「健康経営」とは、アメリカの臨床心理学者であるロバート・ローゼン博士により提唱された「ヘルシーカンパニー」に基づいた経営方針で、従業員の健康管理を経営課題とし、戦略的に取り組む経営手法です。

これまで別のものとして考えられていた「経営管理」と「健康管理」を統合し、個人の健康増進を企業の業績向上に繋げるという考え方です。

少子高齢化が進む日本において、労働力の確保は非常に重要な課題です。従業員の健康を重要な経営資源として捉えて、健康づくりの推進を「将来への投資」と捉える動きが広がりつつあります。

なぜいま「健康経営」なのか?

健康増進策
(画像=PIXTA)

2014年から経済産業省は、健康経営の顕彰制度の一環として、「健康経営銘柄」の選定を行っており、2016年度には「健康経営優良法人認定制度」を創設しています。

これは、健康経営に取り組む企業を「見える化」することで、従業員や関係企業などのステークホルダーから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価を受けることができる環境を構築することを目的としています。

こうした健康経営に関する施策を経産省は、「日本再興戦略、未来投資戦略に位置づけられた『国民の健康寿命の延伸』に関する取り組みの一つ」と位置付けています。

また、当然のことですが、従業員の心身の不調は生産性を低下させます。米国のヘルスケア企業ジョンソン・エンド・ジョンソンがグループ世界250社、約11万4000人に健康教育プログラムを提供し、投資に対するリターンを試算したところ、投資1ドルに対するリターンが3ドルになったという調査結果も出ており、企業価値の向上につながることも示唆されています。

企業には現在でも、年に1回の一般健診が義務付けられていますが、その検査項目は限定的です。従業員を業績アップのための「資産」と捉えるならば、これからは人間ドックなどの活用によって、従業員の健康状態を詳細に把握すると同時に、健康維持への取り組みをより明確にする必要があるでしょう。

企業のあるべき「健康経営」とは?

福利厚生などにユニークな施策を導入し、従業員の健康に配慮する企業も出てきています。具体的な取り組みをいくつかご紹介します。

ヤフー:「揚げ物税」の導入で従業員の脂質とりすぎを抑制

検索サイト大手のヤフーは、2019年10月から自社の社員食堂で「揚げ物税」の導入をスタートしています。揚げ物料理の価格に揚げ物税として100円をプラスし、そのプラス分を原資にして魚料理を150円値下げするという取り組みです。

この取り組みは、ヤフーで働く従業員が昼食時に脂質を摂りすぎないようにすることを目的としたものです。同社は揚げ物税導入の際の報道発表で、脂質を摂りすぎることが肥満やメタボリックシンドロームを招く要因となることを指摘しています。

ヤフーはそのほか、社員食堂で提供される料理の食器の裏につけたチップで社員ごとの摂取栄養素を把握する取り組みも2016年から行っており、健康に配慮した企業の一社として注目を集めています。

オフィスおかん:栄養バランスに配慮したお惣菜を冷蔵庫に常備

ヤフーと同様に、食事の切り口で社員の健康を増進させようという福利厚生サービスはほかにもあります。そのサービスの一つが「オフィスおかん」。このサービスを企業が契約・利用すると、社内に置かれたレンタル冷蔵庫の中から従業員がいつでも1品100円の健康的なお総菜を食べることができます。

このサービスは株式会社OKANが提供しているサービスで、レンタル冷蔵庫の中のお総菜の在庫管理や賞味期限管理は全てOKAN側が行い、「ぷち社食サービス」などとも呼ばれています。同社の発表によれば、福利厚生サービスとして企業向けに提供を開始してから5年間で既に2,000社の導入実績があるということです。

GMOやCRAZY:「睡眠」に着目した福利厚生サービスを提供

インターネット関連事業で国内大手のGMOインターネットグループは、さまざまな福利厚生を従業員向けに用意していることで知られています。その福利厚生のうちの一つがおひるねスペース「GMO Siesta」で、平日の昼間に会議室をお昼寝スペースとして提供することで、従業員の疲労回復や作業効率の向上につなげてもらおうというものです。

実は「睡眠」に着目した福利厚生サービスは、最近注目が高まりつつあります。例えば、ウェディングサービス大手のCRAZYは、1週間のうち5日以上6時間以上の睡眠を確保した従業員に報酬を渡す制度を導入しています。

コロプラ:社内に従業員向けのマッサージルーム

オンラインゲーム開発のコロプラは、福利厚生として従業員向けのマッサージルームを社内に備えています。コロプラの従業員であれば利用が可能で、常に先々まで予約が埋まっているほど好評のようです。コースは30分コースと1時間コースの2種類から選ぶことができます。

このマッサージルームは従業員の健康チェックの機会にもなっており、血圧計測の結果が良くなければ食事などの日々の暮らしに関するアドバイスを受けられたり、従業員が体調を崩していることが分かった場合は通いやすい病院を紹介する、といった役割も果たしているようです。

社員一人一人の健康リテラシー向上こそが「健康経営」における最大の投資

このように、企業によってはユニークな健康増進のための福利厚生サービスが用意されています。 また、企業は従業員に健康診断の受診を義務付けていますが、それだけではカバーしきれない部分も多い可能性があります。

企業にとっての従業員は、企業活動を存続していくための重要な資産です。さらに、新型コロナウィルス感染拡大の状況下で見えてきた新たな「健康経営」に対する課題として、従業員一人一人の健康に対するリテラシー向上が重要でしょう。

先ほど紹介したような企業の事例は健康経営の第一歩であり、それだけにとどまらない従業員のリテラシー向上のための投資に取り組むことで、従業員自身による健康維持、その結果として生産性の向上、企業業績の向上につながり、まさに「健康経営」という投資が大きな効果を生むことになるでしょう。

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