同じ年齢でも肌のハリ・髪のツヤなどから、老けてみえる人と若くみえる人がいます。“見た目の問題”と思いがちですが、体の中では血管が老化し、健康リスクを抱えている可能性が考えられます。

本シリーズ「New Normal時代のキャリアと健康リスク」では、運動不足と血液の問題が全身疾患のリスクにつながること(第1回)、免疫の仕組みや運動との関係性(第2回)について解説してきました。第3回となる最終回では、老けてみえる=顔からのSOSとしてとらえ、血管の老化を紐解き“老い”と体について向き合ってみましょう。

目次

  1. なぜ、老けてみえるのか
  2. 血管が老化するとどうなるか
    1. 動脈硬化が引き起こす恐ろしい病気
  3. とくに注意したい!血管を老化させる「AGE」
    1. AGEを生み出す“糖化”とは
  4. AGEが引き起こす老化のメカニズム
    1. AGEはさまざまな病気の原因に
  5. AGEの蓄積レベルを調べるには?
  6. 定期的に自分の体を見つめることが大切

なぜ、老けてみえるのか

歯周病
(画像=polkadot/stock.adobe.com)

老けてみえる要因には、顔のシワやたるみ、肌のシミやくすみなどがあげられます。髪にツヤがない状態、薄毛や白髪も老けてみえる印象の1つです。

肌や髪のコンディションは、なぜこのように変化するのでしょうか?

私たちの体は、血管の働きによって血液を流し、全身に酸素や栄養素を行きわたらせています。若いうちは血管にハリがあってしなやかですが、年齢を重ねるなどして血管が老化すると弾力がなくなり硬くなります。そうなると血流が悪くなって、肌や髪の衰えやトラブルがあらわれるのです。

つまり“血管の老化”が、老けてみえる要因の1つと言うことができるでしょう。

見た目年齢と血管の関係は一部の研究でも明らかになっており、愛媛大学の研究では、とくに高齢者で“見た目年齢”が若くみえる人は、“血管年齢”が実年齢より若いことがわかっています。

血管は年をとるにつれて老化するほか、「喫煙」や「運動不足」、「偏った食事」や「ストレス」などによって老化のスピードが速くなると言われており、現代では実際の年齢よりも血管年齢が高い人が増えています。

血管が老化するとどうなるか

血管は、加齢をはじめとするさまざまな要因で、血管の壁が厚くなったり、柔軟性がなくなったりして老化します。

血管が老化すると、肌や髪の衰えはもちろん肩こりや腰痛、冷えなどの不調が現れ、さらには、動脈硬化とそれにともなう重大な病気を引き起こす可能性が考えられます。

動脈硬化が引き起こす恐ろしい病気

動脈硬化が進行することで大きな問題となるのは、心臓と脳です。

心臓の血管が狭くなることで血流が悪くなると「狭心症」や「心筋梗塞」を引き起こす可能性があります。心筋梗塞は、日本人の死亡原因の上位にも挙げられ、突然死を招くことも考えられる恐ろしい病気です。

また脳の血管が狭くなったり、血栓がつまったりすると「脳梗塞」を起こしたり、動脈が硬く脆くなって破れることで「脳出血」や「くも膜下出血」につながる可能性もあります。脳梗塞では、意識が低下したり体に麻痺が残るほか、寝たきり、最悪の場合は死に至ることもあります。

とくに注意したい!血管を老化させる「AGE」

血管の老化や動脈硬化の要因として、とくに注意したいのが老化物質の「AGE(エージーイー)」です。

AGEはAdvanced Glycation Endproducts(糖化最終生成物)のことで、“糖化”の過程の最終形とされています。もう少し詳しく見ていきましょう。

AGEを生み出す“糖化”とは

糖化とはタンパク質と糖が結びついて、タンパク質が変性することをいいます。この糖化により生まれる物質がAGEです。

たとえばホットケーキを作るときに、こんがりと“きつね色に焼ける”のも糖化の一つです。これは卵や牛乳(タンパク質)と、砂糖や小麦粉(糖)が加熱され結びつくことによって生じます。この糖化が、体内で起こるとどうなるでしょうか。

体内にあるタンパク質と、食事からとった余分な糖質が結びついて細胞を劣化させてしまうのです。これは、シミやくすみとなって肌にあらわれ、髪のツヤがなくなってしまうことにもつながります。

そして、この糖化が進むことで最終的に生まれる物質がAGEです。

AGEが引き起こす老化のメカニズム

AGEは、糖化によって体内でつくられるほか、食べものや飲みものから摂取することで私たちの体内に蓄積されます。糖化が進むことでタンパク質はもともとの機能を失い、周りの正常な細胞も攻撃して、さまざまな病気を引き起こすのです。

たとえば、血管の内皮細胞にAGEが結びつくと、血管の壁に炎症が起こりやすくなり、動脈硬化のリスクを高めます。

わたしたちの皮膚、血管、骨、筋肉など多くの細胞はタンパク質からできており、AGEの影響は血管に限られるものではありません。

AGEはさまざまな病気の原因に

たとえば、「発がん性物質」などと呼ばれる食品にはアクリルアミドという成分が含まれており、これは「超悪玉AGE」などとも呼ばれます。これらの摂取を続けたり、AGEが体内で生じたりすることで細胞障害を加速させ、がんを悪化させると言われています。

一方、目ではAGE化したタンパク質により水晶体が白く濁り「白内障」を引き起こすほか、骨ではコラーゲン繊維にAGEができることで骨の強度が低下して「骨粗しょう症」のリスクが高まります。

このほか、糖尿病や認知症、不妊症など、多くの病気にAGEが関係していることがわかっています。

AGEの蓄積レベルを調べるには?

では私たちの体の中には、どのくらいのAGEが溜まっているのでしょうか。

AGEの目安として、血液検査でわかるヘモグロビンA1cの数値が参考になります。これは、糖尿病の指標でもあり、赤血球の中にあるヘモグロビン(タンパク質)と糖が結びついている割合を表したものです。この数値が継続して高い場合にはAGEが多く溜まっていることが考えられます。

また、血液中のAGEは皮膚に光を当てて計測・分析することも可能です。一般的な健康診断では検査できませんが、「体内糖化度検査」「AGE糖化測定」「AGE検査」と呼ばれ、測定器の上に指先や腕を置くことでAGEの蓄積レベルを測ることができます。

AGEについて、より詳しく知りたい方は、「老けない人は何が違うのか」(著・山岸昌一/出版・合同フォレスト)「体は顔から朽ちていく」(著・KRD Nihombashi Medical Team/出版・ダイヤモンド社)などの書籍もおすすめです。

定期的に自分の体を見つめることが大切

体の老化を避けるため、AGEの含まれた食べものや飲みものを控えるほか、生活習慣を改善することはとても大切です。これらの習慣がAGEの蓄積を抑えられる一方で、加齢にともなって生じるAGEは誰しも避けることはできません。

血管の老化やAGEをはじめとした健康リスクを少しでも取り除くことができるよう、まずは自分自身の体を見つめるため、定期的に精密な検査を受けてみてはいかがでしょうか。

※KRD Nihombashiは健康保険の使用ができない、自由診療の健診施設です。 健診は、スタンダード、ライト、「歯・目・血」、プレミアム、レディースの各コースをご用意しており、 料金はスタンダードAコースで13万7500円、Bコースで12万1000円、プレミアムでは男性コース22万円、 女性コースは24万8000円となっています。各コースともに、70項目以上の検査項目を実施し、 受診者さまの健康管理をサポートいたします。料金の詳しくは以下をご確認ください。
・KRD Nihombashi 健診の料金 https://www.krd-nihombashi.com/service/price.php
・KRD Nihombashi Email:info@krd-nihombashi.com