最近では、タスク管理や名刺管理などの仕事効率化アプリが登場し、ビジネスでもスマートフォンを活用できるシーンが増えてきました。その一方で、画面を見ていて「目が痛い」「目が疲れる」と感じる方も多くなっているようです。この記事では目が痛くなる原因や、その場でできる対策などについてまとめてみました。さらに、目の痛みから考えられる病気のリスクをひも解き、目の健康を守る重要性について考えていきましょう。

スマートフォンが必要不可欠の時代

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(画像=fizkes/stock.adobe.com)

スマートフォンは現代人に欠かせないアイテムの1つといえるでしょう。内閣府の「消費動向調査(2021年3月)」によれば、2021年3月末時点のスマートフォン普及率は88.9%でした。2014年時点では55%前後だったことから、7年程度で急速に私たちの生活に浸透してきたことがわかります。

スマートフォン(以下、スマホ)の普及に伴い、心身の不調を訴える声も増加しているようです。首の骨がゆがむストレートネック、目の表面が乾くドライアイ、肩こりや腰痛など、スマホの使用によって引き起こされる不調を総称して「スマートフォン症候群」と呼びます。

また、スマホに限らず、パソコンやタブレットといった情報機器を長時間使うことで引き起こされる不調を「VDT(Visual Display Terminal)症候群」といいます。このケースでは、目の痛みや疲労感だけでなく、吐き気や頭痛、だるさなどの全身症状が出ることもあるようです。

さらに、目の痛みや疲れによって、日常生活にイライラ感や無力感、不安感などの精神症状が引き起こされることも少なくありません。

目のトラブルは、放置してしまうと、さまざまな不調が表れるほか、一度低下した視力は基本的に回復することがありません。代表的な目の病気である「緑内障」でも、欠けた視野が回復することはなく、気づいた時点から進行を遅らせる治療をすることになります。

「目が痛い」「目が乾く」「目がかすむ」など目に違和感がある方は、目を大切にしながらスマホと向き合うことが重要です。

眼精疲労のセルフチェック

目のトラブルとして代表的な「眼精疲労」は、デスクワークなどで目を酷使する人に多く見られる症状のことです。以下のチェックリストをもとに、眼精疲労の度合いをセルフチェックしてみましょう。

□目が痛い
□目がかすむ
□目がゴロゴロする
□目が赤くなる
□ものが見えにくい
□ものが二重に見える
□目が乾く
□涙がよく出る
□目の疲れを感じる
□まぶたがけいれんする
□まぶたが重い
□頭痛や肩こり、腰痛がある
□吐き気がする

これらに当てはまる数が多いほど、眼精疲労が深刻化していると考えられます。

なお、集中して作業した後などに、一時的に目が疲れるのは自然な反応です。一般的に「疲れ目」と呼ばれ、休息をとればすぐに改善することがほとんどです。

これに対し、「目の痛みや疲れが頻発する」「慢性化している」といった方は注意が必要です。吐き気や頭痛など全身症状が表れている場合も、眼精疲労が深刻化していると考えられます。

休息をとってもなかなか目の痛みや疲れが解消しないときは、専門的な検査を受けることを検討しましょう。

スマホで目が痛くなるのはなぜ?

そもそも、スマホをはじめとした電子機器を長時間使用することで、なぜ目が痛くなるのでしょうか?目の仕組みをもとに見ていきましょう。

ものが見える仕組み

目はカメラと構造が似ていて、色や形を光として受け取り「像」を結びます。まず、外からの光が角膜と水晶体を通って硝子体を通過し、網膜に焦点を結ぶ仕組みです。網膜に結ばれた像が、視神経を通じて信号として脳に伝達されることで、ものが見えるのです。

スマホで目が痛くなる理由

ものを見るときは、「毛様体筋(もうようたいきん)」が水晶体の厚みを変化させ、ピントを合わせます。毛様体筋は、遠くを見るときほど緊張がゆるみ、近くを見るときほど緊張します。

つまり、手元のスマホばかり見ていると、毛様体筋は常に緊張状態にあるのです。毛様体筋に負担がかかった結果、目の痛みとして症状が表れることがあります。痛み以外に「目がゴロゴロする」「目が重い」なども症状の一つです。

スマホで視力が悪化する理由

近くを見ているときは、毛様体筋が緊張し水晶体がふくらみます。近くばかり見ていると、毛様体筋の緊張が続き、水晶体がふくらんだ状態から元に戻らなくなるのです。これが近視の原因といわれています。

また「寝ころがってスマホを見る」「悪い姿勢でパソコン作業を続ける」「ななめからテレビを見る」など、正しくない姿勢で近くを見るほど毛様体筋が緊張し、近視が進みやすくなります。

こういったライフスタイルを続けていると、急激な視力低下が起こるリスクを高めてしまうでしょう。

スマホの影響で生じる可能性のある病気とは

では、目が痛くなるほど酷使することで、具体的にどのような症状が表れるのでしょうか?スマホの影響で生じる目のトラブルや病気を紹介します。

眼精疲労

眼精疲労は、目の使用において「目の能力」や「目の耐える力」を上回っている状態のことです。目を酷使し続けると、目の痛みや疲れ以外に、頭痛やイライラ感など全身に症状が広がります。

眼精疲労には、スマホを長時間使う以外にも、合わないメガネ・コンタクトの使用や基礎疾患など、さまざまな要因があります。

ドライアイ

ドライアイとは、涙が不足するなどで目の表面が乾いてしまう病気です。涙には、目を守るバリアの役割がありますが、ドライアイになると、目の表面の細胞が傷つきやすくなり、目に痛みが生じます。また、ものがかすんで見えたり、目が赤くなったりする症状が出る場合もあるでしょう。

ドライアイの要因は、スマホやパソコンの使用のほかに、コンタクトレンズの使用、エアコンの風などさまざまです。

緑内障

緑内障は、視野が欠けていく深刻な病気です。一度欠けた視野は、治療しても二度と戻ることはありません。また、私たちは両目でものを見ることから、視野が欠けても気づきにくく、知らぬ間に進行していることの多い病気でもあります。

近視になると、視神経が障害を受けやすくなることから、緑内障のリスクが高まります。スマホの見過ぎで近視が強い人は、定期的に緑内障の検査を受けたいところです。

スマホを使うときのポイント

このほかにも、スマホを長時間使用することでさまざまな目のトラブルが引き起こされる可能性があります。これらを防ぎ、視力を維持するために、どのようなポイントに気を付けてスマホを使えばいいのでしょうか。適切な使い方をチェックしてみましょう。

画面に顔を近づけすぎない

スマホ画面に顔を近づけすぎると、近視が悪化し、緑内障などの病気の発症リスクも高まります。

少なくとも画面から30~40センチメートル離れてスマホを操作しましょう。文字サイズを大きくして、離しても見えるよう工夫するのも方法の一つです。見えにくい場合、メガネやコンタクトの度が合っているかも確認してみてください。

定期的に遠くを見る

遠くを見ると、毛様体筋の緊張はゆるみます。そのため1時間ごとにアラームをかけるなどして、5~15分は遠くをながめるようにしましょう。まぶたを閉じてリラックスした姿勢をとることもおすすめです。

長時間同じ姿勢をしない

長時間同じ姿勢をしていると、身体に負担がかかり、頭痛や肩こり、腰痛が引き起こされます。座ったまま肩を回したり、机の下で脚を動かしたりするなど軽いストレッチを心がけましょう。

部屋と画面の明るさを調整する

暗い場所でスマホを使うと、目にかかる負担が大きくなります。スマホを使用するときは、部屋を適度に明るくしてください。まぶしすぎない・暗すぎないといったちょうどいい画面の明るさに調整することも大切です。

目が痛い場合の対処法

目が痛い場合の根本的な解決は、前述の通り目が疲れないスマホの使い方を徹底することが大切です。とはいえ、目の痛みを今すぐどうにかしたいという方も多いでしょう。目が痛くなってしまったときは、以下の対処法を試してみてください。

目のマッサージ

まぶたを閉じて、目の周りを指で押してみましょう。眉毛に沿ったくぼみや目頭、目尻の横、下まぶたなどにツボがあります。眼球を押さないように注意しつつ、目の周りの骨にギュッと圧をかけてみてください。

気持ちいいと感じる場所を押していると、目の緊張がほぐれ、痛みの改善が期待できるでしょう。

周辺のマッサージ

頭皮の緊張や首こり・肩こりが原因で目の痛みが表れることもあります。こめかみや頭皮、首筋、うなじ、肩などをマッサージしてみましょう。

眼球体操

目を閉じて、眼球をゆっくりと大きく回します。時計回り、反時計回りとそれぞれ2~3回ずつ回してください。続いて、十字をイメージしながら眼球を左右上下に動かします。他に、星型や8の字をイメージしながら眼球を動かす方法もあります。

温めたタオルをのせる

閉じたまぶたの上から、温めたタオルをのせるのも効果的です。水でぬらしたタオルを絞り、電子レンジでチンすれば、簡単にホットタオルを作れます(熱くなりすぎることがあるので注意してください)。

シャワーを浴びるとき、お湯の勢いを弱めて、ゆっくりまぶたに当てることも方法の一つです。

アイケア商品を使う

最近では、アイケア商品も多数販売されています。加圧と温熱で目元のこりをほぐしてくれるアイマッサージャーや、熱・蒸気・香りでリラックスさせてくれるアイマスクなどさまざまな商品があるので、自分に合うものを探してみるとよいでしょう。

視力の低下や、目の痛み・疲労感が続く場合には目の検査へ

スマホは私たちの生活に欠かせないアイテムの一つとなりました。目に悪影響だからといって、スマホのない生活を送ることは、現実的とはいえないでしょう。まずは、スマホがもたらす目のリスクについて十分理解したうえで、正しい知識をもってできるだけ目に負担をかけないことが大切です。

スマホを使う部屋の明るさや姿勢に気を配るとともに「使用中は小まめに休憩をとる」「遠くをながめる」「目を閉じる」など、目をリラックスさせましょう。

スマホは毎日使うからこそ、少しの工夫で目にかかる負担を大きく軽減できるはずです。ただし工夫しても改善しなかったり、以下のような症状が継続したりする人は、専門機関で検査を受けることも検討してみましょう。

・慢性的に目の痛みや疲れを感じる人
・頻繁に目が痛くなる人
・頭痛や腰痛など全身症状が気になる人

一般的な健康診断の視力検査だけでは、緑内障をはじめとした目の疾患に気づけないケースもあります。適切な検査を受けられる専門機関で複数の検査項目の結果を踏まえて総合的に判断することが重要です。

たとえば、目の検査では以下のような検査項目があるとより正確に目の状態を把握できます。

検査項目 内容
超広角眼底検査 超広角の眼底画像撮影で、通常の眼底検査より広範囲を確認できる
眼軸長測定 角膜から網膜までの「眼球」の長さを測ることで、近視の状態をより正確に診断できる
角膜形状解析検査 角膜を検査して見え方のゆがみを把握したり円錐角膜などの病気を発見したりできる
涙液検査 涙のたまり方や分泌量を検査して、専門的にドライアイを診断する

働き盛りの世代では、目の痛みが続いても「疲れ目だろう」「検査を受けるほどではない」と考える方も多いでしょう。毎日の仕事が忙しければ、そこにかかるお金や時間がもったいないと感じるのは珍しいことではありません。

しかし、目の痛みから引き起こされる病気のリスクを踏まえれば、目の違和感を検査することは、非常に重要であることがわかるでしょう。

低下した視力や欠けた視野は、自然に元に戻ることはありません。そのため、目の病気では、とくに早期発見・早期治療が大切だといわれています。

目の痛みから、イライラしたり、集中力が低下したりすれば仕事のパフォーマンスに影響が出ることは明らかです。最悪の場合、視力や視野に影響があれば日常生活に大変な不便が生じるでしょう。

プライベートはもちろん仕事を全力で取り組むには「健康」が基本です。目の症状に関わらず、小さな違和感や痛みなど初期段階の症状があるうちに、検査や治療をはじめることは、将来の健康はもちろん、安心感にもつながるはずです。

目の痛みが続く場合は放置せず精密な検査を受けられる専門機関での検査を検討してみましょう。