原油価格,ETF,ETN,wti
(写真=Thinkstock/Getty Images)

ニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI原油先物は2016年2月11日に26.21ドルの底値を付けたあと上昇基調に転じ、2017年5月12日現在は50ドル前後で推移している。

原油安は米国のシェールガスの生産拡大で供給が増えているところに、中国の景気減速による原油の世界の需要減退懸念、中東の地政学リスクの高まり、イランの経済制裁の解除による原油増産懸念などの悪材料が重なって起こったものだ。2016年11月30日にOPECが協調減産に合意したことを契機に、上昇基調に転じたというわけだ。そんな原油を、少額の投資で長期にわたって買うにはどうしたらいいのだろう。


原油はボラが高く何倍・何分の1になることを繰り返す

原油の長期トレンドをみると、1999年にはアジア通貨危機の影響で9ドル台まで下げた後、中国の成長に伴う資源バブルでほぼ一貫して上昇、2008年7月には147ドルまで9年でなんと16倍になった。その後リーマン・ショックで2009年2月には前述の32ドルまで7カ月で8割も急落をしている。

リーマン・ショックの安値後、米国が量的緩和政策を推進したためリバウンドを始め、2011年の高値では112ドル台まで上昇している。リーマン・ショックの安値近辺で買えば3倍以上だ。その後2014年6月に105ドル台の高値はを付けたあと、上述の原油の下落が始まる。現在は上昇基調にあるものの、2014年の高値の5割程度にすぎない。

原油とは過去を見ると、このように大変ボラティリティが高いものだ。高値で買うのは危険だが、長期志向で、底値近辺で買うのは魅力的に見える。 原油への投資というと、原油先物取引や商品取引が浮かぶが、少しハードルが高すぎる。先物以外で原油を長期投資出来る方法はあるのだろうか。

WTI原油に投資するには…?ETFでの投資が可能

証券口座さえ持っていれば株と同じように取引できる原油指数に連動した商品がある。上場投資信託(ETF)だ。現物株取引と同じなので、立ち会い時間中はいつでも商い可能で、信用取引もできる。手数料も株式と同じで、保有コストは通常、上場していない投資信託よりも安いことが多い。

ETFとは、特定のインデックスを指標(ベンチマーク)とし連動することを目指したインデックス投信で証券取引所に上場している。例えば、日経平均連動型ETFや東証株価指数(TOPIX)連動方ETFなどだ。インデックス投資の需要増から世界的にETFの市場は急拡大している。最近は、日経レバレッジ <1570> 、日経ダブルインバース <1357> など、日経平均に連動し上昇・下落で倍の動きをするETFの人気が高まっているので、聞いたことはあるだろう。

WTI原油先物をインデックスとしている東証上場ETFは現在3本ある。NOMURA原油インデックス連動型上場投信 <1699> 、WTI原油価格連動型上場投信 <1671> 、ETFS原油上場投信 <1690> の3本だ。

NOMURA原油ETFは10株単位で、3000円台で一単元10株購入可能。WTI原油ETFは1株単位で、2000円台で1株購入可能。ETFS原油ETFは10株単位で、8000円台で一単元10株購入可能。どのETFでも1万円以下で石油王への道を開始することが可能だ。

ETFというと銘柄によっては流動性に問題があるものも多いが、NOMURA原油ETFで5月12日の出来高は29万2450株、WTI原油ETFは6万6652株、ETFS原油ETFは510株。ETFS原油ETFは若干流動性に問題があるが、NOMURA原油ETFとWTI原油ETFは流動性に問題はなさそうだ。

3本のETFとも、ファンドの値動きが原油価格に連動するように設計・運用されているが、ベンチマーク、形態や仕組みなどに違いがある。

NOMURA原油ETF <1699>は、「NOMURA原油ロングインデックス」に連動する投資成果を目指すETFだ。野村アセットマネジメントが運用している。正式に言うとベンチマークは世界の原油の指標であるWTIの原油先物ではない。「NOMURA原油インデックス」は、世界の原油先物取引の中から、取引量が多く流動性が十分あるものを構成銘柄として採用し、原油価格の値動きに連動することを目的とするインデックスだ。

ただ、現在の構成銘柄はNYMEXに上場されているLight Sweet Crude Oil(WTI原油先物)の1銘柄であり、変更された事がないので実質WTI連動だ。WTIの値段を円換算した指数となっている。

WTI原油ETF <1671> は、WTI原油先物の円換算表示に連動することを目的としたETFだ。シンプレクス・アセットマネジメントが運用している。ベンチマークは、WTI原油先物直近限月清算値の円換算表示の価格なので、実質的にNOMURA原油インデックスと同じだ。

ETFS原油ETF <1690> は、「DJ−UBSCI原油商品指数」ベンチマークとして、円換算している。同指数は、UBSとダウ・ジョーンズと共同で、原油セクターの値動きを反映するように設計されている。 ETFセキュリティーズという海外法人が運用しており、英国領チャネルアイランド籍で外国証券の扱いとなる。ロンドン、フランクフルト、ユーロネクスト・アムステルダム、ユーロネクスト、イタリアなどの取引所にも上場しているグローバルなETFだ。

その他に、ETFではないが、日経レバ、日経ダブルインバースと同様に原油にもレバレッジを掛けた商品がある。

究極のボラティリティ 原油ブル、原油ベア

ETFと同じような商品に指標連動証券(ETN)というものがある。商いの仕方は普通の株式やETFと同じだ。仕組みは似ているが最大の違いはインデックスの原資産を所有するかどうかだ。ETFは、株価指数などの指数の動きに連動させるため、指数構成銘柄の株式などを実際に裏付け資産を保有する。日経レバなら日経平均先物を、WTI原油先物ならWTIの先物を実際に買う。だから、指数に連動しないトラッキング・エラーがでることもあり得る。

一方で、ETNはその発行体となる金融機関が指数との連動性を保証している証券だ。必ずしも裏付け資産を持つ必要はない。そのため、ETNには発行体の信用リスクが存在するものの、指数には完全にトラックする。先物がないような指数でも、ETNならどんな商品でも組成することが可能で、いろいろな商品のインデックス運用が低コストで出来る事で投資家の選択肢が増える。

NEXT NOTES 日経・TOCOM原油ダブル・ブル <2038> は原油価格の上昇に対して2倍に動くETNで、NEXT NOTES 日経・TOCOM原油ベア <2039> は原油の下落に対して2倍に動くETNだ。原油ダブル・ブルは、1株単位なので5月12日現在、900円台で買える。原油ダブルベアは、1株単位だが、原油の値上がりが十分でないため1株1万1000円台となっている。ただでさえ、ボラティリティの高い原油の2倍のレバレッジ商品なので、投資経験の少ない方には決して薦められない。

あくまで紹介した銘柄や手法は、元本や利益を保証するものでなく、相場の変動により損失が生じる場合があり、投資対象や取引の仕組およびリスクについて十分ご理解の上、ご自身の判断と責任において取引することを留意してほしい。

平田和生
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)

【あわせて読みたい 「ETF」記事】
2018年開始予定の「つみたてNISA」 どんな人に向いてる? | ZUU online
日経平均は189円安でスタート、日銀のETF買い入れへの思惑、やや買い戻し優勢 | ZUU online
利回りのいい高分配金ETFランキング|株の配当よりお得? | ZUU online
人気急上昇のETF投資 投信と違い「信頼できる」分配金 | ZUU online
『ETF日経レバレッジ』が人気の理由…レバレッジ型商品の仕組みを学ぶ | ZUU online