米利上げ,人民元,グリーンスパンの罠
(写真=Getty Images)

中国の人民元切り下げが一服したことに伴い、米利上げの焦点は、米経済のファンダメンタルズの強さへと戻った。

米連邦準備制度理事会(FRB)が19日公表した連邦公開市場委員会(FOMC、7月28-29日開催)の議事要旨の公表を受け、金融市場ではFRBが9月に利上げに踏み切るとの予想が後退した。

専門家の米利上げ時期予想は「人民元切り下げの影響は限定的」とする見方から9月説が依然強いものの、12月と予想する声が以前より強くなっている。

中国人民銀行は先週、3日連続で人民元の対ドル基準値を変更するサプライズの切り下げを断行した。これが「中国経済収縮の確かな証拠」となり、米連邦準備理事会(FRB)が早ければ9月に行うと示唆してきた米利上げが、後にずれ込むとの声が上がった。しかし、人民元の切り下げは3%で一服し、より大規模な切り下げを予想していた市場は、拍子抜けとなった。

米投資顧問会社カンバーランド・アドバイザーズのデイビッド・カトック会長は8月17日、「中国通貨がほんの3%動いたことでFRBがその政策の実施時期を変更するなら、前代未聞の出来事になるだろう」と述べ、利上げ時期後ずれ説を一蹴。

米投資管理会社ウェスタン・アセット・マネージメントのポートフォリオマネージャーであるジョン・ベローズ氏も、「中国の通貨切り下げは、FRBに方針変更を迫るほど規模の大きいものではない」と断言した。

経済調査会社コーナーストーン・マクロのパートナー、ロベルト・ペルリ氏は、「年内、おそらくは9月利上げの可能性は、今もほとんど変わらない」とする。

こうしたなか、市場の関心事は米経済の強さ、特に労働市場に移っている。さらに、利上げの大きなポイントである物価上昇率、具体的には米消費者物価指数(CPI)がFRBの望み通りの伸びになるかにも大きな注目が集まっている。

興味深いのは、9月利上げ説が依然として根強い中、市場の「本音」ともいえるCMEフェドウォッチ指数が直近で9月利上げの可能性を41%とするのに対し、12月の可能性が68%と、人民元切り下げ前に9月説の勢いが強かった頃と対照的になっていることだ。