2020年からのサラリーマン増税。年収が850万円を超えるサラリーマンは、税金の負担が重くなっている可能性がある。増税によって、家計や貯蓄に影響が及ぶことも少なくない。

この記事では、サラリーマン増税の仕組みやモデルケース、対策方法をわかりやすく紹介していく。

目次

  1. 日本全体の年収分布は?あなたは人口の何%に属している?
  2. 所得税の計算方法を簡単におさらいしよう
  3. 年収850万円を超えると給与所得控除に上限あり!
    1. サラリーマン増税の仕組みとは?
    2. 増税になるモデルケース
  4. サラリーマン増税の対策方法とは?適用可能な控除5つ
    1. 1.医療費控除
    2. 2.生命保険控除
    3. 3.扶養控除
    4. 4.ふるさと納税
    5. 5.住宅ローン控除
  5. ポイントを押さえて賢く節税を!

日本全体の年収分布は?あなたは人口の何%に属している?

サラリーマン増税,対策方法
(画像=poko42/stock.adobe.com)

今回、増税の可能性があるのは年収850万円を超える給与所得者だ。では、年収850万円を超える人は、人口のどのくらいを占めるのだろうか。

国税局の「民間給与実態統計調査(2019年)」によると、日本全体の年収分布は次の通りだ。

 年収  割合
 年収100万円以下  8.7%
 100万円超200万円以下  14.2%
 200万円超300万円以下  14.9%
 300万円超400万円以下  17.0%
 400万円超500万円以下  14.6%
 500万円超600万円以下  10.1%
 600万円超700万円以下  6.5%
 700万円超800万円以下  4.4%
 800万円超900万円以下  2.9%
 900万円超1,000万円以下  1.9%
 1,000万円超1,500万円以下  3.5%
 1,500万円超2,000万円以下  0.8%
 2,000万円超2,500万円以下  0.2%
 2,500万円超  0.3%

年収800万円超となると、人口の約10%、10人に1人ということになる。

所得税の計算方法を簡単におさらいしよう

増税の仕組みを解説する前に、簡単に所得税の仕組みをおさらいしておこう。

サラリーマンの場合、まず給与収入から「給与所得控除」を差し引いた「給与所得」を計算する。給与所得をその他の所得と合算し、「総所得」を出した上で、「所得控除」を差し引いて「課税所得」を求める。

そして、「課税所得」に一定の「所得税率」をかけて所得税を計算する。なお、2037年まではこれに加えて復興特別所得税が徴収される。

ポイントは、給与収入に丸ごと所得税率をかけるのではなく、「給与所得控除」やその他の「所得控除」を差し引いた上で所得税率をかけているという点だ。

つまり、「給与所得控除」やその他の「所得控除」が大きければ、それだけ所得税が少なくて済むということを押さえておこう。

年収850万円を超えると給与所得控除に上限あり!

2018年度税制改正によって、年収850万円を超える人は税金の負担が重くなる可能性がある。その理由は、「給与所得控除」が改正されたからだ。

どのように変わってきているのか、増税の仕組みやモデルケースについて詳しくみていこう。

サラリーマン増税の仕組みとは?

「給与所得控除」は、年収に一定割合をかけ、控除額を足して計算する。つまり、年収が増えるにつれ、「給与所得控除」も増えていく。

しかし、一定の年収を超えると「給与所得控除」の上限が適用され、年収が上がっても「給与所得控除」は増えなくなる。「給与所得控除」の上限が適用される年収が、以前は1,000万円だったところ、2020年から850万円に引き下げられたのだ。

その上、「給与所得控除」の上限金額そのものも220万円から195万円に減額されている。このことから、年収850万円を超える人は税金の負担が重くなる可能性が高い。

「給与所得控除」の上限適用の引き下げと、金額そのものの引き下げ。これは高年収サラリーマンを対象にした増税だ。そのため、「サラリーマン増税」と呼ばれているのだ。

増税になるモデルケース

では、具体的な数字をもとに増税のモデルケースをみてみよう。

・年収900万円のサラリーマン
・給与以外の所得はないものとする
・社会保険料は年間120万円と仮定
・社会保険料控除、基礎控除以外の所得控除はないものとする
・復興特別所得税は加味しない

<増税前>
給与所得控除:年収900万円×10%+120万円=210万円
給与所得(総所得):年収900万円-給与所得控除210万円=690万円
所得控除:社会保険料控除120万円+基礎控除38万円=158万円
課税所得:総所得690万円-所得控除158万円=532万円
所得税:課税所得532万円×所得税率20%-控除42万7,500円=63万6,500円

<増税後>
給与所得控除:上限195万円
給与所得(総所得):年収900万円-給与所得控除195万円=705万円
所得控除:社会保険料控除120万円+基礎控除48万円=168万円
課税所得:総所得705万円-所得控除168万円=537万円
所得税:課税所得537万円×所得税率20%-控除42万7,500円=64万6,500円

年収900万円の場合、約1万円所得税が増えることがわかる。なお年収が上がれば、さらに増税の影響は大きくなる。

サラリーマン増税の対策方法とは?適用可能な控除5つ

所得税の計算上、「給与所得控除」やその他の「所得控除」が大きければ、それだけ所得税は少なくて済む。つまり「給与所得控除」が上がったとしても、その他の「所得控除」を増やせれば、所得税の負担を軽減できる。

では、サラリーマンが適用できる代表的な所得控除を紹介していこう。

1.医療費控除

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合、10万円を超えた金額を所得控除として差し引ける制度だ。家族全員の医療費を含めることができ、通院のための公共交通機関の交通費なども対象となる。

一方で、予防や美容目的の医療費は医療費控除に含めることはできない。対象になるかどうかは国税庁のホームページをチェックして判断するか、不安な場合は税務署に問い合わせると安心だ。

2.生命保険控除

生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合、生命保険料控除を適用できる。生命保険料控除で差し引ける金額は、支払った保険料の全額ではなく、一定の計算のもと算出した金額だ。節税という観点から、加入している保険を今一度見直してみるのもいいだろう。

3.扶養控除

扶養親族がいる場合、人数に応じて扶養控除を適用できる。扶養控除の金額は扶養親族の年齢や同居の有無によって違ってくる。扶養控除に見落としがないか確認しておきたい。

4.ふるさと納税

ふるさと納税では、自分が選んだ自治体に寄付することで、自己負担金2,000円を除いた全額が所得税と住民税から控除される。税金が寄付に形を変えるため、厳密には節税になるわけではないが、寄付に対して返戻金を受け取れることから、お得な制度といえるだろう。

全額控除される寄付金額には上限があり、年収が高いほど上限も上がる仕組みになっている。高年収サラリーマンは、積極的にふるさと納税の活用を検討したい。

5.住宅ローン控除

マイホームを購入する際に、一定の要件を満たす住宅ローンを組むと、「住宅ローン控除」が受けられる。住宅ローン控除とは、住宅ローン残高の1%(上限あり)を10年間に渡って税金から控除できる制度だ(特別特定取得の場合は13年間)。

住宅ローン控除は厳密には「所得控除」ではなく「税額控除」に該当する。所得税から直接差し引けることから、節税効果が大きい制度だ。

ポイントを押さえて賢く節税を!

年収が上がるほど税金も高くなることから、家計や貯蓄に関して不安を抱く人も多いだろう。しかし、国の制度を改めて見ると、節税方法は意外とたくさんある。「増税」のニュースを見ると気分が沈むかもしれないが、「節税」に取り組むチャンスととらえ、前向きに節税方法を検討したい。