ブラジル,レアル,見通し,為替
(写真=Thinkstock/Getty Images)

ブラジルレアル(BRL)は高金利通貨として知られており、日本の好配当の毎月分配型の投信にBRL建ての残高は多い。野村投信の米国ハイイールド債券、大和投信のブラジルボンドオープン、野村投信のブランド株投資、アセットマネジメントOneの通貨選択型Jリートなどが1000億円の総資産残高を超えるファンドになっている。BRLのファンダメンタルズを分析してみたい。


ブラジルレアルの動きの特徴、為替リスクに関して

BRLは、新興国通貨、資源国通貨の代表としてボラティリティが高く、動き出したら一方通行になりやすいのが特徴だ。資源国通貨の常として、世界景気と原油を中心とした資源価格の推移によって大きくトレンドが変わる。過去20年の対円レートで見ても、98年の120円台から17年の35円台まで大きく変動している。

90年代後半は米国主導の長期景気回復が続いた。中国が世界の工場となりエマージングマーケットとしての地位を高めていくとともに、資源価格と資源国通貨は高騰した。90年代後半のBRLは対円で100円を超えて推移、98年には120ドル台に達していた。

97年から98年にアジア通貨危機が起こった。ドルペッグ制なため、実力以上に高止まりしていたアジア通貨がヘッジファンドの空売りで暴落した。新興国通貨安は、98年8月にはロシア通貨危機、99年1月にはブラジル通貨危機と連鎖した。通貨危機をきっかけに新興国の景気は急低下し、BRLは02年9月には30円まで売られた。

世界景気は米国と中国が主導して03年後半から回復をはじめると、BRLも戻り始め、リーマンショック前の08年8月には70円まで回復した。しかし、リーマンショックで世界危機が勃発すると、08年12月の30円台まで再びBRL安となる。

リーマンショック後はしばらく40円と50円を挟んだボックス圏での展開になるが、13年の5月23日にBRLは暴落する。米国がリーマンショック後の世界景気を支えるためにとっていた量的緩和政策(QE)をテーパリング(終焉)したため、一日で12%の暴落となった。

15~16年にブラジル経済はGDPが2年連続で3%を超えるマイナス成長となるリセッション(景気後退局面)を経験した。BRLは15年には3割以上下落した。16年2月19日の原油価格急落時には、BRLは27円台と史上最安値を更新した。もっとも、16年はその後リバウンドし年間では2割弱の上昇となり、相変わらずボラティリティは高い。

16年11月のトランプ大統領誕生時には世界中の債券が急落したため、高金利通貨のBRLも30円まで大きく売られた。ブラジル中央銀行(BCB)は、30円では4年ぶりの市場介入を実施している。

17年は今のところ30ドルから40ドルのレンジで動いている。5月18日にはテメル大統領に汚職関与疑惑が浮上し7%安と急落した。

このようにBRLは、世界景気、資源価格、米金融政策、国内の政治リスクなどに敏感だ。IMF予想では、ブラジルの17年のGDPは+0.2%、18年は+1.7%とプラス成長が見込まれている。原油安、政治リスクなどはまだあるが、トランプ大統領就任後にBRLが30円まで下落したときにBCBは市場介入した。30ドルは一応の下値のめどになりそうで、17年下期も当面は30ドルから40ドルのレンジで推移する可能性が高そうだ。

ブラジル通貨の金利見通しに関して

BRLは通常高金利通貨として知られている。BCBは政策金利を13年12月以降15年7月まで上げて14.25%にしていた。16年10月以降利下げのシークエンスに入り、17年は1月に0.75%、2月にも0.75%、4月には1.0%、5月にも1.0%の利下げをして現在10.25%になっている。利下げはインフレの鈍化、財政緊縮などから景気を刺激するためで、BCBは今後もインフレ状況を見ながら利下げを続けるとしている。IMFの予想では、17年末にはBCBは政策金利を8.5%まで引き下げ、18年はその水準を維持すると予測している。

今後のブラジル経済見通し

5月31日の利下げ後、6月1日に発表した1~3月期の実質GDPは2年ぶりに前期比プラスに転じた。

IMFの17年4月時点の成長予測では、ブラジルの17年、18年のGDPは2期連続でプラス成長になると予想している。16年が3.6%の大幅なマイナス成長だったのに対し、17年の成長率は0.2%増、18年には1.7%増を見込んでいる。18年に関しては4月時点で、1月時点の1.5%増から1.7%に0.2ポイント引き上げた。

政治的にもルセフ大統領の弾劾手続きが進展し、落ち着きを示し始めた。

一方で、WTIの原油価格は6月19日には42ドルをつけるなど年初の高値55ドル台から低迷している。原油価格がさらに低下するようだと、ブラジルにはネガティブ要因となりそうだ。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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