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(写真=PIXTA)


今週の特徴:コモディティ安とドル安

今週は、中国株安が世界景気減速懸念とコモディティ価格下落につながったと同時に、こうした状況下で米FOMC議事要旨でもインフレ低迷が指摘されるなどハト派的な内容と捉えられたことから、特に週央19日以降にドル安が進行し、ドル/円は124円台の横ばいから一時123.33円へ、ユーロ/ドルは7月以降の1.08-1.12ドルのレンジを上抜け1.1245ドルの高値をつけた。

他方、豪ドルは米ドル下落とコモディティ価格下落に挟まれ、対米ドルでは小幅軟化に留まったが、対円では91円台後半から90円割れへ下落した。なお、先週に続き今週もトルコリラが大きく下落しており、国内でのテロ多発や連立交渉不発による再選挙見通しの高まりから、一時41.19円の安値をつけた。


来週の見通し:カンフーよりカンフル剤が必要?

来週は、中国株価動向に加えて、米2QGDPの上方改定度合いと米コアPCEデフレータの低迷度合いを睨んだ動きとなりそうだ。

ドル/円は中国株価が安定化し、米経済指標のいずれも9月利上げ確率を高める強い内容の場合には、124円台を回復して推移しそうだが、逆の場合には123円割れのリスクが高まる。

豪ドルは、中国株価が続落する場合には再び年初来安値を試す一方で、ユーロは避難通貨として続伸し、7月以降のレンジ上限を上抜けする可能性がある。なお、中国では週末に何らかの株価対策・景気対策が発表される場合があり、その場合には内容次第で中国懸念が弱まるかもしれない。

◆ドル/円

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来週のドル/円は、中国株価動向と米経済指標結果を睨んだ展開となりそうだ。

米経済指標では、25日に新築住宅販売および消費者信頼感、26日に耐久財受注、27日に2QGDP改定値および中古住宅販売、28日にコアPCEデフレータなどが予定されているが、中ではGDP改定値が最大の焦点だ。市場予想では速報値の前期比年率+2.3%から+3.2%へ大幅に上方修正される見込みで、予想以上に上方修正となる場合には9月利上げ確率が再び高まり、ドル/円は124円台を回復しそうだ。

但し124円台回復と維持には、中国株安が一服する必要がある。他方、中国株価が続落する中で、米GDPやコアPCEデフレータが市場予想を下回ると、9月利上げ期待が更に後退し、122円丁度方向への調整もありそうだ。

なお、本邦では28日にコアCPIの発表が予定されており、前月の前年比+0.1%からマイナス0.2%へ低下、再びデフレリスクを意識させる予想となっており、実際にマイナス転が確認されると日銀の追加緩和期待が若干高まり円安圧力となるかもしれない。

もっとも、日銀が次第にエネルギーを除く指数に焦点を移し始めている中で、コアコアCPI(除く食料・エネルギー)は前年比+0.6%と比較的高い伸びが続く見込みで、その場合には追加緩和期待が高まりにくいだろう。

◆ユーロ

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来週のユーロ/ドルは、7月以降のレンジだった1.08-1.12ドルの上限を上抜けしている中で、中国株安や人民元の下落が再開する場合には、避難通貨としてユーロが買われる傾向が強まり、1.13ドル台への続伸となりそうだ。

なお、25日発表のドイツIfo景況感指数の悪化や、27日発表の米2QGDP改定値の大幅上方修正は上値抑制要因だが、中国株安が進行する中ではインパクトは限定的となりそうだ。

◆豪ドル

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来週の豪ドル/米ドルは、中国株価および原油や銅などのコモディティ価格を睨んだ動きとなりそうだ。中国株価やコモディティ価格が続落すると、豪ドルは元切下げ後の8月12日につけた年初来安値(0.7216ドル)を再び試す展開となりそうだ。この場合、対円でも7月9日の年初来安値(89.16円)を下回る可能性が高まる。人民元の下落が再開する場合にも、同様に下落圧力が強まりそうだ。

なお、豪州では27日に2Q資本支出サーベイが発表される。これは豪州企業の設備投資動向に関する調査で、鉱業セクターの投資が減少する中、非鉱業部門の投資が増加するかが豪州景気回復の鍵の一つであることから注目度が高い。非鉱業セクター投資は小幅増加傾向だが全体を押し上げるほどに強いかどうかが、焦点となる。但し、足許のコモディティ価格下落で、鉱業セクター投資の下方修正が大きくなるリスクもある。

(今週のレンジ実績は月曜から金曜昼頃まで、数値はBloombergより)

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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