日経平均2万円

(写真=PIXTA)

日経平均は12月初旬に2万円を一時超えたものの、その後、1万9000円台で足踏みしている。今、2万円を突破できないのには、とても重要な3つの理由がある。この状況次第では、外人の日本株に対するスタンスが大きく変わりかねない。日本株だけでなく、世界の株のトレンドを左右する大事なファクターだけに整理しておく。

①日銀の金融緩和スタンスに転機?

2015年8月下旬、米国の利上げと中国発の景気失速で世界的に株価が調整された。これは新興国の通貨が売られるなど、信用収縮を懸念したためだった。

イエレンFRB議長は、米国経済が雇用調整の進展でしっかりしてきていることから「リーマンショック後の緊急時の実質ゼロの政策金利を通常時の2%程度に戻すのには今しかチャンスはない」とタカ派的な発言を繰り返すようになっていた。そのため、株式市場の金融緩和への期待は、ECB理事会と日銀に集まっていた。実際、株価が12月に8月来の高値を更新する原動力となったのはECBのドラギ総裁のドラギ・マジックによる追加金融緩和だった。12月3日のECB理事会で緩和は実行されている。

一方、日銀は市場の期待に反して10月も11月も決定会合で追加緩和を見送った。さらに、黒田総裁は、日本経済に強気発言を繰り返しており、日本のテーパリング(量的緩和の縮小)を意識させる発言が増えてきている。思えば2013年に米国がテーパリングで月間の債券買い入れ枠を減額始めたことで金融市場は大きく調整した。日銀が国債の買い入れ額やETFの買い入れ額を増額するのでなく減額し始めたときのショックを意識しておいたほうがいいだろう。

②ROE改善の停滞

日本株を外人がオーバーウェイトし始めた背景の一つに、日本企業がROEを意識したガバナンスをとりはじめ、企業改革によりROEが改善し始めていたことがある。ただ足下では、日本企業のROE(TOPIXベース)は8%程度で停滞し始めており、欧州〔ユーロストック600〕の11%、米国(S&P500)の14%に及ばない。

ROEの改善には分子である最終利益の伸びか、分母である株主資本が減る自社株買いなどが有効である。今期の企業業績(野村證券のRussell/Nomura Large Cap<金融を除く>ベース)は、前年度比1.5%増収、13.2%経常増益となり2桁増益だが、来16年度は2.2%増収、同8.4%経常増益とスローダウンする。したがってROEが改善するためには、企業業績のもう一段の上方修正や法人実効税率の大幅下落などのサプライズ、もしくは大幅な自社株買いなどで日本市場のROE改善のトレンドがもう一度はっきり出てくる必要があるだろう。

③原油・コモディティ安

12月のOPEC総会で原油減産合意が出来なかったことで原油は7年ぶりの40ドル割れとなっている。ただでさえ原油在庫が増えているところに、米議会では1970年代に制定された原油輸出禁止措置を解除する法案が可決しようとしている。米国のシェールガスが輸出できるようになるのだ。原油安はデフレ懸念となり世界景気を失速しかねない。

クレジット市場では、投資非適格のジャンク債を組み入れたハイイールドファンドの償還凍結やファンド精算のニュースがではじめている。ジャンク債の多くは、シェールガス関係などのエネルギー関連企業の格付けの低い社債だ。ジャンク債を保証するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は急騰し始めている。

思えばリーマンショックも、サブプライムローン関係の損失でCDSが急騰したことがはじまりだった。サブプライム問題表面化からリーマンショックまで1年もの時間が必要だった。今回のジャンク債問題も当面の足かせになる可能性が大きい。

平田 和生
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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