アカデミー賞関連銘柄
(写真=Thinkstock/Getty Images)

米国映画界最大のイベントである、第88回アカデミー賞授賞式が2月28日に米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われた。アカデミー賞作品賞は「スポットライト/世紀のスクープ」が受賞した。5部門でノミネートされていた「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」は無冠に終わった。主演男優賞は、レオナルド・ディカプリオが念願のオスカー初受賞となった。毎年この季節には、アカデミー賞関連銘柄が賑わうことがあるが、今年は今までとは変わった傾向がでているようだ。

定番のアカデミー賞関連銘柄はディズニーなど

アカデミー賞の世界的な販売促進効果が高いため、通常はメディア企業が関連銘柄として物色される。たとえば今回のアカデミー賞でもウォルト・ディズニーは長編アニメーション賞を「インサイド・アウト」で授賞。アカデミー賞の長編アニメーション部門は、昨年の「ベイマックス」、一昨年の「アナと雪の女王」、さらにその前年の「メリダとおそろしの森」と4年連続でディズニー作品が制している。

ウォルト・ディズニー(ティッカー:DIS)は、受賞作の観客増・販売増が期待されるだけでなく、子会社でメディアのABCテレビなどを運営しており、メディア部門での相乗効果も期待される。ちなみに、アカデミー賞授賞式の中継はABCテレビが行っている。ウォルト・ディズニー株は、アカデミー賞後の初の取引である29日は0.2%高と小幅高で反応は限定的だった。

ディカプリオの「レヴェナント」は製作・提供しているトゥエンティーファーストセンチュリーフォックス(FOXA)が関連銘柄になるが、29日の株価はマイナス0.2%とこれも全くの反応なしだった。

その他にメディア企業のニューズ・コーポレーション(NWS)、タイムワーナー(TWX)、バイアコム(VIA)などがメディア企業としてアカデミー賞関連銘柄の常連だ。ただ今年はちょっと勝手が違ったようだ。

視聴率ダウンで注目度が下がっている

88回アカデミー賞の視聴率は23.1%と昨年から6%下落し2008年以来で最低だったようだ。特に18~49歳と比較的若い層の視聴率は13.5%と低く、昨年より5%下落している。

米視聴率調査会社ニールセンによると、今年の平均視聴者数は3430万人で、昨年の3660万人を6%下回り、2年前よりも16%下回ったという。今年以前の最低視聴率は2008年の3200万人となっており、アカデミー賞授賞式の視聴者数は7年連続で下降し続けている。ただこの統計にはオンラインでの視聴者の数字は含まれていないようだ。

アカデミー賞はまだまだコンテンツとしての魅力は高いものの、一時ほどの輝きはなくなってきている。低視聴率を嫌気してアカデミー賞の単独スポンサーである百貨店のコールズ(KSS)は0.3%安と売られた。今年のアカデミー賞の単独スポンサーは、今までの百貨店大手のJCペニー(JCP)からコールズに入れ変わったのだが、JCペニーが好決算だったこともあって6.4%高だったのと好対照だった。

映画も投資もサステナブルがキーワード

最多受賞の6部門を制した「マッドマックス」が描いたのは、石油や水など資源が枯渇した未来の世界だ。ディカプリオがオスカー賞をとった「レヴェナント」が描いたものは、瀕死の重傷のハンターが荒涼で厳しい大自然を生き抜く独りのサバイバルの旅だ。プロダクションチームは、暖冬だったため、雪を探すだけのために、この地球の南の端まで行かなくてはならなかったと、環境問題を提起していた。

そして今、投資の世界では世界的に「ESG投資」の運用残高が急増している。運用総資産に占めるESG投資の比率も上がっているという。ESG投資とは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字だ。財務分析やファンダメンタルズ分析だけでなく、その3要素に優れた企業に投資をするのがESG投資だ。

2006年に国連が責任投資原則(PRI)を提唱し、大手機関投資家に対し投資判断にESGの観点を組み込むことなどを求めたことから注目度が増している。日本でも、昨年GPIFがESGをファクターと注目していることを正式に表明している。再生可能エネルギーへの投資、グリーン関連への投資、新興国や被災国などへのインパクト投資もESGの範疇に入っている。

こういった環境問題を意識した映画が脚光を浴びるのも、ESG投資が伸びるのも、世界が抱える複雑で長期的な問題に対して、人間活動と自然環境が調和したサステナブルな社会の構築を目指すという流れに沿ったものかも知れない。

平田和生
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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