パリのテロ (写真=Getty Images)

13日金曜日の夜(日本時間14日朝)、パリ中心部のバタクラン劇場やレストラン、郊外のスタジアムなどで、複数の銃撃や爆発などの同時多発テロが発生した。フランスの検察当局は、同時テロの犠牲者が129人、負傷者は352人と発表、非常事態宣言が発令され、国境を閉鎖すると伝えられている。

オランド大統領は、「イスラム国が実行した」と断定、「国外で用意周到に準備された戦争行為だ」と非難した。イスラム国は犯行を認める声明をインターネット上に発表、フランスがシリアでイスラム国に行った空爆への報復としている。

フランスでは、今年1月7日に発生したシャルリー・エブド襲撃事件(死亡者12人、負傷者11人)がテロとして記憶に新しいが、今回のは比較にはならないほどの規模。大規模テロとしては、2004年3月11日のスペイン・マドリード列車爆破テロ事件(死亡者191人、負傷者2050人)以来。

衝撃度では、2001年9月11日の米同時多発テロ事件(9.11テロ)(死亡者3025人、負傷者6291人)以来と言ってもいいだろう。アメリカは、9.11テロの報復としてその後、アフガニスタン紛争やイラク戦争を行った経緯があるだけに、世界的な地政学リスクが意識される。


9.11テロではドル急落、株も急落、原油と金が一瞬急騰

参考までに米同時多発テロ時の金融市場の反応を振り返ってみよう。9月11日のニューヨーク証券取引市場は太平洋戦争開戦以来の市場閉鎖となり、17日まで市場はクローズした。

通常の戦争などの地政学リスク時は「有事のドル買い」となるが、米国が当事国なだけに、「有事のドル安」となり、米株がトレード出来ない中、ドルは急落、資金の迂回先として原油と金が急騰した。ドル円は、2001年9月10日に121.04円から、10日後の2001年9月20日には115.83円まで急落。値幅で5.21円、4.3%の円高となった。ただ1ヶ月にも満たない10月3日にはテロ前の水準まで戻している。

日本株は、テロの翌日9月12日に大幅安。日経平均は11日の引け10292円から9610円と682円、6.6%安の急落。その後日経平均は、9月21日の安値9382円まで下落した。テロ前比で910円安、8.8%の下落。しかしその後相場は反転、一ヶ月後の10月11日には、テロ前の水準を回復している。

米国は17日に株式市場を再開。取引開始後のNYダウは9605ドルから8883ドルまで722ポイント、7.5%下落した。その後、為替が戻るのと歩調を合わせ10月前半にはテロ前の水準まで戻している。

原油と金はリスクオフの動きと湾岸戦争の連想から一瞬急騰した。ただ原油は一瞬買われただけ。世界景気後退懸念からトレンドとしてはその後大きく下落してしまった。原油が先導し、CRB先物指数は大きく下げた。その後、CRB先物指数がテロ前のレベルに戻るのは2002年3月になる。金は暴騰後もしっかり、株式相場、債券相場が暴落する中、投資マネーが金市場に集中し、「有事の金」の復活を印象づけた。

当時のFRB議長のグリーンスパンは金融秩序維持の為に、これまでの政策を一転させて、全面的な金融緩和政策に転じ、米国国内は超低金利となった。この低金利が、米国国内土地バブル景気の温床となりリーマンショックを呼ぶことになる。