一般的な布は1ヤード、8セディ(2.5米ドル)程度で流通している。高級アフリカン・ファブリックブランドとして名高い『ヴリスコ(Vlisco)』 になると、切り売りはせず6ヤード単位のみで120セディ以上で販売している。

裕福な家庭では、 葬式の 参列者に黒や青地の布を配布し、好みに仕立てて着てきてもらうという習慣もある。一目で、参列者が分かるため、故人の生前の影響力、成功を誇示することができるのだ。また、自社名の入った布を従業員に配布し、仕立てた服を金曜日に着る大企業もある。


斜陽化するガーナのテキスタイル産業

テキスタイル産業は、本来、ガーナの主要産業の一つだったが、貿易自由化、プログラミング化に加え、中国からの安い布製品の輸入により、現在では斜陽の一途を辿っている。新しいデザインが公開されるやいなや、中国、パキスタン、ナイジェリア、インド、そしてコートジボワールのテキスタイルメーカーが海賊版を製造し、マーケットに送り込んでくるのだ。 デザイン費がかからず、安い労働力と機械化により、1/30も安く販売されることもある中国からの海賊版に競合できずにいる。

かつて、25,000 人以上を雇用していたテキスタイル産業は、4,000人弱を雇用するまでに減少し、今後も年々縮小していく見通しだ。ガーナを代表するテキスタイルカンパニー『アコソンボ (ATL) 』は、1,600人いた社員を1,250人まで削減した。

一方で、 ヴリスコは、洗練されたデザインと高品質で、西アフリカはもちろん、 世界中に散らばるアフリカ系移民や西洋人を魅了し、国内外へ進化し続けている。同社は1846年に設立されたオランダの会社で、4つの異なるブランドを抱え、ガーナやコートジボワールに工場を構えている。ヴリスコのファブリックは、高い染色技術を必要とすることから、オランダでデザイン、染色されアフリカに輸入されているほどだ。

ガーナには、もともとケンテという王や支配者が身に纏った麻、シルク、綿の糸で織られたカラフルな布地が存在する。今では、誰でも手にすることができ、特別な儀式のときに使用されるだけになったが、熟練した技が必要とされる美しいケンテはかつて、王の威光や地位を表していたという。金や黄色は富を、緑は新鮮さを、青は平和を、赤は血や犠牲を、黒は成熟さやエネルギーを表し、色や幾何学模様には、それぞれ意味が込められ、 一枚の布で物語を表現している。