新型コロナウイルスの影響拡大により、日本でも緊急事態宣言が発令され、多くの企業で、在宅勤務、いわゆるテレワークが実施されるようになりました。

現在、国内では第一波が落ち着きつつあり、緊急事態宣言も解除されましたが、このタイミングで、都心のオフィスを解約する企業も出てきており、新型コロナウイルスの状況にかかわらず、今後はテレワークのような働き方が主流になっていく可能性も高まっています。

これまでの「オフィスに出社する」という形とは異なるテレワークという形態で業務を行う際には、そのメリット・デメリットを把握しておく必要があります。今回は、テレワークを行う際の健康上の注意点などを解説していきます。

田中岳史
監修・田中岳史
KRD Nihombashi院長

昭和60年 順天堂大学医学部卒業、順天堂大学第2外科学講座入局
平成2年 順天堂大学大学院卒業
平成5年 ケンブリッジ大学留学
日本消化器病学会指導医
日本外科学会認定医
日医認定産業医
宇宙航空医学認定医

テレワーク による健康上のメリット・デメリット

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(画像=PIXTA)

テレワーク実施によるメリットの中でも、もっとも大きいものの一つが「通勤時間を削減できる」ことです。

東京都の通勤・通学時間の平均は約1時間30分とされています。この時間を睡眠や趣味の時間に置き換えることができれば、心身に良い影響があるでしょう。

一方で、気をつけたいのは毎日のスケジューリングです。

「出社する」という行為があることによって、自然と朝起きる時間や食事をとる時間が決まり、毎日のリズムが保たれていたという人も多いでしょう。また自宅から駅までの移動がなくなり、1日中机の前で作業することになってしまうという可能性も出てきます。

生活リズムの乱れや運動不足は、健康の悪化につながります。

KRD Nihombashiの田中岳史院長も、日々のリズムを保つことの重要性について、下記のように指摘します。

「健康的な日常生活に不可欠なのが“自律神経(交感神経・副交感神経)のバランス”です。交感神経は消費(通勤時間を含めた仕事にまつわる時間)、副交感神経は充電(リラックスできるプライベートな時間)。これが50:50(12時間ずつ)にスケジュール調整する事をしましょう。

通勤時間がなくなった分を運動に振り替えるとよいと思います。また起床(通常の通勤に合わせて)、就寝(日付が変わる前に)を毎日同じ時間に設定して、睡眠時間も7時間は取るようにします。これで体内時計が整い、自律神経が安定します」

テレワークの思わぬ落とし穴

日々のリズムの変化に加えて、注意したいのが自覚しづらいテレワークのデメリットです。具体的には「メンタル面」「食事」「習慣の変化」が挙げられます。それぞれについて解説していきます。

1. 孤独感、コミュニケーション不足‥注意したいメンタル面のケア

テレワークの際にはメンタル面への影響も考慮する必要があります。アメリカのSNS管理サービスBufferが2020年の始めに欧米を中心としたテレワーク実施者を対象に行ったアンケートによると、テレワークの問題点として、「孤独」と「コミュニケーションとコラボレーション」が共に20%でトップとなっています。

こうした課題に対応するため、早くからテレワークに取り組んでいる日本企業の中には、チャットアプリに「雑談ルーム」を作るなどの工夫をしているところもあるようです。

「メンタル不調は集中力、意欲の低下から仕事のパフォーマンスが下がり、ひいては自己の存在否定にも繋がり、仕事どころではなくなります。

またメンタル不全の8割以上の方が頭痛、動悸、消化器症状など身体症状も伴っており、日常生活にも支障を来すことが少なくありません。こうしたことが継続することによって、さらにメンタル不全を増悪させるという悪循環に陥ってしまいます」(田中院長)

2. 手軽さだけでは考えるのはハイリスク!食事の内容

テレワークにより、終日家にいることで食生活が変化した人も多いと思いますが、栄養面を含めた食事には十分な配慮が必要です。

また、手軽だからという理由で麺類などが多くなってしまうと、糖質過多になってしまいます。

「バランスの良い食事と言いますが、実際にはなかなか調整しづらいものです。簡単な覚え方は“手計”を覚えておくとよいと思います。一食当たり主食(米、パンなどの炭水化物)は拳大、主菜(肉、魚などのおかず)が片手のひらに乗る量、副菜(野菜)が両手です。

果物は一日に拳大取るとよいと言われています。一方で、家の中に過ごす時間が長くなると、どうしても“ながら食べ”が多くなります。仕事をしながら、読書をしながら…ついお菓子に手が伸びてしまいます。前述のバランスの良い食事の目安はあくまでも間食しないことが前提。この“ながら”で摂った炭水化物、糖質が長時間の高血糖状態を引き起こしてしまいます。

高血糖状態が持続すると、在宅での運動不足と相まって、この余計な糖分が脂肪として蓄積し、肥満、そして生活習慣病発症へとつながっていきます。また自炊では自分好み通りにしてしまいがちです。またお子さんと一緒に食事をすることが多くなるとどうしても味付けが甘味過多となります。高血糖は動脈硬化はじめとするaging(老化)の一番大きな原因となります。普段から一日の糖質摂取量を意識して摂取することが大切です」(田中院長)

一方で、毎食自炊をするのは、ハードルが高いでしょう。また、子育て世帯などであれば、朝昼晩3食すべて家族全員分の食事を用意するのは、かなりの負担になります。

ストレスの原因になるようでは本末転倒なので、デリバリーや冷凍食品なども適度に摂るようにすると良いでしょう。

3.通勤時にしていたルーティンがなくなる

これまで説明してきたように、「1日が誰とも話さずに終わってしまった(コミュニケーション不足)」と「気付いたらお菓子などの間食をしていた」(糖質過多)など以外にも、テレワークによって起こりがちな習慣の変化があります。

それは、「通勤」という行為に伴うルーティンが失われることによる悪影響です。具体的には、下記のようなものが挙げられます。

・出社不要のため身だしなみへの意識が薄れ、歯磨きなどをしなくなる。(歯周炎からの歯周病)
・外出しないため、日光を浴びずに1日が終わってしまう。(ビタミンDの不足)
・退社という明確な区切りがないことで、常にタスクに追われ、緊張状態が続く(高血圧、高血糖)

また、通勤や会議室、ミーティングスペースへの移動がなくなることにより座位の状態が続くことの悪影響にも注意が必要です。

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緊急時こそ注目すべき自らの健康状態

緊急事態宣言が解除されたものの、もうしばらくの間テレワークを続けたり、あるいはこのままテレワークにシフトする企業も増えつつあるため、そろそろテレワークに慣れてきたという人も多いかもしれません。

また、テレワークの実施に伴う生活習慣の変化により、体の不調がでてきているという人もいるでしょう。

現在のような緊急時だからこそ、改めて日々の生活の中で、自らの体を細やかに労わることが重要です。これまで以上に体調管理を徹底し、生産性の高いテレワークライフを実現しましょう。

※KRD Nihombashiは健康保険の使用ができない、自由診療の健診施設です。 健診は、スタンダード、ライト、「歯・目・血」、プレミアム、レディースの各コースをご用意しており、 料金はスタンダードAコースで13万7500円、Bコースで12万1000円、プレミアムでは男性コース22万円、 女性コースは24万8000円となっています。各コースともに、70項目以上の検査項目を実施し、 受診者さまの健康管理をサポートいたします。料金の詳しくは以下をご確認ください。
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