日々アクティブに活躍するビジネスパーソンが感染症に負けないためには、「免疫力」を整えることが非常に効果的です。そして、免疫力を整えるためには適度な運動を継続することが重要です。

本シリーズ「New Normal時代のキャリアと健康リスク」の1回目では、運動不足と血液の問題が全身疾患のリスクにつながることを説明しました。第2回となる本稿では、免疫の仕組みや運動との関係性について解説し、ビジネスパーソンの健康づくりを免疫力という観点からさらに深く考えます。

目次

  1. 免疫とは?感染症と戦う人体の免疫の秘密
    1. STEP1:粘膜免疫
    2. STEP2:全身免疫
  2. 免疫力が落ちると何が起きる?
    1. かぜやインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなる
    2. 胃腸炎により下痢などをしやすくなる
    3. 肌が荒れる
    4. アレルギー症状が生じやすくなる
    5. 疲れやすくなる
  3. 免疫力を下げる要因とは
    1. 疲労や睡眠不足
    2. ストレスや不規則な生活
    3. 偏食や肥満
    4. 低温や乾燥
    5. 激しい運動
  4. 適度な運動が免疫力を高める理由
    1. 筋肉が増え体温が上がるため
    2. 代謝が高まるため
    3. 太陽光を浴びる機会が増えるため
    4. 適度に疲れて睡眠しやすくなるため
    5. 血管が広がることで血圧が下がるため
  5. 免疫力を整えるNew Normal時代の行動とは
    1. ストレスと上手に付き合う
    2. 激しい運動は避ける
    3. 歩く機会を増やして、太陽光を浴びる
  6. 免疫力もチェックできる精密検査を受けよう
    1. 免疫力は、どうやって調べればいい?

免疫とは?感染症と戦う人体の免疫の秘密

免疫力
(画像=taka/stock.adobe.com)

人間の体は約60兆個もの細胞でできています。感染症に負けず健康で生きていくために、まず私たちの体を、自己の細胞と、非自己(自分のものでない)の細胞を見分ける必要があります。

免疫とは、これらの細胞を見分けることからはじまります。そして外部から侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体、体内で発生した老廃物・異常細胞であるがん細胞などの“非自己”を見つけて攻撃し、取り除いて体を守るのが免疫の仕組みです。

この仕組みには大きく2段階あると考えられています。

STEP1:粘膜免疫

細菌やウイルスが外部から侵入する方法=いわゆる感染経路は、その種類によってさまざまです。呼吸や接触、食品などを介して、体の中に病原体や異物が侵入する最初の侵入口は目・鼻・口・腸管・尿路などの粘膜です。

この粘膜の組織に備わっている“異物を取り除く機能”を粘膜免疫といいます。なかでも主体的な免疫物質を『IgA抗体(以下、IgA)』と言います。私たちの体は、まず粘膜免疫によって、外部から病原体の侵入を防ぎます。

STEP2:全身免疫

免疫力の低下などで粘膜免疫がうまく機能せず、病原体が体内に侵入した場合や、体内で発生した異常細胞に働くのが全身免疫です。これはおもに、リンパ節や血液中で機能します。全身免疫にはさらに2つの仕組みがあります。

・自然免疫

細菌やウイルスが侵入したとき、直ちにその病原体を攻撃するのが自然免疫です。好中球やマクロファージといった免疫細胞が“非自己”である病原菌を感知するや否や直ちに貪食処理します。

・獲得免疫

病原体を抗原と言い、抗原に対抗するものを抗体といいます。マクロファージから抗原の情報を受け取り、抗原ごとの特異的な抗体を産生して攻撃するのが獲得免疫の仕組みです。自然免疫に比べて作用するまで時間はかかるものの、抗原の情報を記憶することができるので、同じ病原体が再び侵入したとき効果的に排除できます。

インフルエンザなどのワクチンも、この獲得免疫を利用して抗体をつくり出します。

このように目や鼻、口、腸にある粘膜免疫と全身免疫が24時間働き、病原体など敵の侵入を防いでいるのです。

免疫力が落ちると何が起きる?

細菌やウイルスなどの病原体、体内で発生した異常細胞などから体を守る仕組みを「免疫」、その(防御)能力のことを「免疫力」といいます。

では免疫力が落ちることで体には、どのような悪影響が出るのでしょうか。

かぜやインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなる

感染症とは、細菌やウイルスなどの病原体が体内に侵入して症状を引き起こす疾患です。かぜやインフルエンザはもちろんのこと、世界的に大流行している新型コロナウイルス感染症も、まさにそのひとつです。

ウイルスの多くは低温で乾燥した環境を好みます。さらに私たちの体は体温が下がると免疫細胞が不活発になることから、インフルエンザなどは冬の寒い季節に流行します。

胃腸炎により下痢などをしやすくなる

細菌やウイルスなどを口にしてしまうことで、下痢や嘔吐、腹痛や発熱などを引き起こす感染性胃腸炎が梅雨時~初夏に多く流行します。あるいはノロウイルスのように真冬に見られるものもあります。 健康であれば胃酸や腸内の乳酸菌などの善玉菌によって、病原菌が繁殖しにくい環境を保つことができ、食中毒の発症抑えられますが、ストレスなどで自律神経のバランスが崩れると、これらの免疫力が下がります。

肌が荒れる

肌にも免疫機能をつかさどる細胞があります。人の肌は日常的に紫外線や大気汚染、雑菌などにさらされており、免疫力が落ちると、細菌などを排除する力や紫外線・乾燥などの反応を鎮静化する働きが弱まり、結果として肌の炎症などにつながります。

アレルギー症状が生じやすくなる

免疫力のバランスが崩れると、細菌やウイルスに過剰に反応し、さまざまなアレルギー症状が生じやすくなります。

たとえば花粉症は、目や鼻から侵入した花粉(アレルゲン)が体内で“異物”とみなされると抗体がつくられます。一定量の抗体ができたあと、再び花粉(アレルゲン)が体内に入るとヒスタミンなどの化学物質が放出され、くしゃみや鼻水などの症状が止まらなくなるのです。

疲れやすくなる

免疫力が低下すると風邪などにかかりやすくなることから、結果として体力を消耗し、体が疲れやすくなることにつながります。

このように免疫力のバランスが崩れることによっておきる悪影響は大きく、その疾患や症状もさまざまです。

発熱など明らかな症状で仕事を休む必要が出てくるほか、アレルギー症状によるかゆみが長く続いて仕事に集中できないなど、いずれもアクティブに活躍したいビジネスパーソンにとっては大敵と言えるでしょう。

免疫力を下げる要因とは

免疫力が低下すると感染症にかかりやすくなることはもちろん、体にさまざまな悪影響が出てくることがおわかりいただけたかと思います。それではどのような行動・習慣が免疫力を下げることにつながるのでしょうか。

疲労や睡眠不足

睡眠不足などによって体が疲労すると、循環機能が鈍くなってしまうことで免疫細胞が体全体に巡っていきにくくなります。睡眠不足で体内時計が狂うことも、免疫力の低下につながるのです。

ストレスや不規則な生活

ストレスは白血球の中にあるリンパ球の働きを低下させます。不規則な生活もストレスの増加につながるため、できれば避けたいところです。

偏食や肥満

偏った食生活などによって肥満を招くと、免疫機能の低下につながると言われています。また免疫細胞はさまざまな栄養素からできるという観点からも、バランスの良い食事は非常に重要です。

低温や乾燥

体温が下がると免疫細胞の働きが著しく低下します。特に秋の終わりから冬にかけては寒い日が続くので、体を冷やさないよう注意が必要です。また、冬の乾燥も免疫細胞にとっては大敵です。鼻や喉の粘膜が乾燥すると、免疫力が落ちます。

激しい運動

激しすぎる運動も免疫力の低下に結びつきます。一方で、適度な運動は免疫力をアップさせます。

適度な運動が免疫力を高める理由

先ほど、適度な運動は免疫力を高めることにつながることを説明しました。その理由を具体的に説明していきます。

筋肉が増え体温が上がるため

適度な運動で筋肉を増やすと体温が上がります。体温が上がると免疫力がアップします。

代謝が高まるため

運動をすることで筋肉量が増し、基礎代謝がアップすると、免疫系が刺激されることでウイルスなどに対する抵抗力が上がります。

太陽光を浴びる機会が増えるため

外で運動をして太陽光を浴びると、体内でビタミンDが活性化生成されます。活性化ビタミンDは免疫機能を調節する働きがあり、病原菌が侵入した際に免疫力を増強して対抗します。またカルシウムの骨への沈着を促して骨が丈夫になり、筋肉もつきやすくなることで免疫力がアップします。

適度に疲れて睡眠しやすくなるため

睡眠不足は免疫力低下につながります。運動をすることで適度に体が疲れると、しっかりと睡眠が取れやすくなるため、結果として免疫力の低下を避けることができます。

血管が広がることで血圧が下がるため

高血圧の患者は免疫力が低いという調査結果が出ています。適度な運動は、毛細血管の活動が活発になり血管が拡張するために高血圧の対策になるとともに、末梢まで酸素や栄養を運ぶため免疫力のアップにつながります。

免疫力を整えるNew Normal時代の行動とは

免疫力を整えるためには、免疫力を下げる行動を控え、免疫力を高める運動などを積極的に取り入れることが大切です。

ストレスと上手に付き合う

私たちの体はストレスを受けると、自律神経のバランスが崩れて免疫力が弱まると言われています。これは、自律神経のバランスが免疫細胞である『白血球』や『リンパ球』の機能調節に関わっているためです。

十分な睡眠をとる、ゆっくり入浴するなど肉体的なストレス解消を意識的に取り組むほか、不規則な生活にならないよう心がけましょう。

激しい運動は避ける

ストレス解消のためには運動も欠かせません。多くのウイルスは低温の環境を好むことから、適度な運動で代謝や体温を上げることができれば、免疫力を高めることにつながります。

一方で普段運動習慣がない人が急に激しい運動をすることはNGです。たとえば、運動強度が上がるほど唾液中の『IgA』が大きく低下=免疫力が低下することがわかっています。まずはウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動で適度で定期的な運動習慣を作り、身体の基礎を作りましょう。

歩く機会を増やして、太陽光を浴びる

忙しいビジネスパーソンの中には、運動する時間がない人も多いかもしれません。タクシーなど車での移動を控えたり、エレベーターではなく階段を利用したりと、日常生活の中で少しでも体を動かして筋肉をつけ、代謝を上げましょう。

また、太陽光を浴びると体内で『ビタミンD』が生成されます。ビタミンDは、カルシウムの骨への沈着を促して骨を丈夫にするほか、筋肉もつきやすくなることから免疫力アップにつながります。

天気のいい日は1駅分を歩いたり、仕事の休憩時間に散歩するほか、外出できない場合も朝起きたらカーテンを開けて太陽光を取り入れるなど、普段から意識するとよいでしょう。

免疫力もチェックできる精密検査を受けよう

このように免疫力を整えるためには、日々の行動の心がけと適度な運動を継続することが大切です。人によっては食品やサプリメントで、免疫力を高めようと考えている人も多いでしょう。

その一方で、免疫力を自覚している人はどれほどいるでしょうか?自分の免疫力がどれくらいあり、運動などによってどれほど上昇したかがわからなければ、免疫力を整える行動を継続する意欲も失せてしまうでしょう。

さらには、免疫力を整えるための行動が本当に効果的であるか、どのように調べればいいかわからないという人も多いはずです。

・適度だと思っていた運動が、体にとっては負担だった
・気づかないうちにストレスを受けて疲れていた
・健康的だと考えていた食事が、自分の体に合っていなかった

これらは自分で判断することが難しく、体への悪影響を受けてから気付いても遅いのは言うまでもありません。

免疫力は、どうやって調べればいい?

そこで、免疫力やその変化を数値で判断することができれば、必要に応じて見直すこともできるでしょう。

たとえば、体内で生成され免疫力を高める『活性化ビタミンD』の状態がわかる「1.25(OH)2VD検査」や、白血球の種類とその分布割合が分かる血液像検査は、いまの免疫状態の様子を推測することができます。ただし、これらは一般的な健康診断では標準項目になっていない場合が多く、オプションで依頼することが必要になることもあります。

そして健康を維持するためには、継続的に体の状態をチェックすることも大切といえます。どれほど日々の行動や運動を心がけようとも、免疫力は加齢とともに低下するのも事実です。検査項目はもちろんのこと、アフターフォローが充実した医療機関やクリニックを選ぶとよいでしょう。

ビジネスも健康も資本を整えることが重要です。健康のために免疫力を整えることはもちろん、免疫力を自覚して定期的に観察・分析していくことは、ビジネスにおける成長セオリーとも似ています。

体の不調を感じている人はもちろん健康だと自覚している人も、これからのNew Normalな時代に仕事やプライベートを充実させるため、まずは自分の免疫力を調べることからはじめてみてはいかがでしょうか。

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