「所有から利用へ」という言葉がある。カーシェアやレンタカーが普及する中、自動車を所有せずに利用する人が今後増えていく、という潮流を示す言葉だ。ではこの潮流は、車の所有コストがさほど家計の圧迫につながらない高所得者にもあてはまるのだろうか。

目次

  1. 「所有から利用へ」の潮流について考える
  2. 「車がいる派」と「車はいらない派」の代表的な声
    1. 「車がいる派」の声1:第二の居場所だから
    2. 「車がいる派」の声2:高級車でセルフブランディング
    3. 「車はいらない派」の声1:合理的に考えればカーシェアで十分
    4. 「車はいらない派」の声2:余計なものは持たない
  3. いずれは「車を所有している人=高所得者」のイメージが強くなる!?

「所有から利用へ」の潮流について考える

車の所有コスト
(画像=PIXTA)

自動車を所有するとさまざまなコストがかかる。自動車の購入費用はもちろんだが、自動車税や重量税、自賠責保険や任意保険の保険料、車検費用、タイヤなどの消耗品の購入費用、さらには駐車場代が必要になる場合もある。

こうしたコストがかかるとしても、いつでも車で好きなときに好きな場所へ移動できる点は、確かに魅力的だ。しかし、もし自動車を所有しなくても、こうしたことが容易になればどうだろう。自動車を所有する人が減っていくのではないだろうか。

従来であれば、自動車を保有しなければ、好きなときに好きな場所へ移動できる自由は手に入らなかった。しかし、最近ではカーシェアやレンタカーが普及し、自宅の近くでこうした車両を気軽に利用できる人も増えてきた。

こうした中で「所有から利用へ」という潮流が生まれつつあるわけだ。所得がまだ決して多くない若い世代にとっては、使うときだけコストを支払うシステムは、懐にも非常にやさしい。

「車がいる派」と「車はいらない派」の代表的な声

では一方で、高所得者の場合はどうだろうか。高所得者の場合、自動車の所有コストはあまり家計を圧迫しないため、「所有から利用へ」という潮流は当てはまらないのだろうか。

実際のところは、高所得者でも人によってまちまちのようだ。高所得者の「車がいる派」と「車はいらない派」の代表的な声を整理してみよう。

「車がいる派」の声1:第二の居場所だから

自動車はしばしば「乗り物」としてではなく「空間」としても捉えられ、自宅を「第一の居場所」とするなら、車は「第二の居場所」と表現されることがある。

移動に便利なのはもちろんだが、この「第二の居場所」が欲しいがために自動車を保有している人もいる。第二の居場所を自分流にカスタマイズするためには、カーシェアやレンタカーではなく、自ら自動車を保有する必要がある。

「車がいる派」の声2:高級車でセルフブランディング

「高級車」の所有にこだわる高所得者も多い。高級車に乗ることは「セルフブランディング」につながる。高級腕時計と似た役割だ。

自分というブランドが高まれば、ビジネスの場において有利に働きやすい場合もある。「この人はお金を儲ける実力がある人だ」などと思ってもらいやすくなるからだ。

「車はいらない派」の声1:合理的に考えればカーシェアで十分

合理的な考え方ができる人は、高収入に結びつきやすい。勉強も仕事も筋道を立ててしっかり取り組むことで、良い大学に進学できたり、職場で出世できたりするからだ。

このように高所得者となった人が、自動車の「所有コスト」と「利用コスト」を天秤にかけ、コストが安いカーシェアやレンタカーを選ぶというのは、容易に想像がつく。その方が金銭的に理にかなった選択であると言えるからだ。

「車はいらない派」の声2:余計なものは持たない

ニュースサイト「マイナビニュース」が会員向けに行ったアンケート調査では、年収1,000万円を超える高所得者には「ミニマリスト」が多いという結果が出ている。

ミニマリストは「必要最低限のもので十分」「必要なものを極めて、高品質な生活をしたい」といった考えを持つ。こうした考えを持ち、自動車を所有しなくても移動に不自由を感じないのであれば、カーシェアやレンタカーを選択するのは自然なことだ。

いずれは「車を所有している人=高所得者」のイメージが強くなる!?

「車がいる派」と「車はいらない派」がそれぞれに自分なりの主張を持っていることを考えると、「所有から利用へ」という潮流が社会全体で進んだとしても、車の維持コストが相対的にあまり重荷にならない高所得者の場合、「所有」を選ぶ人はあまり減らないのではないだろうか。

であれば、今現在は車を所有しているからといって特にそのことが「高所得者」のイメージにすぐには結びつかないが(高級車に乗っているケースは別だが)、いずれは「車を所有している人=高所得者」というイメージが強くなっていくかもしれない。

ただし、こうしたことは地方都市や過疎化が進む地域などでは当面はあてはまらないだろうということも、最後に触れておく。

カーシェアやレンタカーのビジネスは、利用者がそのエリアで多く見込めないと成り立ちにくい。そのため、人口密度が低い地方都市や過疎化が進む地域では採算がとれにくく、カーシェアやレンタカーのサービスを展開する事業者がそもそも出てこないことが予想されるからだ。

将来的に「車を所有している人=高所得者」というイメージが今より強くなるとしても、それは都心部においてのみの話となっていきそうだ。