投資信託協会の発表によると、2021年3月末時点の投資信託(公募投信)の総数は5,890本だという。これだけ多いと、「投資信託を購入したいけど、何を購入すれば良いかわからない…」となってしまう人も多いのではないだろうか。

目次

  1. 投資信託の種類
    1. インデックスファンド(パッシブファンド)
    2. アクティブファンド
  2. 投資信託の利益には何がある?
    1. キャピタルゲイン
    2. インカムゲイン
  3. 投資信託の人気ランキング
  4. 投資信託の選び方のポイント
    1. まずは運用目的を明確にする(いきなり商品を選ばない)
    2. 投資信託にかかるコストを理解する
    3. 「コストが高い」が悪ではないが、高い理由を確認する
    4. なるべく長い運用期間を確認する(似ている投資信託と比較する)
    5. 「基準価額が高いから割高」ではない
    6. 売買手数料が安いチャネルで購入する(購入窓口を先に決めない)
    7. 「分配金が多い」から良いとは限らない
    8. 純資産残高を確認する
    9. 残りの運用期間を確認する
    10. 運用者(ファンドマネージャー)を確認する
    11. シンプルな投資信託を自分で組み合わせる
  5. 投資信託は多くのメリットを持つ金融商品

投資信託の種類

投資信託の選び方
(画像=PIXTA)

「投資信託(ファンド)」とは、「投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家(ファンドマネージャー)が投資家に代わって、株式や債券などで運用してくれる金融商品」だ。その運用成果が投資額に応じて分配される。

投資信託には大きく分けて、以下の2種類がある。

インデックスファンド(パッシブファンド)

パッシブファンドとも呼ばれる。インデックスとは指標、ファンドとは投資信託のことで、株価指数などの指標に連動した運用を目指す。

インデックスと100%同じ動きをするわけではないが、ほぼ同じ動きをするため、実質的にインデックスに投資をすることと同じ効果を得ることができる。例えば、日経平均株価のインデックスファンドであれば、日経平均株価の日々の騰落に連動するように運用される。

アクティブファンド

運用者(運用会社やファンドマネージャーなど)が独自の投資判断に基づいて、ベンチマーク(運用パフォーマンスを評価するための指標)以上の収益を目指す。

独自の投資判断を下すことから人件費などの費用がかかるため、インデックスと連動する運用をすれば良いインデックスファンドに比べて、コストが高くなるケースが多い。

投資信託の利益には何がある?

投資信託の利益には、原則として「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2種類がある。なお、この2つの言葉は、投資信託以外の資産運用でも使われる。

キャピタルゲイン

資産を売買することで得る利益だ。投資信託の場合は、購入時の価格(基準価額)よりも高い基準価額で売却できた場合、キャピタルゲインが発生する。株式や不動産でも基本的な考え方は同様だ。

インカムゲイン

資産を保有している間に得られる利益だ。預貯金の場合は利息、株式の場合は配当金、不動産の場合は賃料、投資信託の場合は分配金がインカムゲインに相当する。投資信託の分配金には、課税扱いになる「普通分配金」と、非課税扱いになる「特別分配金(元本払戻金)」の2種類がある。

投資家が分配金を受け取る際、分配落ち後の基準価額が投資家の投資元本と同額または上回っている場合には、分配金の全額が「普通分配金」となる。一方、分配落ち後の基準価額が投資家の投資元本を下回っている場合には、その下回る部分が「特別分配金」となり、分配金総額から特別分配金を引いた額が普通分配金となる。

普通分配金は利益の配分なので課税扱い、特別分配金は投資元本を払い戻しているに過ぎないので非課税扱いとなる。

投資信託の人気ランキング

今人気の投資信託には、どのようなものがあるのだろうか。実際の金融機関の人気ランキングを確認してみよう。対面中心の金融機関とネット中心の金融機関では、顧客層が違うことが多いため、両方を確認してみる。

対面中心の金融機関(証券会社A社)の4月(2021年4月1日〜2021年4月26日)の買付ランキングは以下のとおりだ。

対面中心の金融機関(証券会社A社)の人気ランキング

 1位  野村インデックスファンド・日経225
 2位  フィデリティ・世界割安成長株投信 Bコース(為替ヘッジなし)
 3位  アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型
 4位  デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド
 5位  eMAXIS日経225インデックス

続いて、ネット中心の金融機関(大手ネット証券B社)4月(2021年4月1日〜2021年4月30日)の買付ランキングは以下のとおりだ。

ネット中心の金融機関(証券会社B社)の人気ランキング

 1位  SBI-SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド
 2位  三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
 3位  SBI-SBI日本株4.3ブル
 4位  三菱UFJ国際-eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
 5位  ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド

対面中心の金融機関の1位は日本株のインデックスファンド、ネット中心の金融機関の1位は米国株のインデックスファンドとなった。また、ブルベア型が含まれているものの、どちらも株式に関する投資信託がランキングを占めている。

ただし、人気ランキングに並ぶ投資信託が自分に適しているとは限らない。一つの参考にはなるが、「周りが買っているから」という理由のみで投資信託を選ばないように気をつけたい。

投資信託の選び方のポイント

投資信託はどのように選べば良いのだろうか。ここからは、投資信託の選び方のポイントについて解説する。

まずは運用目的を明確にする(いきなり商品を選ばない)

まずは運用目的を明確にしよう。何のために資金が必要なのか、いつまでにどれくらいの資金が必要なのか、今どれくらい手元資金があって足りない金額はいくらなのか……そこから逆算すると何年でいくら増やす必要があるのかがわかる。

運用目的を明確にすることで、「どれくらいのリターンが必要なのか」が導き出され、株式型で大きくリターンを狙う必要があるのか、債券型で固くリターンを得られれば良いのかなど購入すべきアセットクラスや投資信託のイメージが見えてくる。そのため、いきなり具体的な商品を選ぶよりも、まずは目的を明確にすべきだろう。

投資信託にかかるコストを理解する

投資信託には原則としてコスト(費用)が発生する。投資信託の費用には以下のようなものがある。

・購入時手数料:投資信託を購入する際、販売会社に直接支払う費用。ファンドや販売会社によっては、この費用がない場合もある (ノーロードと呼ぶ) 。

・運用管理費用(信託報酬):運用期間中に投資信託の保有額に応じて日々支払う費用。信託財産から間接的に差し引かれる。運用管理にかかる費用などをまかなうもので、運用会社・販売会社・信託銀行の3者で配分される。

・監査報酬:投資信託は原則として決算ごとに、監査法人などから監査を受ける必要がある。その監査に要する費用だ。投資信託の信託財産から間接的に支払われる。

・売買委託手数料:投資信託が株式などを売買する際に発生する費用。発生の都度、投資信託の信託財産から間接的に徴収される。運用の結果として発生する費用のため、事前にいくらかかるのかを示すことはできない。

・信託財産留保額:投資信託を購入もしくは解約する際、手数料とは別に徴収される費用。信託財産に留保され、投資信託によって差し引かれるものと差し引かれないものがある。

これら以外にも、投資信託によっては費用が発生する場合がある。どのような費用がどれくらい発生するかについては、目論見書などで確認することができる。コストは運用パフォーマンスを悪化させる要因の一つとなり得るため、よく理解しておきたい。

「コストが高い」が悪ではないが、高い理由を確認する

ここまで、投資信託の主なコストについて確認してきた。重要なことは「コストが低い投資信託は良い投資信託」でも、「コストが高い投資は悪い投資信託」でもないということだ。

複雑な運用を行う投資信託の場合、シンプルな運用を行う投資信託よりもコストがかさみやすい。例えば、株価指数に連動するように運用するインデックスファンドは、投資対象を人為的に抽出するアクティブファンドより人件費がかからないため、コストが低いことが多い。

しかし、コストが高くても、運用パフォーマンスがそれ相応に高ければ、それは意味のあるコストだったといえる。コストが高い場合は、「なぜ高くなっているのだろうか」と理由をよく確認しよう。高いコストに見合ったパフォーマンスが得られるのであれば、「コストが高いこと」は決して悪いことではない。

なるべく長い運用期間を確認する(似ている投資信託と比較する)

投資信託を評価する上で、最も重要な項目の一つが「運用パフォーマンス」である。短期間の運用パフォーマンスで良し悪しを判断しないことは重要だ。短い運用期間でパフォーマンスを確認してしまうと、仮に基準価額が上昇していたとしても、その投資信託が優秀だったから上がっているのか、たまたま全体の市況が良かったから上がっているのか判断が難しい。

投資信託の運用パフォーマンスを確認するときは、なるべく長い運用期間を確認するようにしよう。具体的には、最低でも3年、できれば5年以上の運用期間を確認したい。

運用パフォーマンスを確認するときは、似ている投資信託と比較することも有用だ。例えば、とある日本株アクティブファンドの運用パフォーマンスを吟味したいときは、同じような運用方針で運用している別の日本株アクティブファンドを探してきて、パフォーマンスを比べてみると、投資信託の優劣を判断しやすい。

また、多くの投資信託はベンチマーク(運用パフォーマンスを評価するための指標)を設定しているため、ベンチマークとも比較してみよう。例えば、上記の「とある日本株アクティブファンド」のベンチマークがTOPIX(東証株価指数)だったとしたら、TOPIXから何%上回っているのか(もしくは下回ってしまっているのか)を確認する。

長期間にわたってTOPIXの方が好成績であれば、高いコストを払ってアクティブファンドを購入する経済的合理性は低い。仮にTOPIXを上回っていたとしても、高いコストを払うに値するアウトパフォームなのかを判断することができるだろう。

「基準価額が高いから割高」ではない

投資信託の価格のことを「基準価額」と呼ぶ。投資家に帰属する額である「純資産総額」を投資信託の総口数で割ると、「基準価額」が算出される。

このように、投資信託の価格である基準価額は、その投資信託が保有している金融商品(資産)の合計額を保有者の口数で割った数字のため、基準価額の大小で、投資信託の割安・割高を判断することはできない。

したがって、「基準価額が高いから割高」とはいえない。投資信託と売り買いの需給によって価格が決まる株価とは、金融商品としての性質が根本的に異なる。株価は買いが増えれば上昇するが、投資信託は買いが増えても、それに伴って口数も増えるため基準価額は上がらない。売りの場合も同様だ。

投資初心者はもちろん、株式投資に慣れている人でも、混乱しやすいポイントのため注意が必要だ。むしろ、株式投資に慣れている人の方が混乱しやすいかもしれない。

売買手数料が安いチャネルで購入する(購入窓口を先に決めない)

同じ投資信託でも、販売チャネル(販売会社)が異なると、購入手数料が異なることもある。

例えば、同じ投資信託をC証券で購入するときは手数料がかからないが、D銀行で購入するときは約2%の購入手数料がかかるといった具合だ。「どこから買うか」を先に決めずに、商品(投資信託)ありきで購入窓口を決めると良いだろう。

「分配金が多い」から良いとは限らない

前述のように、分配金には「普通分配金」と「特別分配金(元本払戻金)」がある。普通分配金は利益の配分のため課税扱い、特別分配金は投資元本を払い戻しているに過ぎないため非課税扱いだ。

近年は見る機会が減ったが、投資信託の中には、たくさんの分配金を支払っているようで、実はその大半が特別分配金であり、投資元本を払い戻しているに過ぎないもの(いわゆるタコ足配当の投資信託)もある。

特に、そのような投資信託は毎月分配型の形式を採っており、毎月多額の分配金を払い出すため、定期的な収入がないリタイアメント層を中心に人気を博してきた。すべての毎月分配型投資信託が悪というわけではないが、「分配金が多い」から良い投資信託とは限らない。そんな多額の分配金を出せるほど運用パフォーマンスが高いのか、その分配金は特別分配金ではないのか、など中身をしっかり確認しよう。

純資産残高を確認する

純資産残高は、投資信託の規模を示している。規模が小さいと、多くの資産に資金を振り分けることができなかったり、資金の出入りの影響を大きく受けたりして、投資信託を安定的に運用していくことができなくなる可能性がある。大きければ良いというものではないが、純資産残高が小さい投資信託は避けた方が良いかもしれない。

残りの運用期間を確認する

運用期間が定められている投資信託も存在する。残りの運用期間が短い場合、運用がおろそかになったり、資金流出が止まらずに安定的に運用していくことができなくなったりする可能性がある。

購入する前に、残りの運用期間を確認するようにしよう。できれば、無期限の投資信託や、残りの運用期間が長い投資信託が望ましい。

運用者(ファンドマネージャー)を確認する

アクティブファンドの場合、運用者(ファンドマネージャー)の腕が運用パフォーマンスに大きな影響を与える。そのため、運用パフォーマンスが高いアクティブファンドにとって、ファンドマネージャーの交代は大きなリスクだ。このリスクは「キーマン・リスク」と呼ばれている。

ファンドマネージャーが退職したり途中交代したりすること自体に対して、個人投資家が何か対策を打てるわけではないが、購入前はもちろん、保有中も定期的にファンドマネージャーの動向には気を配っておきたい。また、ファンドマネージャーの運用経験年数も確認ポイントの一つだ。

シンプルな投資信託を自分で組み合わせる

一つのファンドの中で株式や債券など様々な資産に分散投資してくれる「バランスファンド」という投資信託がある。一見、便利に見えるが、シンプルな投資信託を自分で組み合わせた方が、経済的合理性が高くなるケースが多い。

一般的にバランスファンドはその仕組み上からコストが高いことが多く、インデックスファンドを自分で組み合わせた方が、コストが低くなるケースが多いためだ。また、バランスファンドを保有していると、自分が何のアセットクラスをどれくらい持っているか把握しにくくなる。

一方、バランスファンドは自動的に資産配分をリバランスしたり、マーケットが急落したときは自動的に安全資産比率を高めてくれるものもある。メリットとデメリットをよく理解して、自分に合った投資信託を選ぼう。

投資信託は多くのメリットを持つ金融商品

この記事では、投資信託の種類や投資信託の利益には何があるのか、投資信託の人気ランキング、投資信託の選び方のポイントなどについて解説してきた。

投資信託は、少ない金額から購入できる金融商品だ。また、株式や債券などに分散投資できる点や専門家に運用を任せることができること、高い透明性があるなどのメリットを持つ。投資信託を検討している方は仕組みや種類、そして選び方のポイントをよく理解して、資産運用に活用してみよう。