運動不足だとわかっていても、何から始めればいいかわからない方は多いのではないでしょうか。忙しい毎日の中で運動を習慣化するのは簡単なことではありません。この記事では、運動不足のリスクとともに、ビジネスパーソンがライフスタイルに取り入れやすい運動を紹介します。運動不足が引き起こす病気の可能性について理解し、自身の健康に向き合いましょう。

運動不足になっていないか

運動不足の解消
(画像=polkadot/stock.adobe.com)

運動不足の現代人が増えている中、コロナ禍で外出自粛・在宅勤務を促される背景もあり運動不足の問題が深刻化しています。

筑波大学大学院と健康機器メーカーのタニタが、1日の平均歩数を調査したところ、以下のように厚生労働省が推奨する1日8,000歩を大幅に下回っていました。

調査時期 1日の平均歩数
コロナ禍前 1万1,500歩
テレワーク後 2,700歩

スポーツ庁も、テレワークの影響による血流悪化や血栓リスク上昇などの調査結果を踏まえ、コロナ禍の健康二次被害に注意を促しています。一方で、運動量の多い人はコロナ重症化リスクが低いというデータが医学誌に掲載・発表されました。約4万8,000人を対象とした大規模調査の結果、運動不足の患者は死亡リスクが2.46倍上昇していたのです。

まずは自身がどの程度の運動不足か、以下のリストでチェックしてみましょう。

□身体を動かすのがおっくうだ
□階段よりエレベーターやエスカレーターを使うことが多い
□座ってする仕事が多い
□お腹まわりの肉が気になる
□電車・バスで立つのがおっくうだ
□坂道や階段で息切れする
□長時間歩くと、腰や肘に痛みを感じる
□平日は帰宅が夜遅く、運動する時間がない
□休日はゴロゴロ寝て過ごすことが多い
□慢性的な疲れを感じる

チェック項目が多いほど運動不足になりやすいと考えられます。運動不足の自覚がある方や、すでに心身の不調を感じている方は、一度専門的な機関での健康診断を受けることも検討してみるとよいでしょう。

運動不足が引き起こす不調とは

運動不足が健康に悪いと知りながら、なかなか危機感をもてないのは、身体への悪影響について具体的にイメージできていないからかもしれません。運動不足は、前出のコロナ重症化の可能性を含め、さまざまな健康リスクをもたらします。運動不足が続くことで、どんな不調が起きるのか、一例を挙げて紹介します。

仕事のパフォーマンスが下がる

運動不足で体力や集中力が低下すると、仕事のパフォーマンスに影響が出るでしょう。その結果、昇進や昇給にも影響を与えかねません。また、運動不足によって質の良い睡眠がとれないと、仕事中も眠気に襲われやすくなり、日ごろはしない重大なミスにつながってしまう恐れもあります。

老化が進む

運動不足は、骨粗しょう症や認知障害など多くの加齢性の疾患・障害と、深い関連があることがわかっています。運動不足だと血のめぐりが悪くなったり、筋力が低下したりするため、栄養が体に行きわたらず老化を早める可能性があるでしょう。見た目にも実年齢より老けて見えることがあります。

生活習慣病リスク・死亡リスクが増す

運動不足になると、高血圧や糖尿病などの生活習慣病リスクが高まることも忘れてはいけません。生活習慣病で動脈硬化が進み血管が詰まりやすくなると、心筋梗塞や脳卒中など突然死のリスクも高まります。

うつ病などの精神疾患になる

運動は、心理的な緊張を緩和する効果や、睡眠障害を改善するのに効果的です。反対に、運動不足であると、それが原因で緊張状態が解消されなかったり、眠りが浅くなったりします。睡眠不足は、一般にうつ病などの精神疾患にかかるリスクを高めると言われます。

このように、運動は心の健康ともつながっているため、心理療法で取り入れられることもあります。

運動がもたらす健康の効果

ここまで紹介した通り、運動不足は心身に深刻な悪影響を及ぼすことがわかります。では、運動をしたり運動を習慣化するとどのような効果が得られるのでしょうか。

体力や筋力の維持・向上

運動を続けることで体力・筋力・持久力が維持され活力が高まり、仕事のパフォーマンスも上がるでしょう。また、運動で柔軟性が増すとケガをしにくくなる点もメリットです。

老化を防ぐ

速足のウォーキングやウェイトトレーニングをすると、骨が強くなり骨粗しょう症を予防できます。また運動は、認知症リスク低減につながる点もメリットです。運動で血のめぐりがよくなると若々しく見える効果もあります。

生活習慣病やがんの予防

食べた量に対して運動量が少なすぎると脂肪がたまり、高血圧や糖尿病といった生活習慣病リスクが上昇しますが、適度な運動を習慣化することで脂肪の蓄積を防ぎ、生活習慣病リスクを下げることが期待できるでしょう。運動は、一部のがんのリスクを低減させることもわかっています。

気分転換やストレス解消

運動をすると精神面でもいい影響が期待できるでしょう。運動によって、幸福感をもたらす脳内の化学物質エンドルフィンの濃度が上昇することがわかっています。運動は、気分転換やストレス解消に役立ち、うつ病のリスクを下げたり、やる気やモチベーションを上げたりする点も効果的です。

運動不足の解消ポイント

運動の継続は心身にいい影響を与え、コロナ重症化のリスクも低減してくれることが期待できます。ここからは、運動不足の解消に向けて押さえておきたいポイントと心構えを確認していきましょう。

無理な計画を立てない

運動不足解消を決意した途端に、「毎日1時間のランニング」など、無理な計画を立てて失敗する人がいます。学生時代とは違い、社会人になると運動の時間を確保するだけでも大変です。また最初からハードルを上げてしまうと長続きしません。「1日10分散歩する」「できるだけ階段を利用する」など、無理なく継続できる計画を立てましょう。

アプリを活用する

最近は、健康管理に役立つアプリもたくさん登場しています。体重や歩数をアプリで記録して見える化することで、モチベーションを維持しやすくなるでしょう。歩数に応じてポイントを受け取れるアプリや、友だちや・パートナーと一緒に取り組めるアプリもあるので、自分に合うアプリを探してみてください。

楽しみながら運動する

運動は、何より楽しく取り組めるよう工夫することが大切です。もともと運動が好きなら社会人サークルを探し、週末にサッカーやテニスを楽しむのもいいかもしれません。友だちやパートナーと一緒に運動を始めるのもおすすめです。また「音楽を聴きながら走る」「毎日違うコースで散歩する」など、運動が気分転換になるよう工夫してみましょう。

簡単にできる運動不足の解消法

健康のために運動が必要だとわかっていても、「何から始めればいいかわからない」「忙しい毎日の中で運動を習慣化するのが難しい」というビジネスパーソンも多いでしょう。本格的な運動を始めなくても、日常生活の中で意識して動くことが大切です。続いては、ライフスタイルに取り入れやすい運動不足の解消法を紹介します。

立って仕事をする

テレワークで座りっぱなしという人は、立って仕事をしてみましょう。1時間ごとに立ったり座ったりを切り替えるなどして、同じ姿勢を続けない工夫が大切です。最近では、昇降式のデスクも販売されているので、スペースがあれば導入を検討してみてください。

1つ手前の駅で降りて歩く

電車通勤をしている場合は、一つ手前の駅で降りて歩いてみてはいかがでしょうか。通勤という日常の行動とセットにすることで、無理なくウォーキングを継続できるでしょう。他にも、朝の散歩は気持ちがよく、脳の働きをよくしてくれるため、仕事のパフォーマンスが上がることも期待できます。

できるだけ階段を利用する

外出先でエレベーターやエスカレーターの利用を控えるだけでも、1日の運動量がかなり増えます。駅や会社、スーパーなどでは、できるだけ階段を利用しましょう。

ながら運動をする

「ながら運動」とは、普段の動作にちょっとした工夫を取り入れて運動することです。たとえば以下のような運動に挑戦してみましょう。

・歯磨きしながら交互に足を上げ下げする
・バランスボールに座って仕事をする
・洗い物をしながらつま先立ちでかかとを上げ下げするなど

多くの病気には運動不足が関連している

ちょっとした習慣が運動不足の解消につながるものの、それでも「時間がない」「面倒だ」と感じる方も多いかもしれません。ここからは、運動不足のリスクについて理解を深めましょう。運動不足は、喫煙・高血圧に次いで死亡リスクを上げる危険因子といわれています。運動不足と病気との関連を詳しく見ていきましょう。

運動不足と生活習慣病リスク

現代は食生活が豊かになったことから、過剰にエネルギーを摂取している人が多い傾向です。加えて運動不足によって消費するエネルギーが減少し、アンバランスな状態が続くと肥満になります。とくに内臓に脂肪がつく「内臓脂肪型肥満」は、脂質異常症・高血圧・糖尿病といった生活習慣病を合併しやすいことがわかっています。

運動不足と寝たきり・介護リスク

運動不足で肥満になると、足腰に負担がかかり「骨粗しょう症」「変形性膝関節症」などのリスクが高まります。運動器に障害が生じることで骨折・転倒リスクが高まり、寝たきりや介護が必要な状態になる可能性が上がる点も注意が必要です。要介護状態になると、日常生活のあらゆる場面で人の手を借りる必要がありQOL(生活の質)の低下を招きます。

運動不足と死亡リスク

生活習慣病になると、動脈硬化が進み、「心筋梗塞」「狭心症」などの心疾患、「脳梗塞」「脳出血」などの脳血管疾患のリスクが高まります。

厚生労働省の「人口動態統計月報年計(概数)2020年」によると2020年の死亡者数のうち、死因TOP5は、以下の通りです。

順位 死因 構成割合
1位 悪性新生物<腫瘍>(がん) 27.6%
2位 心疾患 15.0%
3位 老衰 9.6%
4位 脳血管疾患 7.5%
5位 肺炎 5.7%

運動不足は直接的な死因としてランクインしていませんが、運動不足から引き起こされる生活習慣病は、死亡リスクが非常に高いといえるでしょう。

未来の健康のため、運動不足を解消しよう

忙しいことを理由に運動不足が原因で健康を損なえば、プライベートや仕事でパフォーマンスを発揮できず、これでは本末転倒です。将来的にお金や時間があっても健康な身体がなければ、長く活躍することはもちろん、食事をはじめとした私生活も愉しめないでしょう。

特に在宅勤務などで身体を動かす習慣がないひとは、通勤がないからこそ時間や環境を有効活用し、日常に運動を取り入れ、習慣化していきましょう。

自覚症状がある人は早めの健康診断が大切

あわせて運動不足の自覚がある方や、すでに心身の不調を感じている方は、一度専門的な機関での健康診断を受けることを検討しましょう。

生活習慣病は自覚なく進行する病といわれ、気が付くと状態が悪化しているケースが多々あります。体質や食生活、運動習慣によって症状は異なるため、「若いから大丈夫だろう」と考えるのも危険です。ちょっとした不調に気を配り、検査を受けることが、病気の悪化を防ぐことにつながるでしょう。

また生活習慣病は発見が難しく、会社の健康診断だけでは予兆を発見できないことも少なくありません。不調が続く場合は精度の高い健康診断を受け、さまざまな角度から自分の身体と健康状態を調べることが大切です。

健康を意識して、次のアクションを!

さらに健康診断は、受診するだけでは意味がありません。診断結果を踏まえて、次の行動につなげていくことではじめて健康維持に役立ちます。

専門的な健康診断を実施する機関には、具体的な行動の提案を受けられることもあるでしょう。「どのように運動不足を解消すればいかわからない」「健康状態を正確に把握し、適切な指導を受けたい」という場合こそ、精度の高い健康診断がおすすめです。

健康診断などを通じて自分自身の健康に関心を持ち、運動不足を解消していきましょう。