日の丸PC
(写真=HPより)

ソニーから独立したVAIOと東芝、富士通の3社がパソコン事業を統合する検討に入ったと報道された。実現すれば、国内のパソコン市場でシェアが3割を超え、NECレノボグループを上回り、国内首位となるのだが、とはいえ、日本のPCメーカーは世界では完全に第2集団になってしまった。2015年7-9月のIDCの世界のPC出荷統計では、日本メーカーは1社たりとも6位までに入っておらず、「その他」にくくられてしまっている。

シェアトップの中国レノボが21.2%、2位の米ヒューレット・パッカード(HP)が19.7%、3位の米デルが14.3%、4位の米アップルが8.1%、5位の台湾エイサーが7.3%の市場シェア。上位5社で世界の70.6%を占めている。仮に3社合併で新日の丸PCカンパニーが誕生したとしてもエイサーを上回るかどうかといったところだ。

なぜ日本のPCメーカーの地位はここまで落ちてしまったのだろうか。


PCメーカーがガラパゴス化した理由

PCメーカーについて考える前に注目したいのが、携帯電話メーカーだ。日本のそれはガラパゴス化で絶滅の危機だ。国内マーケットで収益を上げられていたので、世界のスタンダードを無視して、日本独自の発展をとげていた。気がついた時には世界から取り残されていた。

そしてパソコンも同様だ。日本で売れていたので、本気で世界のマーケットを相手にしたり、外国に工場を建設したりする必要がなかった。国内PC市場の大半を占めるのは法人需要だ。価格やスペックで勝負するよりも、営業力とトータルソリューションといった日本独自のスタイルで法人需要を喚起していた。

今は、品質のみならずスペックと値段が重視されるグローバル競争の時代に入っている。以前は個人ユーザーは、海外メーカーと同じスペックで値段が3~4割高くても、信頼できる国産メーカーを選んでいたが、いまだにマイクロソフトOfficeどアプリがたっぷりインストールされているパソコンを売っているのは日本だけである。日本メーカーは、独特な機能やソフトをバンドルすることで差別化をはかった。携帯電話で陥った“わな”と似ている。

現在のパソコンは、部品を組み立てる商品だ。Appleも工場をもたず、日本や韓国、台湾などから優秀な部品を調達、製造を中国や台湾に委託しているファブレス(自社で生産設備を持たない)企業だ。自動車産業も同じだ。トヨタ、日産、本田などの自動車会社で自社生産しているのはエンジンぐらい。ほとんどは部品を調達して組み立てている。

組み立て商品では、スペックや価格で差別化をはかるのは難しい、Appleやトヨタのように生活を変える商品をだすか、グローバルな規模で勝負するかどちらかでないと生き残れない。台湾メーカーが、中国での生産体制を確立し、優秀な部品のサプライチェーンを確立する事で品質と価格において世界でのプレゼンスを拡大していったのは、日本メーカーとは対照的だ。