コロナ禍により将来の見通しが不透明な今、マネー系雑誌などで頻繁に取り上げられる投資特集。そのなかでも「投資の王道」として度々登場するのが不動産投資だ。とはいえ、不動産の種類は様々。さらに他の投資と比べ単価が高く、普通のサラリーマンにはハードルが高いと思われがちだ。しかし一方で、不動産投資でサラリーマンから10年ほどで富裕層の仲間入りを果たした人も数多く存在する。本記事では、12年で年1,600万円の家賃収入を得る現役銀行員の内田裕樹氏(55)にインタビューを実施。その不動産投資戦略を聞いた。

目次

  1. 20年間の貯金をはたいてでも買った「都心中古ワンルーム」
  2. 許容リスクは借入比率50%台以下
  3. 不動産投資の醍醐味は買い増しにあり
  4. 自己資金が少ない場合は時間を味方につける
  5. 成功への近道は「コピー」すること
  6. サラリーマンにおすすめの物件、手を出さない方が良い物件

20年間の貯金をはたいてでも買った「都心中古ワンルーム」

―内田さんは12年で家賃収入年1,600万円を得ているとのことですが、どのような種類の不動産をお持ちなのでしょうか。

不動産は都内にワンルームマンションが11戸と、アパートが1棟、二世帯住宅を1階と2階とで別々の世帯に貸している戸建てが1軒、いわゆる普通の戸建てが1軒です。

これらの不動産からの家賃収入の合計が年間で1,600万円、総資産は購入額ベースで1億8,000万円ほどでしょうか。借入金が事実上ないので純資産額としても同程度です。

以前は加えてもう1棟、郊外にアパートを持っていましたが、売却してしまいました。

―普通のサラリーマンとは思えない資産ですね。これほどまでにどうやって資産を拡大していったのでしょうか。

私が不動産投資を開始したのが2009年なのですが、それから半年までの間に都心の中古ワンルームマンションを5戸購入しました。

いずれも1,000万円~1,500万円程度の価格帯で、うち3戸は現金で購入、2戸は現金2割ローン8割で買いましたね。

許容リスクは借入比率50%台以下

―それは思い切りましたね。

そうですね。元となったお金は自宅購入用に約20年間、コツコツと貯めてきたものに加え、余分なお金(財形貯蓄や有価証券等)はほぼ全て不動産に変えた形です。

もっとローンを組んで物件を増やすこともできましたが、過度なリスクは取りたくなかったので、基本的に借入比率は50%台以下に収まるようにしていました。

また、不動産投資では物件が増えるほど繰上返済できる金額が増加するので純資産拡大の加速度が雪だるま式に増しますし、リスクも分散されます。それも思い切った要因ですね。

―安定的に不動産投資を行う上で借入比率50%台以下が一つの目安でしょうか。

もちろん、どこまでリスクを許容できるかは人それぞれですので一概には言えませんが、私の場合は収入を勘案し、自分自身でシミュレーションしたところ、50%という数字ならば大丈夫だろうと考えました。

例えばフルローンでも1戸か2戸でしたら何かあっても自分の給与から返済できますが、それ以上になると何かアクシデントが発生した場合に対応できない可能性があります。つまりそれは破綻を意味します。
戸数を10戸まで増やしても借入比率(厳密には返済比率ですが、ここでは簡便的に借入比率)が50%程度でしたら、たとえ半分が空室になっても家賃収入だけで返済は可能です。
借入比率は低ければ低いほど安全性は高くなりますが、逆に効率性は悪化するので、その人にあった比率を考えることが大切だと思います。

不動産投資の醍醐味は買い増しにあり

―なるほど。そこから毎年買い増ししています。

それは私のなかで「浪費した時間」を少しでも取り戻したいという思いと、買い増しすればするほど加速度的に資産が積みあがる不動産投資の醍醐味を生かすためです。

私自身、実は不動産投資に目を付けてから実際に始めるまで約5年間も悩み続けていたんです。

というのも、最初に話を聞きに行った新築のワンルームマンションを扱う不動産会社の営業マンに説明が不十分なまま物件を買わされそうになりまして…。不動産会社への不信感が強まってしまいました。

ただ、不動産投資自体が悪いとは思わなかったので、それ以降も書籍などで勉強しながら自分なりに「こうじゃないかな」という仮説は立てていました。

そんななかで偶然、日本財託という不動産会社の社長が書いた書籍を手に取り「これだ」とピンときたのです。

早速、日本財託のセミナーに参加したのですが、そこで私より5年早く不動産投資を始めていた先輩オーナーさんのお話を聞いて「もっと早く始めておけば…」と後悔しました。

日本財託の営業マンはメリット・デメリットを包み隠さず答えてくれる方で信頼できそうだと感じたこともあり、5年間のタイムロスを挽回すべく買い増しを続けてきました。

また、当然ですが物件の数が増えれば増えるほど、入居者からの家賃収入は増えていきますよね。それをローン返済に充てることでどんどん自分の資産が拡大していきます。1戸目よりも2戸目、2戸目よりも3戸目のほうが、ローン返済のスピードは格段に速くなるのです。

加えて、自分の収入から余ったお金をただ貯金するのではなく、ローンの返済に充てることで繰り上げ返済を進めていきました。

だからこそ、私自身「ここまでなら許容できる」という借り入れ比率の範囲内で買い増しをしていくという戦略をとったのです。

―確かにその通りです。しかし、自己資金を入れて不動産を買いながら繰り上げ返済もして…というのはなかなかストイックですね。

私の場合、家は社宅で賃料が安く、また車も買っていなかったのでその分のお金に余裕があった部分はあります。私の場合は月約10万円と、ボーナスから数十万円くらいを不動産に入れていました。

不動産投資を始めると分かるのですが、繰り上げ返済をするたびに借入残高と借入比率が低下して次の物件を購入できる時期が格段に早まります。

株式などとは違い、自分が頑張った分だけリターンを得られるというのは嬉しく、モチベーションを維持できましたね。

自己資金が少ない場合は時間を味方につける

―それほど自己資金を入れられない方はどうすればよいでしょうか。

その場合はやはり時間をかけることをおすすめします。

例えば、価格が1,300万円、手取り利回り4.8%の都心中古ワンルームマンションを頭金200万円で購入し、家賃収入と月2万円の自己資金をローン返済に充てた場合を想定してみましょう。

単純計算すると25年後には所有戸数は7戸、投入資金2,000万円に対し、純資産額は約7,380万円になります。

もちろん物件の修繕費用や税金などはかかってきますが、この間の運用利回りは単利換算で10%以上、25年で資産が約3.7倍にまで膨れ上がります。当初の自己資金投入額が少ない分だけ私のケースよりも時間はかかりますが、それでも時間をかけることでこれだけの資産拡大が見込めるのです。

私自身、最初に計算したときは信じられませんでしたが、何度計算しても合っています。

これは「複利効果」によるものです。例えば、私が子供のころ郵便局の定額貯金は10年預けると2倍になっていました。当時の金利は約8%です。この8%を半年複利で10年運用した場合、貯金額は2倍、つまり単利計算に置き換えると年率10%になるんです。

金利が8%でも、複利だと10%になる。これが複利効果ですね。

不動産投資では銀行からの借り入れと自己資金からの繰上返済とを組み合わせて家賃収入の利回りを疑似的に複利にすることができます。

ですので自己資金を入れればそれだけ早く資産が拡大します。ただ、投資は競争ではないので、その人その人にあったやり方で進めるべきです。

取ってもいいリスクと取ってはいけないリスクを見極め、その範囲内で無理のない目標を立てて、それを実現することができれば、一番素晴らしいことだと思います。

成功への近道は「コピー」すること

―自分に合った不動産投資のやり方はどのように探ればよいでしょうか。

自分の目指す投資方針と資産背景が似ている「投資の先輩」を探して、その手法をまねることです。

今は書籍やネット上に「こうすればうまくいく」といった情報があふれかえっていますが、筆者によって投資方針や資産背景は異なります。

それを理解した上で自分に当てはめても無理はないか、慎重に情報を取捨選択しないと大きなミスにつながりかねません。

私の場合は投資への考え方がマッチした投資セミナーに参加し、そこで同じサラリーマンとして不動産投資を行っている先輩オーナーに巡り合うことができたのです。

そこからは先輩オーナーに何度も質問し、自分でも先輩オーナーのように不動産を増やしていくことが可能かどうか、腑に落ちるまで検討を重ねました。当時、しつこく付きまとう私に嫌な顔をせず気さくにお話しくださった先輩オーナーには感謝に堪えません。

自分でもできる、と判断した後は先輩オーナーの手法を忠実にコピーさせていただきました。これが私自身の不動産投資へのバックボーン形成の血肉になったように思います。

サラリーマンにおすすめの物件、手を出さない方が良い物件

―今、都心の不動産価格が高いと感じて購入に躊躇する方も多いです。

確かに、今の都心部は不動産価格が高騰し、利回りが下がっています。しかし一方で、金融機関からの借入金利もこれ以上ないほど下がっています。

私が不動産投資を始めた2009年は今よりも金利が高く、借りにくい状況でした。ただ、今はそのハードルがかなり下がっています。

ですのでトータルで見ると時期が悪いということはないと思いますね。
実際、先月に私の子供が不動産投資デビューしましたから(笑)

―なるほど。ちなみに、一棟アパートや二世帯住宅の賃貸経営はいかがでしょうか。

正直に言うと、お勧めするつもりは全くないですね(笑)。

例えば一棟アパートは2013年に購入しましたが、今までに夜逃げやゴミ屋敷化、家賃滞納者の居座り、さらには孤独死発見などいろいろなトラブルがありました。そのたびに相当の手間と時間とお金がかかりましたね。

また一棟物件の場合、部屋の一つでトラブルがあると、最悪の場合他の部屋の入居者も出て行ってしまい、区分所有と比べ損失が大きくなりがちです。

こうしたリスクと手間を考えると、本業で忙しいサラリーマンは手を出すべきではないなと感じます。

他方で都心の中古ワンルームマンションであれば、誰がやっても安定的な収益が得られる可能性がかなり高く、さらに進んで経済的自由を手に入れることも十分できます。

ですので私たち普通のサラリーマンがあえて余計なリスクを取りに行くやり方は絶対に勧められないです。

―詳しいお話、ありがとうございました。

内田 裕樹
内田 裕樹
広島県出身。55歳、中堅の銀行勤務。
大学卒業後、大手証券会社に就職するもバブル崩壊の影響で倒産。

その後、中堅の銀行に勤務。 42歳のときに不動産投資をはじめて半年間で5戸までマンションを増やす。
その後、マンションを買い進めて今では10戸のマンションを保有し、アパート経営にも着手。 2年前に『不動産投資で上がり(ゲームでいう上がり)の状態』に到達する。