テレワークの影響で肩こりや腰痛が悪化した‥。そんなふうに感じている人も多いのではないでしょうか?

実際に、民間企業が実施した調査でも、身体に不調を感じている人が増えています。今回は、テレワークを行う際に注意しておきたい作業環境について解説していきます。

田中岳史
監修・田中岳史
KRD Nihombashi院長

昭和60年 順天堂大学医学部卒業、順天堂大学第2外科学講座入局
平成2年 順天堂大学大学院卒業
平成5年 ケンブリッジ大学留学
日本消化器病学会指導医
日本外科学会認定医
日医認定産業医
宇宙航空医学認定医

在宅勤務を始めた人の7割以上が「肩こり・腰痛」の深刻化を実感

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(画像=PIXTA)

「ピップエレキバン」などを販売するピップ株式会社が、20代~50代の会社員5,000名を対象に「在宅勤務制度」の導入状況を調査したところ、「以前から導入されている」と、新型コロナウイルス感染症対策として「新たに導入されるようになった」と回答した人の合計が3割を超えています。

この調査は2020年3月の半ばに行われたものなので、緊急事態宣言の発令を経た現在はより多くの企業が在宅勤務になっていると考えられます。

また、在宅勤務をするようになった社員に、「肩コリや腰痛を感じるようになったり、症状が深刻化したか否か」を聞いたところ、7割以上が「はい」と回答しています。さらに、肩コリや腰痛の不調要因については、『長時間の同じ姿勢』『普段と違う姿勢』『運動不足』などがあがっています。

オフィスと比較すると「テーブルは低く、椅子は高い」という環境のケースが多く、ノートパソコンのディスプレイとキーボードが低い位置になりがちです。その結果、猫背になりやすく、長時間作業すると腰や肩への負担が大きくなります。また、床に座ってローテーブルで作業する場合は、腰痛などを引き起こしやすくなります。

スペースなど問題で十分な作業環境を確保できない場合でも、同じ姿勢や目線が続かないよう工夫する必要があります。例えば、一度にする作業を最大50分程度までに分解し、業務内容を分解し、強制的に区切りを入れることで、同じ姿勢が続くことを避けることができます。

一方で、業務に適した正しい姿勢とはどのような姿勢でしょうか。KRD Nihombashiの田中岳史院長は下記のように解説しています。

「座位で仕事をする場合は、背筋を伸ばし、肘関節、股関節、膝関節は各々90°、目線の先がディスプレイの上端に合わせる、というのが理想です。

人間は頭の重さが4-5kg、腕一本が3-4kg、腰には体重の数倍の力がかかると言われています。これを無理なく保持するには解剖学的にこの姿勢が一番無理がかかりません。

それでも持続時間はせいぜい1時間。集中して仕事をしていると自分でも気が付かないうちに全身の筋肉がコリコリになってしまいます。首では肩こり、頭痛の原因となり、腕に行く神経がこった筋肉、スジに締め付けられて、手や腕の痺れや脱力につながることもあります。

腰では腰痛となり、長期化すると椎間板ヘルニアや坐骨神経痛、下肢の痺れ、脱力を引き起こしてしまいます。

また、姿勢が悪いと血流も悪くなるので、時折わきの下や太ももの付け根など、リンパが滞りやすい箇所をマッサージして、血流を良くするのも一つの手です。もっと良くしたいなと思う方なら、休憩の間にストレッチをしてみるのもよいでしょう」

注意したいVDT症候群とは?

腰痛や肩こりなどに加えて注意したいのが、目に与える悪影響です。

なかでも「VDT(Visual Display Terminal)症候群」というディスプレイ作業にかかわる人の視覚障害には注意が必要です。

具体的には、目が疲れる、目の痛みといった症状から重症化すると、肩こりや腕の痛みへとつながります。さらに慢性的になると、背中の痛み、手指のしびれなどといった全身の症状へと広がっていきます。

VDT症候群も作業姿勢を工夫することで予防することができます。具体的には、以下のような対策を行うことが有効だとされています。

・作業に必要なものが配置できる適切な広さの机を利用する
・ディスプレイとの距離を40cm以上持ち、その上端が目線とほぼ同じかやや下になる高さにする
・直接、ディスプレイ画面に光が入らないようにする
・まばたきの回数を意識的に増やす

VDT症候群の症状とリスクについて、田中院長は以下のように述べています。

「VDT症候群はディスプレイを凝視しつつ、PC作業など長時間同じ姿勢を保持することによっておこる様々な症状の総称です。主なものは眼の症状、筋骨格系の症状があります。眼の症状は、視線の絶え間ない移動と焦点合わせ、露出調整(ディスプレイ↔キーボード↔書類)によっておこる目の負担です。

これらの動作はすべて筋肉が行っています。加えてディスプレイの熱、光による目の表面の乾燥もあり、長時間のPC作業で目はへとへとになります。目がしょぼしょぼする、ごろごろする、ぼやける、目やにが気になるなどが主な症状です。

また一方では長時間の姿勢の保持のため、肩・首・頭部、背・腰部の筋肉がこわばり、固まってしまって、肩こり首こり・頭痛あるいは背部痛・腰痛の原因になります。また他には目の負荷が自律神経の不安定を引き起こし、慢性疲労などの全身の体調不良や、メンタル不全までも引き起こすこともあります」

こまめに体を動かして、体をほぐそう!

テレワーク中は、1日中デスクでの作業が続いてる人も多いでしょう。これまで説明してきたように、普段と違う姿勢で長くパソコン操作を続けることは、首や肩、腰の痛み、目の疲れにつながります。

「VDT症候群の対策は1時間に1度は必ず5分程度休憩をとることです。それ以上続けても目や身体に負担をかけるだけで、かえって仕事効率も悪くなります。1時間に一度休憩をとる場合と、ぶっ通しで作業を続けた場合とを比べると効率が前者の方がはるかに仕事効率も良く、ミスも少なかったというデータがあります。

眼のケアに関しては遠くを見る事(目の調節筋を休めることができます)、保湿剤、ビタミン剤などが入った目薬を利用して目の保養をする事、作業中は意識してまばたきをすること(PC作業中はまばたきの頻度が普段の生活の1/3になっています)、蒸しタオルなどで目周囲を温める(血液循環を良くし、目の養生になります)がポイントです。

また休憩時に椅子から立ち上がって首、肩はじめ上半身や腰回りの筋肉のストレッチをしましょう。YouTubeなどでVDT症候群の体操動画がupされているので利用するのも良いと思います」(田中院長)

定期的に散歩などの運動をしたり、スクワットやストレッチなど意識的に体を動かすことで健康な状態を保つようにしましょう。

※KRD Nihombashiは健康保険の使用ができない、自由診療の健診施設です。 健診は、スタンダード、ライト、「歯・目・血」、プレミアム、レディースの各コースをご用意しており、 料金はスタンダードAコースで13万7500円、Bコースで12万1000円、プレミアムでは男性コース22万円、 女性コースは24万8000円となっています。各コースともに、70項目以上の検査項目を実施し、 受診者さまの健康管理をサポートいたします。料金の詳しくは以下をご確認ください。
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