大きなムーブメントになりつつあるFIRE(Financial Independence, Retire Early)。
一方で完全なFIREの実現にはそれ相応の努力が求められることも事実だ。

今の生活を犠牲にしない範囲でFIREを達成したい。

そうしたサラリーマンの注目を集めているのが“サイドFIRE”という考え方だ。

毎月10万円から20万円程度の不労収入を得ながら、足りない分はほかの副業や自由度の高い労働で賄い、残りの時間は趣味や家族との時間に没頭する。そんな生活を見据えた資産形成戦略である。

では普通のサラリーマンにとって、サイドFIREを目指す上で実現可能な手法は何なのだろうか。

本記事では12月10日に書籍『月4万円とボーナスではじめる新しいFIRE入門 不動産投資による堅実なSide FIRE戦略』を上梓したサラリーマン投資家兼資産コンサルタントの岩脇勇人氏にインタビューを実施。書籍の内容をもとにサラリーマンが今、行動すべき投資戦略を聞いた。

月4万円とボーナスではじめる 新しいFIRE入門 不動産投資による堅実なSide FIRE戦略
月4万円とボーナスではじめる 新しいFIRE入門 不動産投資による堅実なSide FIRE戦略
本書は近年、注目が高まっているFIRE(経済的自立と早期退職)を日本で実現するために、株式投資よりも安定性が高く、着実に資産を積み上げることのできる不動産投資による資産運用のポイントを初心者の方に向けてやさしく解説した入門書です。いま現在、あなたの手元に多額の資金がなくても「金融機関による融資の力」「家賃を支払ってくれる入居者の力」の「2つの他人資本」を活用することで、再現性が高く、スピード感のある資産形成を実現することができます。
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目次

  1. FIREは「攻めの投資」だけにあらず
  2. FIRE達成の近道は「他力本願」投資
  3. 資産を守りながら増やす「コアサテライト戦略」とは
月4万円とボーナス半分の投資で叶える「サイドFIRE」術とは?

FIREは「攻めの投資」だけにあらず

―書籍の出版おめでとうございます。なぜ今、書籍を上梓しようと思われたのですか。

私はサラリーマン投資家であると同時に資産コンサルタントとして年400件ほど投資のご相談を承っております。「投資」と聞くと手元の資金を上手に運用し、明るい未来のために行動する前向きなイメージを持たれがちですが、実はそうではない方のほうが多いのです。

私がお話をお聞きした方の多くが様々な経済的不安を抱えており、その不安を解消するために「なにか行動しなければ」と危機感を持っていらっしゃいます。

そうしたニーズに対して、昨今話題になっておりますFIREという価値観がマッチしていると感じ、書籍の出版という形で皆様に貢献できればと考えました。

―例えば「老後の不安を解消する」といった課題に対してもFIREという考え方が有効だということですか。

そうですね。前述の通り日々、投資・資産形成のご相談を承っておりますと、将来的な経済的不安と不足を心配し、なにか対策を取らなければと危機感を持たれている方が本当に多いのです。

そういった方々に対しては、安定収益をもたらす手段のひとつとして、本書はお役に立てると自負しております。

―書籍の執筆に際し決めたコンセプトは何ですか。

コンセプトは「早期退職を前提としないこと」です。

「FIRE」は経済的自立と早期退職を意味しますが、世間ではどちらかというと「早期退職」というキーワードにフォーカスされ語られていると感じています。私は“早期退職ありき”ではなく、あくまで「経済的自立」がFIREという価値観の本質であり、早期退職はあくまでオプションの一つだと捉えているのです。

幸い、私は今の仕事を辞めてしまいたいとは思っておりませんし、仕事は社会貢献・自己実現の場として人生の中で重要な要素だと考えております。しかしながら、長い人生の中では仕事との距離感を見つめ直したり、あるいはコントロールの効かない外的要因で仕事を辞めざるを得なかったりする事態も可能性として否定できません。

その際、経済的な自立が達成されていなければ、望まぬ仕事を嫌々続けたり、あるいは家族や健康を犠牲にしてまで労働に従事しなければならなかったりするかもしれません。そうした不幸な状態に陥らないよう、何より経済的自立を目指すことが肝要だと考えています。

また、同じFIREというテーマの書籍においても、ほとんどが米国株を中心とした証券投資を前提にされていますが、本書のように不動産投資を前提に書かれたものはまだ少数です。

僭越ながら書籍のタイトルに「新しいFIRE入門」という言葉を入れさせていただきましたが、新たな視点としてきっと多くの方にお役に立てるのではと考えています。

FIRE達成の近道は「他力本願」投資

―本書ではそのための手段として不動産を核にした投資を提案しています。

その通りです。最も強調したいポイントといたしましては「他人のチカラ」を活用できるという点です。

不動産投資の最大の醍醐味は借入が活用できることです。これは証券投資にはなかなか無い不動産投資特有のメリットだと思います。金融機関の力を活用して投資物件を取得して、
借入は入居者という他人から入金される賃料で返済を進めるのです。

負債は次第に純資産へと変換されますので、他人資本を活用して自分自身の資産を積み上げることができます。証券投資を前提としたFIREにおいては「いかに月々の給与から投資にキャッシュを振り分けるか」が重視されます。

10万円の10%は1万円ですが、1,000万円の10%は100万円です。当然ですが、投資元本が大きく無ければ、いくら効率の良い投資を行ってもFIRE達成まで遠い道のりとなってしまいます。

したがって、証券投資においてはいかに早く資本を積み上げるかが要点となります。この点、不動産投資は金融機関の力を活用して一気に資本を拡大することができ、かつ給与やボーナスを活用しなくとも入居者という他人が資産を膨らませてくれる仕組みなのです。

この他力本願とも言うべきスキームにぜひ注目していただきたいと思います。

―なるほど。ちなみに岩脇さん自身が不動産投資の魅力に気付いた要因は何だったのでしょうか。

そうですね…。不動産投資よりもまず「お金」自体に関心を持ち始めたのは中学生のころからだったと思います。お小遣いをもらっては、マネー雑誌や経済誌を読み漁っていました。PRESIDENTやTHE21、今は休刊ですがビッグトゥモローなどを愛読していましたね。今思えばずいぶん変わった中学生だったと思います。

当然そういった雑誌には投資話はつきものですから、自然と「投資」というキーワードに興味を持つようになったのです。投資をしてみたいとの気持ちは膨らみ、高校1年生のころ、大手ファミレスでアルバイトを頑張り40万円の資金を作りました。そして高校2年生の春に証券口座を開設し、株の取引を始めました。それがわたしの投資デビュ―です。

なかなかこのご時世申し上げにくいのですが、実はインフルエンザが流行した年と重なり、某製薬会社の株で一儲けした経験があります。しかし間もなく某航空会社の経営破綻の煽りを受けて株式市場からは強制退場を余儀なくされました。

高校生のわたしにとっては高い授業料でしたが、株式投資での痛い経験をバネにして、大学受験そっちのけで様々な投資に関する書籍を読み漁りました。そうした過程があったからこそ、大学に入学して間もなくの頃には、不動産投資の魅力に気づく事ができたように思います。

不動産投資と一言で言っても非常に幅が広いですが、わたくしは自分事として捉えたときに、チャレンジしやすい敷居の低さや、安定した賃貸需要に裏付けられた堅実性といった観点で、東京23区内の中古のワンルームマンションが私にとって最適解なのではないかと悟ったのです。

資産を守りながら増やす「コアサテライト戦略」とは

―学生時代から様々な投資に関心を持っていたのですね。本書の中で触れられているサイドFIREのための「コアサテライト戦略」についてお聞かせください。

コアサテライト戦略とは、簡単に言えば資産を守りながら増やす戦略です。コアとは時代や景気に左右されにくい安全資産を指し、サテライトは積極的にリスクをとり、高いリターンを狙った投資を指します。

投資は長期戦です。攻めてばかりいては不測の事態に足を掬われかねません。早く資産を増やしたい、もっと増やしたいと前のめりになる気持ちは良く分かりますが、私は「急がば回れ」だと思うのです。

資産全体の大半を安全資産であるコアで占めることによって、地に足のついた堅実な運用が実現できます。特にFIREは資産から得られる収益を生活費に充てることが前提となりますから、その収入には「安定性」が何より求められるはずです。

投資にリスクは付き物ではありますが、リスクの取り過ぎはFIREという価値観には沿わないのではと個人的には思うところです。なにか投資を始めれば、他にどんな投資があるのだろうと目移りすることもあるかもしれませんし、分散投資という考え方も重要になります。しかしながら、足元を固めるコア部分を厚く保つことは忘れてはいけません。

コアサテライト戦略はこうした考え方をもとにしています。

―安定資産を軸に、リスクとリターンのバランスが取れた投資がサイドFIREへの近道であると。

そうですね、ただあくまで「投資」なので、誰にでも当てはまる最適な投資商品というものは存在しないと考えています。それは投資に求めるゴールやリスクに対する許容度に加えて、投資家の性格もそれぞれ異なりますから、必然的に人によって適切な投資商品は異なることになります。

私自身、高校2年生のころに始めた株式投資を皮切りに、投資信託や為替、プラチナ、原油など様々な投資に手を出しては痛い目を見てきました。

だからこそ、何となく「FIREができればいいな」といったぼんやりとした考え方ではなく、「いつまでに、どれくらいの資産を築きたいか」といった目標を立て、戦略をもって取り組むことが大切です。

岩脇 勇人氏
(株)日本財託資産コンサルティング部マネージャー
岩脇 勇人氏
高校生で株式投資を始めて以降、iDeCo、積み立てNISA、生命保険、金、ビットコイン、原油など、時に痛い目を見ながらも多種多様な投資を経験。現在は4戸を所有する都心の不動産を軸とした資産形成を実践。48歳での経済的自立を目指して着々と投資を継続中。
顧客には、弁護士・会計士、上場企業役員から入社1年目の社会人まで幅広く資産コンサルティングを行い、早期の経済的自由の実現に向けてサポートを行う。
保有資格:
CPM(米国公認不動産経営管理士)、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(AFP認定者)
書籍:
『月4万円とボーナスではじめる 新しいFIRE入門 不動産投資による堅実なSide FIRE戦略』(秀和システム)