなろう。実体経済と物価が強くなるまで、辛抱強く気の部分を政策で支え続ける必要がある。

日銀が織り込んでいるとしても、実際に成長率や物価上昇率が一時的にマイナスになるなど停滞が続けば、金融政策をめぐる状況が変化してくる可能性が高い。物価上昇率が停滞しているという報道が多くなることにより、期待インフレ率が低下するリスクが大きくなるからだ。昨年10月に日銀がマーケットの予想に反して追加金融緩和に踏みきった理由を、「原油価格の下落は、やや長い目でみれば経済活動に好影響を与え、物価を押し上げる方向に作用する。しかし、短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある」としていた。

原油価格は弱含み、マーケットの期待インフレ率も若干弱含んでいる。4月の展望レポートでも、「現実の消費者物価の前年比が当面0%程度で推移することが、予想物価上昇率の上昇ペースに影響するリスクがある」と指摘しており、同じよう状況に陥り、同じロジックによる金融緩和期待がマーケットで高まれば、日銀が追加金融緩和に踏み切る可能性があることが示唆されている。

1-3月期に続き、4-6月期の輸出・生産もまだ停滞気味で、5月の内閣府景気動向指数では、基調判断が「改善を示している」から「足踏みしている」に、9ヶ月ぶりに下方修正された。7月の政府月例経済報告では生産の判断が、「このところ一部に弱さがみられるものの、持ち直している」から、「このところ横ばいになっている」へ下方修正された。4-6月期の実質GDP成長率は1-3月期の前期比年率+3.9%からかなり鈍化し、一時的にマイナスとなる可能性が高くなっている。