(写真=Getty Images)
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スター・ウォーズの新作「フォースの覚醒」が12月18日に北米で公開された。公開後の最初の週末の興行収入は2億3800万ドル(約290億円)と公開前の予想の2億3000万ドルを上回り、映画史上の過去最高を記録した。これまでの最高は「ジュラシック・ワールド」が今年6月に記録した2億880万ドル。

ディズニーが初めて供給するスター・ウォーズ 売り上げは1兆円に迫る

この映画を供給するのが米ウォルト・ディズニー(ティッカー:DIS)だ。2012年にウォルト・ディズニーは、ルーカスフィルムを40億5000万ドルで買収、同時にスター・ウォーズに関するすべての権利も取得した。

今回の作品はディズニーがプロデュースするスター・ウォーズ第一作となる。生みの親ジョージ・ルーカスはクリエイティブ顧問ではあるが監督ではなく、監督はJ.J.エイブラムスで制作されている。

ゴールドマン・サックスのレポートによると、「フォースの覚醒」の全世界での予想興行収入は80億ドル(約9700億円)に達する。そのうち、19.5億ドルが映画配給の売り上げ、60億ドルが関連グッズの売り上げとなっている。この予想通りなら、『タイタニック』、『アバター』に次ぐ、映画史上3位の売り上げになる。

日本でも公開後の週末3日間で104万人、興行収入16億円を記録しており、「アナと雪の女王」のオープニング成績を抜いている。日本の歴代興行収入の記録を持つ「千と千尋の神隠し」の記録に迫るもので、久しぶりの興行収入200億円超えに期待がかかっている。

株価はESPNのコードカッター懸念で冴えない

ところが、ウォルト・ディズニーの株価はスター・ウォーズ封切りの材料にもかかわらずもたついている。2015年高値は8月4日の122.08ドル。世界株安の影響もあって8月24日には90.00ドルまで下げた。その後の高値は11月23日の120.65ドルまで戻したものの、12月23日時点で105.56ドル。年初来の高値から15%ほど下げた位置にある。

11月27日の米国市場では、ディズニーは3%安とダウ上昇の重しとなった。傘下のスポーツ専門ケーブルテレビ(CATV)局ESPNの契約者数が昨年度に3%減少したことが明らかになったためだ。これは、米国で「コード・カッター」と呼ばれている。

CATVでのスポーツ番組はメディア各社のドル箱コンテンツだったが、最近はネットフリックス(ティッカー:NFLX)、Huluなどのウェブベースでの番組提供会社にシェアを奪われ始めている。ESPNの契約数減少は、業界全体の問題であり、バイアコム(ティッカー:VIAB)や21世紀フォックス(ティッカー:FOX)などがその日に連れ安している。年間パフォーマンスでも見ると、このメディア大手の両株は、テーマパーク部門や映画部門がないためディズニー株よりもさらに低迷している。

ESPNはディズニーの売り上げ構成の44%を占めるメディア・ネットワークス部門の主力会社だ。ディズニーがESPNの80%の株を所有している。この部門の売り上げ構成比はテーマパーク部門の31%を上回っている。営業利益ベースの構成比では55%とテーマパークの21%を超えるディズニーの収益源である。

スター・ウォーズ効果でディズニー株も見直されよう

ESPNの契約数が減少していても、利益ではまだ減少していない。足下の7−9月期のメディア・ネットワーク部門の売り上げは12%増、営業利益も27%増と好調。まだ利益減に直結するまでにはなっていない。

スター・ウォーズの効果が見込める映画部門の売り上げ構成比は14%。営業利益の構成比は13%とディズニーのなかでは3本柱の一角だがこれから成長が期待される分野だ。この売り上げ部門が予想を上回ることを株価はまだまだ織り込んでいないのではないだろうか。

ディズニーは「フォースの覚醒」に次いで、2017年にもスピンオフ映画を公開することを早くも発表している。さらにテーマパークでの新しいコンテンツへの期待や販売グッズの今後の相乗効果を考えると、将来のコードカッターを懸念するよりも、足下のスター・ウォーズ関連での好調を株式市場が評価する展開となりそうだ。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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