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新興国経済見通し「レアル」

レアルの為替リスク、金利見通し|ブラジル経済どうなる?

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

ブラジルレアルの下落が止まらない。リオデジャネイロ五輪の開催が決定した2009年以降、2014年まで概ね1レアル40円~50円程度で推移してきた。総人口が2億人を超え、かつ総人口の約65%が40歳未満の若年人口が占めるなど内需の拡大が期待できる点、鉄鉱石や石油などの豊富な資源などを背景に、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の一つとして君臨していた。

しかし、足元で景気悪化が進行しており、2015年以降急速にブラジルレアル安が進行。2月21日現在1ブラジルレアル27.971円となっている。また、一部の日本企業にも影を落としている。新日鉄住金は <5401> ブラジルの安価な鉄鉱石を利用した鉄鋼生産を見込んで2006年に現地鉄鋼メーカーであるウジミナスに出資し持分法関連会社としたものの、鋼板販売の不振から今期決算において126億円の収支悪化要因となった。また、川崎重工業 <7012> は石油開発拡大を見越して、石油開発のための掘削船製造のために現地のゼネコンと合弁会社を2012年に設立したものの、今年1月14日に石油開発設備投資の減速影響で221億円の損失が生じることを発表した。ブラジルに何があったのだろうか。

ブラジルレアルの動きの特徴、為替リスクに関して

ブラジルレアルの特徴は、①資源価格に左右される点、②貿易相手国の動向に左右される点、にあるといえる。①については、ブラジルは2014年ベースで鉄鉱石、原油など一次産品の輸出が48.7%を占める典型的な資源輸出国である。②については、ブラジルの最大の貿易相手国は中国である。輸出の18%、輸入の16%を占める。つまり現状中国経済の減速に伴う資源価格の下落の影響が直撃している。2015年7-9月期GDPは前期比▲4.5%と4-6月期の▲1.9%と2四半期連続のマイナスとなった。2015年、2016年ともマイナス成長を見込むエコノミストは多い。

ブラジル通貨の金利見通しに関して

金利については、今後とも当面下落はしないだろうという印象だ。理由は中国経済のさらなる失速懸念に加えて、ブラジルの政治環境が影響している2003年に左派系の労働者党が政権を獲得以降、貧困層向け家族手当「ボルサ・ファミリア」を始めとした所得再分配政策を積極的に推進してきた。ブラジル経済が好調な中では低所得者層への給付による個人消費の押し上げ効果により、国内景気は良好な循環を継続できていた。

しかし、2014年に資源価格が中国経済の減速とともに下落に転じると、企業収益悪化により税収が伸び悩んだ。結果、所得分配政策により財政赤字の拡大という局面に至った。それを背景に、公共料金の引き上げや補助金削減、増税などによる影響が特に低所得者層を直撃している。また、2015年3月にブラジル石油公社ペトロブラスの水増し請求、その資金が政治家に流れた汚職スキャンダルの影響で100万人規模のデモが発生したことに加えて、有力政治家の逮捕ばかりでなく、2015年12月にはルセフ大統領自らの弾劾手続きの開始にまで発展した。

加えて、2016年開催予定のリオデジャネイロ五輪の開催に伴う会場など社会インフラ整備に伴う財政出動を背景に、厳しい財政環境は当面継続すると思われる。現に2013年6月のサッカー・コンフェデレーションズカップ開催の際には財政悪化懸念に伴う貧困層向け配分減額懸念や福祉予算減額懸念から、教育、医療などの公共サービス改善を求める大規模抗議運動が発生した。2014年のブラジルワールドカップ開催の際にも同様の動きがあった模様だ。

政策金利は2012年9月に7.25%となって以降、段階的に金利引き上げを続け、現在は14.25%。景気悪化は進んでいるものの、自国通貨の下落防衛の観点から、政策金利引き下げは当面見込めないだろう。2015年12月にはルセフ大統領が日本を訪問。安倍首相との夕食会に加えて天皇陛下との面談、宮中晩餐まで企画されていたものの、ブラジル側の要望により、急きょキャンセルになったことからも現状の苦境がうかがえる。

今後のブラジル経済見通し

家計の苦境は財政収支の改善までは当面継続するだろう。また、資源価格についても落ち着きを取り戻しているとは言えない状況だ。原油価格に関しては、OPECが当面の産油量維持(生産量を増やさない)を決定したものの、イランの経済制裁解除に伴う輸出シェア回復を見込む流れから、当面は供給過剰な状況は継続するだろう。鉄鉱石に関しても、鋼材の主要消費先である中国の景気減速影響がしばらく継続すると考えられる。

一方、レアル相場の下落による輸出競争力の改善期待や、汚職捜査の進展による政治機能の改善期待がある。しかし、前述した輸出の資源依存度の高さを考慮すると、為替安の効果を資源価格の下落影響で相殺されてしまい、事態を改善するプラス影響は見込みがたい。また、汚職捜査の進展による政治機能の改善に関しても、左派系の労働者党の主力政策である所得再分配政策を今後取りづらいことから、支持率の上昇は見込めないだろう。

新興国の中で総じてみると、BRICs諸国(ロシア、インド、中国)と比べ、ブラジル政治状況を考慮すると、相対的に不透明要因が多い印象だ。新興国経済の失速に伴う資金逃避は当面も継続しそうな環境では、相対的なリスクは高いと言えるだろう。(ZUU online 編集部)

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