GDP
(写真=Thinkstock/Getty Images)

7-9月期の実質GDPは前期比-0.2%(年率-0.8%)となった。4-6月期の前期比-0.2%(年率-0.7%)に続き、景気回復が停滞していることを示した。しかし、方向感では明るさも見え始めたと考える。7-9月期の実質消費は前期比+0.5%と、昨年4月の消費税率引き上げによる消費者心理の萎縮がまだ残っている中で、低温と多雨などの天候不順の下押しがあった4-6月期の同-0.6%からリバウンドし、底割れは回避した。7-9月期の実質輸出も前期比+2.6%と若干のリバウンドがみられた。米国の景気回復力がまだ弱い中、中国を中心とした新興国経済の弱さにより、4-6月期には前期比-4.3%と大幅に落ち込んでいたが、底割れは回避した。

4-6月期に消費と輸出の回復に急ブレーキがかかったことが、企業心理を下押し、企業活動はまだ鈍い。実質設備投資は4-6月期の前期比-1.2%に続き、7-9月期も同-1.3%と弱く、短観などで堅調であることが確認されていた設備投資計画の実施が遅れているようだ。企業のインフレ期待が上昇していれば起こるはずの在庫投資もみられず、1-3月期と4-6月期に実質GDP前期比寄与度+0.5%、+0.3%と積みあがった分は、7-9月期にそのまま同-0.5%と取り崩されてしまったようだ。7-9月期のマイナス成長は、全て在庫の取り崩しで説明でき、在庫調整が進展したことは、先行きの景気底割れを回避する明るい材料だ。

一人当たりの平均賃金は労働需給のタイト化などを反映した臨時雇用の増加で伸び悩んでいるが、総賃金(雇用者の賃金の合計)はしっかり増加している。消費が伸び悩んでいるのは、家計貯蓄率が消費税率引き上げの過度な負担により押し下げられた分の修復の期間を必要としていることが理由で、総賃金の伸び率がまだ弱い中での消費税率引き上げはそれほどに大きな下押しインパクトがあったと考えられる。消費税率引き上げなどの財政再建によって、将来の金利高騰への懸念が小さくなり企業が投資を増やし、社会保障の持続性への信頼感が増し家計は消費を増やし、経済には刺激効果があるという、消費税率引き上げを推進してきた「安心効果」は否定されてしまったようだ。

総賃金は、デフレの入口であった1995・6年度が+2%弱の増加であったので、デフレの出口である現在、+1.5%程度(7-9月期の名目雇用者報酬は、前年同期比+1.7%)であるのが来年度に+2%超に上昇した時に、景気回復・デフレ完全脱却の実感が生まれるだろう。消費税率引き上げの過度な負担により押し下げられた分の修復は徐々に進行し、今年度中には修復が一服し、来年度には総賃金の増加が、より消費の増加につながりやすくなってくると考える。