南アフリカランド,見通し
(写真=Thinkstock/Getty Images)

南アフリカの通貨ランドは高金利通貨で、代表的な資源国通貨だ。世界景気に敏感な通貨としても知られている。政策金利はかつての2桁台からは低下したが、現在も7.0%と高く、FX取引では高スワップポイント狙いのポジションが多いだろう。もっとも、南アフリカは政治的にも経済的にも不安定なため、ランドはボラティリティーが高い高リスク通貨で、残念ながら入ってくるニュースも限定的だ。南アフリカの現状と、ランドの見方にせまろう。


世界経済と南アフリカランドの現状

国際通貨基金(IMF)の4月時点での2017年世界経済見通しによると、世界経済の成長率は3.5%増と16年の3.1%増から加速している。欧州、日本、中国などが足元で予想を上回っており、1月時点の3.4%増予想から0.1ポイントと小幅だが引き上げられた。好調な世界景気を背景に、新興国の成長率予想も17年は4.5%と16年の4.1%から伸び率を高めている。

一方、アフリカ経済の回復は遅い。サブサハラ・アフリカ(サハラ砂漠以南)の17年の成長率は、IMF予想で2.6%と新興国より低い伸びが見込まれている。とくに南アフリカは16年には干ばつに見舞われ、農業の主産品・とうもろこしが大きく落ち込み、成長率は0.3%に留まった。17年は4月時点のIMF予想では0.8%増と回復を見込んでいるが、ペースは遅い。もっとも5月のIMFの調査では、とうもろこしが干ばつから回復し、前年比87%増で予想を上回っている。コモディティー価格の回復で鉱業も予想を上回り、GDP成長率予想は0.8%から1.0%と、0.2ポイント上方修正された。

南アフリカの成長率は、05年から07年まで世界的景気拡大の恩恵を受け、5%を超える高成長だった。南アフリカは世界景気の影響を受けやすいため、リーマン・ショック後の09年には、マイナス成長に落ち込んだ。その後しばらくは2~3%の成長を維持していたが、14年から1%台に落ち込みはじめ、16年には干ばつもあって0.3%まで落ち込んだ。

南アランド通貨の特徴

南アフリカはブラジル、オーストラリア、カナダなどともに、代表的な資源国通貨だ。資源価格の動向が、その国の経済と為替の動きに大きな影響を与える。資源価格は世界景気によって大きく変動することが多いため、世界景気に敏感な通貨とも言えるだろう。

南アフリカの代表的な資源は金、ダイヤモンド、プラチナといった鉱山資源。対外輸出に占める鉱山資源の割合は高い。特に金の埋蔵量は世界一だ。

高金利通貨なのも特徴だ。政策金利は、リーマン・ショック前は10%を超えていることが普通だった。国家の政策として外貨を取り込みたいため、高金利政策を推し進めていたのだ。

南アフリカランド通貨の動きとそのリスク

リーマン・ショック前の07~08年には、南アランドは対円で16~18円のレンジで推移していた。リーマン・ショック後に世界景気の低迷で10円を割り込み、09年には一時9円割れとなった。その後、10円を中心レートに9~11円のレンジでの推移が何年か続いていたが、南アフリカ景気が落ち込みはじめた15年には8円を割り込み、16年には一時7円も割り込んだ。その後の景気回復の見通しから、現在は8円台で推移している。

こうしてみると、資源通貨といっても金の価格より、自国経済や世界景気の影響、金融市場のリスクオン・リスクオフに敏感に反応している。リーマン・ショック後の1年間に対円で半分までなったことを見ても、世界景気感応度は高く、ボラティリティーも高い。今年に入っても、資源価格の回復と世界景気拡大を背景に、年初の7.5円から5月の8.6円まで堅調に推移してきたが、3月のゴーダン財務相更迭時、5月の米トランプゲート事件時には一時急落している。

アフリカ諸国の特徴として、政治と治安のリスクがある。今年3月にはズマ大統領が、財政路線を巡り対立しているゴーダン財務相を更迭し、政治リスクが表面化した。ズマ大統領は、公金流用疑惑や経済界との癒着問題で支持率を大きく落としており、内閣改造時にゴーダン財務相を更迭したのだ。後任にはズマ氏派のギガバ氏が就任した。ゴーダン財務相は財政改革に着手中で海外投資家からの支持が厚かったため、財政拡大を懸念し、ランドは一時急落した。

ランドのソブリン債(国債)の格付けは、S&PがBB+、ムーディーズがBaa3と、かろうじて投資適格級を維持している。ただ、政治的不安定などが広まり格下げされればジャンク債扱いとなるギリギリのレベルにある。

自国の経済や政治だけでなく、隣国など周辺国の紛争などで難民問題が発生する可能性もあるところがフロンティア市場・アフリカの難しいところだ。

南アランド通貨の金利推移見通し

現在の南アフリカの政策金利は、7.00%と高金利だ。高金利通貨というわれるブラジルが現在10.25%。同じく高金利通貨としてハイイールド債などに組み入れられることの多いトルコが現在8%。南アフリカの政策金利は、それに次ぐレベルになっている。

ランドのソブリン債は、10年債の利回りが現在は8.8%になっている。3年債の利回りは7.7%程度で、3カ月の金利が6.3%程度だ。

リーマン・ショック前の08年には、政策金利は12%だった。海外から投資資金を集めるために、政府が高金利政策をとっていたためだ。リーマン・ショック後、景気の軟化で12年には一時5%まで低下した。その後14年1月から再び利上げ局面にはいり、その後6回の利上げで17年3月から7%になった。景況感が上方修正されるなら、今後も上がる可能性があるだろう。金利上昇は、ランド高につながる可能性が高い。南アフリカ経済と金融政策には注目しておきたい。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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