オバマ大統領,予算教書
(写真=PIXTA)

要旨

◆オバマ大統領が任期中最後となる17年度の予算教書(大統領予算案)を発表した。歳入増によって財政赤字を削減することで、18年度以降も強制歳出削減を回避して歳出を増加させるほか、今後10年間で2.9兆ドルの財政赤字削減を盛り込んだ意欲的な予算案となっている。

◆歳入面では、前年度と同様、中低所得者層に対して減税を行う一方、富裕層や多国籍企業に対する課税強化が提案されたほか、新たに大規模金融機関や石油業者に対する課税強化が提案された。

◆一方、歳出面では中低所得者対策に加え、気候変動対策として新たにクリーン・エネルギー関連の公共インフラ投資などの予算が盛り込まれた。

◆2015年超党派予算法によって既に17年度予算の大枠は決まっているため、政府閉鎖の可能性は低い。もっとも、石油税の導入を含む税制改革などで共和党の反発が強まるとみられ、共和党が多数を占める議会では、予算教書は議会に提出され次第廃案(dead on arrival on Capitol Hill)との声が大きく、予算教書で示された政策の実現可能性は低い。

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オバマ大統領が任期中最後となる予算教書を発表

2月9日オバマ大統領は任期中最後となる予算教書(大統領予算案)を発表し、17年度の予算審議がスタートした。一般に、議会主導で行われる米国の予算編成プロセスでは、予算教書は議会に対する要望でしかなく法的な拘束力もないため、予算教書と最終的な予算は乖離することが多い。

もっとも、17年度については、既に15年11月に成立した2015年超党派予算法(*1)によって予算の大枠は決まっているため、最終的な予算が予算教書から乖離することはない。

一方、予算教書では17年度予算だけでなく、大統領が実現したい政策やその優先順位が示され、それを反映する形で今後10年間の財政見通しについても提示される。

オバマ大統領は、高額所得者や多国籍企業に対する課税強化に加え、石油企業に対する石油税の導入などによる歳入増加策によって財政赤字を今後10年間で合計2.9兆ドル削減することで、18年度以降についても予算管理法が定める強制歳出削減(Sequestration)(*2)を上回る歳出増加を提案している。

また、大統領は、昨年度と同様に中低所得者対策の強化を要求したほか、今年度新たに、気候変動対策のためのクリーン・エネルギー関連投資の拡大を要求した。

もっとも、野党共和党が議会で多数を占めているほか、同大統領の任期が1年を切りレイムダック化する中で税制改正などの大きな制度変更は難しく、予算教書は早くも議会提出と同時に廃案(dead on arrival on Capitol Hill)と揶揄されている。