品川1 (1) (写真=Thinkstock/Getty Images)


健康コーポ、RIZAP原動力で躍進

8月12日、健康コーポレーション <2928> が第1四半期(4-6月)の決算を発表した。赤井英和氏など有名タレントを起用して積極的なTVコマーシャルを打つトレーニングジム運営会社RIZAP(ライザップ)の親会社といえばピンとくる読者も多いだろう。

同社の事業は多岐にわたる。RIZAPを主体とする美容・健康関連事業はグループ売上高の約半分で、そのほか、アパレル、ライフスタイル、エンターテイメント関連に展開、ボーリング場運営や果てはゲームソフトの開発まで行っている。健康・エンタメのコングロマリットといったところだ。

2003年に健康食品の販売会社として創業、その後数々の企業買収や子会社統合を行って現在に至っている。現在の主力事業となっているRIZAPの歴史は比較的新しく、2012年2月に最初のジムを出店した。2006年5月には札幌証券取引所アンビシャス市場に上場している。

決算内容を見ていこう。第1四半期の業績はすこぶる好調。グループ売上高は一年前から4割強増えて121億円と四半期ベースで過去最高を記録、営業利益は2,700万円の黒字に転じた。通常、第1四半期は新年度入りで広告宣伝費を先行投入するため赤字となるケースが多く、一昨年と昨年がいずれも5億円前後の大幅な営業赤字であったことを考えると大きな損益改善だ。

その原動力となったのが、ほかでもないRIZAP事業である。6月末の会員数は3万5,000人を突破、実際の利用人数も6月には1万人を超えて、いずれも一年前からほぼ倍増した。月次売上高は今年2月に初めて10億円台に乗せたあと、6月には15億円超と前期比ほぼ倍増ペースの伸びが続き、5月6月と2ヶ月連続で過去最高売上を更新した。体質・体型の改善を望む消費者ニーズに、年初からの積極的な広告宣伝が訴求した結果といえよう。

事業セグメント毎の収益をみると、RIZAPを含む美容・健康関連事業の売上高が前年同期比で6割近く増え、営業損益は3億円以上好転、対売上高比の営業利益率でマイナス3.0%からプラス3.2%に大きく改善している。

他の事業でも損益は総じて改善、昨年同期には全てのセグメントで赤字だったが、今年は住関連ライフスタイルとエンタメがヒット商品とコスト削減効果で黒字に転じている。唯一、損益が悪化したのはアパレル事業で、売上高は大きく増えたが、競争激化や円安デメリットで営業赤字が拡大した。


今後の成長ドライバー、カギとなる3つの戦略

会社は2016年3月通期の期初予想を変えていない。連結売上高が前期比5割強増加の601億円、営業利益は同2.4倍近い約50億円で過去最高の業績を狙う。

今回の決算発表と同時にRIZAPは今後の成長に向けて大きく3つの戦略を打ち出した。医療機関との連携、法人向けプランの開始、そして海外展開の強化だ。

医療機関との提携では、RIZAPと病院が会員・患者を相互に紹介し、ともに顧客拡大を狙う。先進的な医療機関の間では、自らフィットネスジムの経営に乗り出す動きが広がっている。メディカル・フィットネスと呼ばれる新たな分野だ。医療にスポーツ科学を取り入れ、より効果的な治療を狙う。

今回RIZAPが打ち出した提携戦略は、会員からモニターした心拍数や肥満度など、いわゆるバイタル・データと医療機関が持つ所見を相互に活用し、その会員・患者に最も適したトレーニングや治療を行う。また、これと並行して、RIZAPでは医療ビッグデータを活用して将来の医療費負担額を予測するなどで会員の健康意識を高め、効果的なトレーニングを提供する。

これら医療面における提携・施策は現在、国策となっている「予防医療」の方向とも合致する。政府は「日本再興戦略」の一環として、一定の健康基準を満たす個人に対し経済的インセンティブを与え、病気を未然に防ぐとともに財政負担の軽減を狙っている。

このような国策を背景に、医療機関もメディカル・フィットネスを積極的に取り入れると期待され、とくに資金力が脆弱な中堅医療機関にとって、RAIZAPの提携戦略は「渡りに船」となりそうだ。RIZAPは既に10の医療施設と提携済み。今年度中に100施設との提携を目指すが、来年度以降も国策の後押しでさらに増えると見込まれる。

これはシニア層の会員獲得でも強力な助っ人になりそうだ。RIZAP利用者のうちシニア層は2%、他のフィットネス大手の30%前後に比べるとまだ大きな開拓余地がある。単なるフィットネスやトレーニングだけでなく、このような医療的要素が加わればシニア層を引きつけることになるだろう。

成長戦略の2つめは法人向けサービスの提供開始。企業が提携契約を結ぶとその従業員がRIZAPの「パーソナル・トレーニング」を特別優待価格で利用できる。食生活の改善プログラムやモチベーション向上を図るメンタルサポートも含まれている。

これは企業ニーズとも一致する。社員が精神・身体の両面で健康を維持できれば、人材の有効活用・安定確保だけでなく、企業の生産性向上や年々負担の増す健康保険料の抑制にもつながるためだ。予防医療を推進する国策にもかなうことから出だしは好調で、RIZAPでは今期中に500社との契約締結を目指す。

海外展開も積極化する。アジアでは既に上海、香港、台北、シンガポールに進出しているが、香港では今年6月にオープンした第1号店が想定外に好調であることから、年末に向けてより大型の2号店の開設を決めた。海外店では問い合わせの9割以上が現地個人からで、会員募集コストは国内の100に対し40~70と効率がよいという。

現在、シンガポールと上海で追加出店を具体的に検討、海外展開は現在の4拠点から来年3月には10拠点に拡大する計画だ。今回の決算説明会では米国への初進出も表明した。この「メタボ大国」の市場規模は言わずもがな、ケタ違いに大きい。RIZAPの経営手法がこの巨大市場をどれだけ切り崩していくのか、大いに注目されるところだ。


成長戦略が軌道に乗れば現状の株価も割安に

これらの成長戦略が全てコスト抑制につながることも見逃せない。同社の広告宣伝費は昨年度1年間でみても売上高の18%に相当し、大きなコスト負担になっている。会員の獲得でTVコマーシャルに依存する面が強かったからだ。しかしこれらの戦略が軌道に乗れば、医療機関からの紹介や法人契約による一括獲得、さらに海外での低コストにより、会員一人当たりの獲得コストは大きく下がることになりそうだ。

同社株価は8月31日の終値で629円。今期の会社予想で算出した株価収益率(PER)は約25.58倍となっており、上記戦略が軌道に乗り、会員数の伸び以上に利益が増えるという収益構造がさらに鮮明になれば十分魅力的な水準だ。さらに予防医療の国策に沿った銘柄として株式市場で注目される可能性も、株価上昇の材料として意識しておく必要があるだろう。(ZUU online 編集部)

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