鉱工業生産
(写真=Thinkstock/Getty Images)

11月の鉱工業生産指数は前月比-1.0%(コンセンサス-0.5%程度)となった。中国を含む新興国向けを中心とした不安定な輸出環境を反映して、4-6月期(前期比-1.4%)、7-9月期(-1.2%)と、2四半期連続でマイナスとなった。経済産業省の鉱工業生産の判断は「一進一退」と不安定な形となっている。

しかし、実質輸出が9月(前月比+2.1%)、10月(同+1.3%)、11月(+1.6%)と持ち直してきている。

12月の金融政策決定会合で、日銀は輸出の判断を「横ばい圏内」から「持ち直し」へ上方修正した。生産も9月(前月比+1.1%)と10月(同+1.4%)増加し、底割れを回避した。生産指数は3・4月と同水準程度まで戻った一方で、在庫指数の水準はそれを下回っており、5月からの弱含んだ期間、在庫がしっかり管理されてきたことを意味する。

11月の生産にはこの急ピッチの一時的なリバウンドの反動がみられた。しかし、12月の生産が前月比横ばいとなっても、10-12月期は前期比+1.1% 程度の3四半期ぶりの増加に転じ、持ち直しの兆候がみられる。

新興国の景気減速に対する警戒感がまだ強く、地政学上のリスクが企業心理を抑制する可能性があることを考えると、輸出と生産がしっかり持ち直していることが確認できるまでには、まだ時間がかかると考えられる。

12月・1月の経済産業省予測指数は前月比+0.9%・+6.0%となっており、1月に予測指数に近い大きな上昇が見られれば、生産のしっかりとした持ち直しが確認できることになる。生産財の生産の見通しが堅調さを維持し、グローバルな貿易・生産活動が底打つ兆候が見られ始めている。

底割れ回避後の生産動向は、米国景気の回復により輸出がどれだけ力強く増加するのか、内需が拡大に向かう力が明確になるのかにかかっている。

10・11月の資本財(除く輸送機械)の出荷は前月比+2.6%・-0.6%(12月が横ばいと仮定すると10-12月期は前期比+0.3%と3四半期ぶりの上昇)、耐久消費財の出荷は同+6.8%・-4.4%(12月が横ばいと仮定すると10-12月期は前期比2.0%と2四半期連続の上昇)と、設備投資と消費活動のリバウンドの兆候が見えつつあるのが心強い。

日銀の中途半端な金融緩和の補完策は不発であったが、年初に国会を通過する政府の経済対策の実需につながる効果がある。米国経済はFEDの利上げが進行するほどに堅調であり、輸出は持ち直してきた。景気回復が一時的に停滞してきたことによる企業心理の冷え込みやデフレ期待の復活を回避することはまだ間に合い、日本はデフレ完全脱却への歩みを続けることは可能であろう。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテジェネラル証券 東京支店 調査部 チーフエコノミスト

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)