Miniature house with Singapore paper currency and coins
(写真=PIXTA)

相続というのは突然やってくるもので、いざその時になってから対策したのでは遅いことが多い。中でも、どの財産を相続するかはあらかじめ考えておかなければ、知らず知らずのうちに莫大な相続税を支払わなければならない可能性もある。どの財産を相続するのが有利なのかを考えてみよう。


相続税法上の評価額と実際の価格はなぜ違うのか

相続では現金、預金、債権、株式、土地、建物、自動車、貴金属などあらゆる財産が対象となる。相続財産ではないが、相続財産と同様に扱われる「みなし相続財産」というものもある。具体的には、生命保険金などである。

一見するとどれを相続しても同じように思えるが、実は、実際の価格と相続税法上の評価額とで違うものがある。

例えば株式の場合、上場株式であれば、相続税法上の評価は次の3つの価額のうち最も低い価額で評価される 。

1 課税時期月の毎日の最終価格の平均額
2 課税時期月の前月の毎日の最終価格の平均額
3 課税時期月の前々月の毎日の最終価格の平均額

株式は毎日変動するので、もし相続時点で株価が上昇している場合には、評価額と相当の差が生じる。それでも上場株式ならば、時価が存在するのでわかりやすいが、非上場株式については、市場価格がないのでさらに難しい。

基本的には、相続税法上の評価方法である「純資産価額方式」「収益還元方式」「類似業種比準方式」の中から企業規模に応じて評価されるのだが 、M&Aなどが見込まれるような場合は将来の価値を現在の価値に置き直すDCF法で評価されることが多い。その可能性がある企業を相続するような場合には、相当の金額の違いが生じることがある。

遺産分割における財産目録は、時価の算定が難しいこともあり、相続税法上の評価基準に従い計算されることが多い。しかし財産分与は実際の価格による配分でないと不公平になるので、相続税法上の評価額と時価の違いをしっかりと区別し、財産の取り分が少なくならないよう注意しなければならない。